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キラーロボット問題解決のための外交努力が失速

2017年06月06日  プレスリリース
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AAR Japan[難民を助ける会]は、2013年4月より「キラーロボット(殺傷ロボット)反対キャンペーン(Campaign to Stop Killer Robots)」の運営委員(Steering Committee Member)を務めています。「キラーロボット(殺傷ロボット)」とは、自律的に標的を決定し、人間の判断なしに攻撃を行う兵器のことです。まだ存在していませんが、実用化されれば、人間の判断なしにロボットが標的を攻撃することが可能になってしまいます。

昨年12月12日から16日にかけて、スイス・ジュネーブの国連欧州本部にて開催された「特定通常兵器使用禁止制限条約」(CCW)第5回再検討会議にて、2017年のGGE(Group of Governmental Experts・政府専門家会合)の開催が合意されました。しかし、拠出金不足により、今年は開催されないこととなりました。
それに対して、キラーロボット反対キャンペーンが声明を発表しました。以下、声明の日本語訳です。

資金不足のため、特定通常兵器使用禁止制限条約協議が中止される

(2017年5月30日)
キラーロボット反対キャンペーン(Campaign to Stop Killer Robots)は、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)が、8月の完全自律型兵器に関する一週間にわたる重要な公式協議を中止したことに、深く失望している。この決定は、複数の国家、特にブラジルが、同条約の会合のための分担金を拠出しなかったことによる。

キラーロボット反対キャンペーンのコーディネーターである、ヒューマン・ライツ・ウォッチのメアリー・ウェアハムは、「諸国が資金問題の解決に失敗したとはいえ、人間の介入なしに対象を選択及び攻撃する兵器に関する懸念への取り組みを止めることはできない。もしもCCWが行動できないならば、諸国は、禁止に向けた潮流を持続させるために別の方法を見出さねばならない。兵器システムへの人間による制御を維持することの必要性に同意する諸国は、速やかに国内政策および法律を整備し、完全自律型兵器を禁止する新たな国際条約の交渉を進めるべきである」と述べた。

19ヵ国が完全自律型兵器の予防的禁止を呼びかけ、更に数十ヵ国が、標的の選択と武力行使において人間による制御を維持する必要性を認めている。これは、明らかに、これらの国々が完全自律型兵器の開発を阻止する必要性を認識していることを示唆している。昨年12月、中国は国連安保理常任理事国の中では初めて、完全自律型兵器規制のための新たな国際法規の必要性を見出した。

本キャンペーンは、各国に対して禁止の呼びかけに賛同し、これらの兵器がもたらしうる甚大な人道的問題に取り組むことを要請する。こうした兵器が解き放たれる前に、新たな国際条約の締結に向けて全当事者が協働することは、不可欠かつ緊急である。

キラーロボット反対キャンペーンは、戦場、または治安維持、国境管理およびいかなる状況下においても、機械が人間の生命を奪うことを根本的に許容しない。本キャンペーンは、新たな国際法と国内立法を通じ、完全自律型兵器を開発前に予防的に禁止することを求める。

キラーロボット反対キャンペーンの発足と人権理事会での協議を経て、2013年11月、各国は、いわゆる自律型致死兵器システム(LAWS)について、特定通常兵器使用禁止制限条約の枠組において、国連ジュネーブ事務局で議論を開始することに合意した。

CCWは特定の兵器を禁止、または規制する枠組条約であり、同条約の、失明をもたらすレーザー兵器に関する1995年議定書は、特定の兵器が誕生または使用される前に事前に禁止された一例である。

CCW締約国である124ヵ国のほとんどが、国連機関、国際赤十字委員会およびキラーロボット反対キャンペーンとともに、2014年から2016年にかけて開催されたLAWSに関する三回の会合に出席した。昨年12月のCCW第五回再検討会議において、参加国はこれらの審議を制度化し拡大するため、自律型致死兵器システムに関する政府専門家会合(GGE:Group of Governmental Experts)を設置し、マンディープ・シン・ギル インド大使議長のもと、2017年8月および11月に会合を行うことを決定した。

しかし、5月30日、CCW次期議長であるマシュー・ローランド英国大使は、8月21日から25日に開催予定だった政府専門家会合が資金不足のため中止されたことを発表した。ローランド氏は、定められた資金拠出の不足により、2017年に予定されるCCW会合が中止される可能性があるとして何度も警告を発していた。

過去数年、複数の国が拠出金を滞納しているが、国連の公報によると、CCWを含む4つの主要な軍縮条約に対するブラジルの滞納金は86%にものぼる。ブラジルは、2010年以降、CCWに定められた拠出を行っていない。キラーロボット反対キャンペーンはブラジルに対して滞納金を速やかに拠出するように要請し、CCW締約国に対して、重要会合を中止しなくてすむ、別の手段による経費削減措置をとることを求めた。

ウェアハムは、「キラーロボットに関する多国間プロセスが、ごく一部の国家が国連分担金を拠出しないことで阻害されることを我々は許容できない。完全自律型兵器に関する審議の制度化が全会一致で支持されたことに鑑み、各国は遅滞なく解決策を見出すことを優先すべきである」とも述べている。

現在、さまざまな程度での、人間による制御を擁する複数の自律型兵器システムは、CCW締約国である米国、中国、イスラエル、韓国、ロシアおよび英国などの最新鋭の軍隊により利用されている。懸念されるのは、安価なセンサーや人工知能の発展により、人間による制御を要さずに標的を選び攻撃する兵器システムの設計が、ますます現実的になっているということである。もしも、自動化に向けた傾向が続けば、人類はだんだんと選択・攻撃の意思決定の輪から姿を消し始め、非常に限られた監督的な役割のみを担うようになった後に、如何なる役割も持たなくなるだろう。

フランス、英国および米国は昨年12月にCCW政府専門家会合の設置を支持したが、ベスト・プラクティスの共有や新兵器システムの法的審査実施における、より高い透明性の達成に集中するという、このプロセスの最終的な目標にはまだ意欲的ではない。ロシアは表立って政府専門家会合の設置に反対したが、全会一致での支持を妨げることはなかった。

「完全自律型兵器を開発または使用しないという政策的な公約や約束は、誰かがこうした兵器を開発した際に崩れ去るだろう。事前に法的に禁止しなければ、キラーロボットの未来を回避することは論理的に不可能である。我々は、禁止に賛同する国々と今すぐに協力する準備がある」とウェアハムは述べている。

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