駐在員・事務局員日記

パキスタン:焼き芋代わりのものとは?

2017年02月20日  パキスタン
RSS
執筆者

イスラマバード事務所
北 朱美

2011年11月より2012年1月までザンビア事務所、2012年2月より2014年12月までミャンマー事務所駐在を経て、2015年1月よりイスラマバード事務所駐在。臨床検査技師として病院に勤務した後、カナダとタイで公衆衛生を学ぶ。帰国後、AARへ。長崎県出身

記事掲載時のプロフィールです

この冬、日本では大雪に見舞われている地域もあるようですが、みなさん暖かくして過ごされていますか。AAR Japan[難民を助ける会]の事務所があるパキスタンの首都イスラマバードは、夏は暑い日には40℃以上にものぼりますが、冬は0℃くらいまで冷え込むことが時々あります。今回は、パキスタンの人たちの暖の取り方や、冬の風物詩について紹介します。

暖房に頼れない暮らし

blog1702_2243_1dun.jpg

ガスコンロを日常的にストーブ代わりに使っている人もいます(2017年1月31日)

暖房は、電気ヒーターやガスストーブが一般的です。中にはガスコンロの火をつけっぱなしにして暖をとっている人も見かけますが、火事にならないかと心配になります。しかし、問題は暖房があまり頼りにならないということです。パキスタンでは停電が多く、首都のイスラマバードでも毎日のように計画停電があります。しかも、数時間おきに停電になるため、電気ヒーターが使えなくなります。また、都市部では各家庭にガス管が配管されていますが、ガスの供給量は安定していません。人々がガスを多く使う夜の時間帯などには、ガスの供給がほぼなくなってしまうことがあるのです。


そのため、服装にも工夫が必要になります。まず、シャルワール・カミーズと呼ばれる民族衣装を着て、その上にセーターやジャケットを着ます。さらに寒い日には、男性もショールで体を覆います。ほかにも、靴下を2枚履いたり、家の中でもニットの帽子をかぶったりマフラーを巻いたりと、とにかく着込んで寒さをしのぎます。

blog1702_2243_2_2isyo.jpg

まずは民族衣装シャルワール・カミーズを着ます(2017年1月20日)

blog1702_2243_2keibi.jpg

AARの事務所の警備員。電気ヒーターはあっても廊下で待機しているため、寒い日はウール地のショールを体に巻いています(2017年1月25日)

blog1702_2243_3hbuli.jpg

ガスにも電気にも対応している湯沸かし器があると便利です(2017年1月31日)


また、日本では冬は湯船につかって温まりますが、パキスタンでは湯船につかる習慣はなく、シャワーで済ませる人がほとんどのようです。停電になったりガスが弱まると、シャワーのお湯も使えなくなるため、時間はかなりかかりますが、ガスコンロを使って鍋でお湯を沸かして入浴に使うそうです。筆者が住む家には、ガスにも電気にも対応しているハイブリッド式湯沸かし器があるので、ガスの供給量が弱まる時期には電気に切り替えることができます。

道端でよく見かけるもの

blog1702_2243_4shop.jpg

道でよくみかける煎りピーナッツ屋さん。塩入りの釜で10秒ほど煎っただけで熱々の煎りピーナッツのできあがりです(2017年1月31日)

パキスタンならではの温まり方があるので、みなさんにお教えしましょう。それは、煎りピーナッツです!パキスタンでは、冬になると煎りピーナッツ屋さんを道端でよく見かけます。 釜の中に熱された塩が大量に入っていて、その中にピーナッツを入れてかき混ぜ、熱々の煎りピーナッツを作ってくれます。値段は小袋1つ50ルピー(約50円)ほどです。

筆者も現地スタッフから、「体が温まるから」と勧められて試しに買ってみました。確かに、煎りピーナッツは熱々でしたが、1袋食べたところで体が温まったかというとそうでもなく。これはきっと、冬になると日本では焼き芋を買ってほっこりとするように、雰囲気で温まる、という感じに近いのではないかと思いました。

そして、パキスタンの人々は、出勤前、仕事始め、昼食後、帰宅後といった具合に、日に何度も、チャエと呼ばれるミルクティーを飲んで温まります。

blog1702_2243_6tea.jpg

ミルクティーのチャエ。シナモン、カルダモンなどのスパイスや生姜を入れると体が温まります(2017年1月31日)

blog1702_2243_2kita.jpg

パキスタンでは冬はやはり煎りピーナッツ。塩味が効いていて美味しいです(右が筆者)(2017年1月25日)

ちなみに、パキスタンの人々にとっては、冬の寒さよりも夏の厳しい暑さのほうが辛いそうです。

< 駐在員・事務局員日記トップに戻る

ページの先頭へ