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パキスタン洪水支援 速報第7弾 210世帯に緊急支援物資を配付しました

2010年08月23日  パキスタン緊急支援
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被災した子どもたちと川邉(右)

被災した子どもたちも、難民を助ける会とGPPからの支援に笑顔が(右は川邉)(8月22日撮影)

パキスタン北西部で起った洪水被災者への緊急支援のため、東京事務局の青木真理子、杉澤芳隆、川邉安行が現地で支援活動を行っています。
8月12日、15日に続き、22日には、現地の協力団体Global Peace Pioneers(以下GPP)とともに、被害の大きいノシェラ郡のニュー・アバ・ケール村で210世帯に支援物資を配付しました。
以下は、現地からの報告です。

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未曾有の大洪水に、協力を惜しまぬ地元民たち

緊急支援物資の準備がやっと終了

飲まず食わずで支援物資の準備をしてくれた問屋の従業員たち(前列左が杉澤、後列中央が川邉)(8月21日撮影)

「食料を210セットお願いします。」
イスラマバード郊外の問屋の主人に電話をしたのは、配布予定日の2日半前、8月19日でした。あまりに短期の依頼に、主人も驚いて絶句です。しかし、予想を超えた洪水の被害状況に、少しでも配布を急がなければという焦りがあった私たち。少し間を置いた後、主人が電話口で「わかった、やりましょう。」と言ってくれたときには、ありがたさでいっぱいでした。

品を仕入れ、食料を量り、小袋に分けて、世帯毎に配布する袋に詰め、トラックに積み込んでいく。配布物資の準備は大変な作業です。
「注文が入ったその日から、従業員総出で働いたよ。」という主人とともに、難民を助ける会の職員も総出で積み込み作業に参加しました。すると、近所の人々がお店にときどき立ち寄っては、「私たちにも貢献させてほしい」とナツメヤシやビスケット、水などを買い、置いていってくれたのです。

現在パキスタンはイスラム教徒による断食期間の真っ最中。水も食事も取らずに作業をしてくれた問屋の従業員や近所の方々を見て、心動かされると同時に、パキスタンの方々がどれほど今回の洪水を気にしているのかを知り、これは未曾有の災害なのだという認識をあらためて持ちました。

食べ物、生活…山積する問題

水に浸かった町の様子

水が引き、元通りの生活に戻るのは一体いつなのか(8月22日撮影)

宿泊先を22日の朝7時に出発。支援開始以来、3度目となるノシェラ地方入りです。いつもの高速道路を走行中、途中に見えるインダス川は、その水かさが前回と比べ低くなったように映り、水浸しであった畑も、足を踏み入れたらきっと足首あたりまで埋まるような泥の状態まで水が引いているように見えました。高速を降り町に入ると、目に入ってきたのは前回よりも数が増えた白いテントの集落でした。テントは、洪水被害を受けた人々の仮設住居や臨時診療所などさまざまで、小さなスペースに肩を並べていました。たとえ雨が降り止み、水が引いたとしても、そのわだちには、次なる問題が残されています。

「ぎりぎりの生活です」訴える被災者たち

物資を受け取りに集まった人々

支援物資を受け取りに集まった被災者たち(8月22日撮影)

今回訪れたのは、ニュー・アバ・ケールという村で、人口は約500世帯。今回の配付対象である210世帯の代表者たちがすでに配付場所に集まり、神妙な面持ちで待っていました。配付を始めようとしたそのとき、そのうちの数人が私たちに駆け寄り次々と訴えました。

「洪水は私たちのすべてを破壊した。家も畑も。」
「洪水の被害があっても、この村には誰も助けに来てくれなかった。」「他の町に親戚がいる人はそこを頼れるが、他のほとんどの人は、被害発生以来満足な食料も水も寝床もなく、ぎりぎりの生活をしている」

彼らの困窮した現状が伝わってきました。

飲料水は同じパキスタン人からの寄付

被災者に支援物資を渡す杉澤(左)と川邉(右)

緊急支援物資と飲料水を渡すと笑顔になってくれた被災者(左が杉澤、右が川邉)(8月22日撮影)

支援物資は過去2回同様、米、砂糖、豆、カレー粉、食用油、すぐ食べることのできるなつめやしなどの食糧品や、ろうそく、石けんなどの生活必需品に加え、 飲料水としてミネラルウォーターも配付しました。このミネラルウォーターは、前回に続き、物資を調達したイスラマバード郊外の問屋のご主人からのご寄付で す。物資を手渡すと、笑顔を浮かべる人や体いっぱいに喜びを表現する人もいましたが、人々の疲労の表情はもっと印象的でした。

「3日3晩、飲まず食わずでした」

被災した子どもたち

逃げそびれた子どもたちはボートなどで運ばれ避難できました

アダラット・カーンさん(男性・30歳)は漁師です。カブール川が氾濫し、村に水が押し寄せてきたときのことをこう話してくれました。「(水の襲来は)あまりにも突然だったので、ほとんどの村人はその場から逃げ出せずにいました。取り残された女性や子どもたちを救うため、私は漁で使うボートで彼らを避難させたのです。3日3晩、村の誰もが食事や水を取れず、私はあまりの緊張に寝られませんでした。」

  現在、被災地では感染症がにわかに流行りだしています。汚水に触れ皮膚病を患い、手足に水疱が発生する中、素足で瓦礫や汚水だらけの村の中を歩き、知らぬ間に割れた水疱跡や傷口からさらに化膿する。このような悪循環により、普段なら容易に防げる病気を発症する人が見受けられます。難民を助ける会では、緊急支援物資の配付に加え、基礎医療支援も開始する予定です。

難民を助ける会では、パキスタン洪水被災者への緊急支援を続けます。引き続き、皆さまのご支援をお願いいたします。

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【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 川邉 安行

2010年6月より東京事務局海外事業担当。大学卒業後、旅行会社に勤務し約50カ国に添乗。その後、難民を助ける会へ。(千葉県出身)

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