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ラオス:ナマズ養殖で子どもたちに給食を

2016年12月05日  ラオス
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小学校でナマズを養殖

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ラオスではナマズは一般的に食べられています(2016年10月30日)

ラオスの小学校では、学校給食はあまり普及しておらず、多くの児童たちは、昼休みに一旦家に昼食を食べに帰っています。しかし家庭によっては、経済的な理由で十分な食事が取れない児童もおり、栄養も不足しています。
そのため、これまで国際連合世界食糧計画(以下国連WFP)がお米や油を小学校に提供し、学校給食の普及を支援してきました。おかずは、各家庭の農家から持ち寄ったり、校内の菜園で野菜を育てたりして賄っていましたが、たんぱく質が不足していました。

AAR Japan[難民を助ける会]は、このような状況を改善するため、2016年6月から、国連WFPの協力のもと、新たに学校給食のためにナマズの養殖を開始しました。学校でナマズを育て、給食に出す仕組みをAARが作ることによって、児童たちは、豊富なたんぱく質を取ることができます。さらに、AARはこれまで2014年7月よりラオスの首都ビエンチャンで、障がい者が収入を得て自立して生活できるよう、ナマズの養殖などの小規模な起業を支援してきたため、この経験を活かすことができます。学校給食のためのナマズの養殖は、ラオス北部のウドムサイ県10校、ルアンパバン県6校の小学校で実施しています。

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池を囲んでナマズを眺めるヴィエンケオ小学校の生徒たち(2016年10月31日)

まず、小学校の校庭にセメントで養殖池を作り、先生や学校関係者へナマズの養殖についての研修を行い、9月ごろからナマズの稚魚を放流しました。そして10月から、成長したナマズを焼き魚やスープにして給食に出せるようになりました。
ウドムサイ県ベン郡ナライ小学校の先生、ヤンさんは、「ナマズがおかずに出る日は、子どもたちがおかわりをする回数が増えました」と話してくれました。

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給食は児童の保護者が作っています(2016年11月1日)

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ナマズの煮物は児童に好評で、すぐになくなります(2016年10月31日)

国連WFP協会親善大使の三浦雄一郎氏が学校給食を視察

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仲良く給食を食べる子どもたちと三浦雄一郎氏(中央右)、AARの岡山典靖(中央左)(2016年11月1日)

11月1日、国連WFP協会親善大使を務める登山家でプロスキーヤーの三浦雄一郎氏が、ウドムサイ県の小学校の給食を視察されました。三浦氏が子どもたちと一緒に給食を食べながら、「給食はどうですか?」と聞くと、ある児童は「ナマズはとてもおいしいです。お昼に家に帰ると、お父さんとお母さんは農作業でいないので、今までは一人でお昼ご飯を食べていたけれど、こうして学校で友だちと一緒に食べることができて楽しいです」と答えていました。

今後は、学校がナマズの養殖・給食を続けていけるように、成長したナマズの一部を販売するなどして、ナマズの稚魚や餌を購入する資金を得られるようにしていく予定です。

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生徒たちと一緒に給食を食べる三浦雄一郎氏(2016年11月1日)

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

ビエンチャン事務所 岡山 典靖

2004年6月よりラオス駐在。大学卒業後、青年海外協力隊員としてバングラデシュへ。水産庁の外郭団体を経て農村開発NGOの駐在員としてネパールで勤務後、AARへ。

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