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ミャンマー:キノコが創る人々の未来

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キノコで生計支援

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キノコ栽培の研修の様子。培地に栄養を混ぜています(2016年3月22日)

ミャンマーには未だに多くの地雷が埋まっていると言われています。地雷の被害で体に障がいが残ってしまうと、なかなか職に就くことができません。そこで、AAR Japan[難民を助ける会]は、ミャンマーの南東部にあるカレン州のティサエイミャイン村で、障がい者とその家族にキノコ栽培技術を伝える活動を行っています。キノコ栽培はそれだけで生計を立てるのは難しいですが、それほど重労働を伴わないため、身体に障がいがある方や女性でも続けることができ、家計を助けることができるからです。キノコを栽培する小屋を立てる材料や、栽培に必要な道具を提供し、キノコ栽培のための講習会の実施、運営の補助を行っています。現在チームのメンバーは、地雷被害者とその家族の10名。彼らは2015年の4月から事業を開始し、既にキノコ栽培の4周期目に入りました。天候やメンバーの技術などによって生産は左右されますが、1回の周期で約500~900kgのキノコを収穫することができます。

栽培を通じてビジネス講習

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キノコ小屋の中にきれいに並べられたキノコ菌を植えた後のパック。この状態で約1ヵ月発芽を待ちます(2016年3月22日)

皆さん、キノコがどのように作られるかご存知ですか?まずはキノコを育てる培地作りから始めます。オガクズに複数の栄養素を混ぜ、キノコが育ちやすい環境を整えます。その培地を小分けにしてパックに入れ、滅菌処理し、それぞれのパックにキノコ菌を植え付けます。 村の人々と協力して建てたキノコ小屋内に定期的に水を巻き、パックを適切な温度、湿度で保存すると、約1ヵ月でキノコが生え、それから約3ヵ月で収穫するのに十分な大きさに成長します。この事業では、メンバーに栽培のノウハウを提供するだけではなく、市場や購買層の分析、簡単な会計などについて学ぶビジネス講習に参加してもらうほか、ほかの村でビジネスを行っている人を招いて成功例などを聞き、自分たちの活動に活かせる点を学んでもらいました。

少しでも安定した収入を

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サトゥさんはキノコ作りメンバーの中でも積極的に運営に関わっています(2016年3月22日)

キノコ栽培チームのメンバーであるサトゥさんの夫は地雷の被害に遭い、右足を失いました。現在はバイクタクシーのドライバーとして働いており、サトゥさんが家計を助けるため、チームに加わることになりました。キノコの売り上げが家計の足しになって、とても助かると話してくれました。キノコを栽培する前は、安定した収入を得ることができませんでしたが、1周期目(4ヵ月)に収穫したキノコを販売し、日本円で約3,000円の収入を得ることができました。平均月収が約5000円のパアンでは、サトゥさん一家の中で重要な収入源となっています。ゆくゆくはキノコ栽培だけでも家計を支えられるように、さらに事業を拡大させていく予定です。

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チームの皆さんは今後もキノコ栽培を続けていきたいと意気込んでいます。右はAARの池上(2016年3月22日)

日本でもさまざまな料理に使われるキノコ。近い将来ミャンマー産のキノコがスーパーの野菜売り場に並んでいるかもしれません。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務所 池上亜沙子

大学卒業後、化粧品会社に就職。退職後、英国の大学院で教育政策と国際開発を研究し、AARへ。ハイチ駐在を経て、ミャンマーやハイチの事業を担当。趣味はマラソン、ロードバイク。宮城県出身。

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