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東日本大震災:福祉作業所「かたつむり」の新事業所が完成しました

2017年09月04日  日本緊急支援
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震災で居場所を失った「かたつむり」

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AARの支援でリンゴ作りを始めたかたつむりの職員、利用者の皆さんとAARの加藤亜季子(右端)(2015年1月)

福祉作業所「かたつむり」は、2001年に知的障がいのある子どもらがいる約20家族によって設立されました。活動開始当初は、岩手県大船渡市の港からほど近い場所にある古い建物を借り、学校以外の子どもたちの居場所づくりとして、お茶会や情報共有、遠足などのイベントを一緒に行っていました。参加人数が増え、革細工や畑作業、資源回収などの作業も行うようになり、法人化しようとしていた矢先、2011年3月11日の東日本大震災により、活動場所になっていた建物がすべて流出しました。賃貸物件であったことや法人格がないことを理由に、震災後の公的な補償や手当などは得られませんでした。
民間の団体やNPOなどからさまざまな支援を受け活動を続け、2013年には自分たちでプレハブを購入、本格的に活動を再開しました。
岩手県名産の江刺りんごの栽培、瓦礫でつくったキーホルダーの製作、空き缶リサイクル、塩蔵わかめの袋詰め、陸前高田市の復興米「たかたのゆめ」を使ったお煎餅の開発など、さまざまな活動を精力的に行っていました。多岐にわたる作業があり、障がいの種類を問わず通所できるため、「かたつむり」の利用者は年々増加していきました。AAR Japan[難民を助ける会]も利用者の送迎用の車両やりんご栽培のための資機材の提供、また商品の販路拡大の支援などを通じて、活動を支えてきました。
しかし、プレハブを建てた場所が震災時に浸水した地域であったため、大船渡市の復興計画策定に伴い、2017年までに被災していない地域に移すよう通達が出されてしまいました。そのため、新しい事業所を建てなくてはならず、その後数年かけて資金を調達することとなりました。AARはその移転の通知を受けた後、AARの姉妹団体である「さぽうと21」とともに、新事業所の建設資金の調達や設計の支援を行いました。

活動を再開するために購入したプレハブ小屋

活動を再開するために購入したプレハブ小屋。スペースが小さいため、利用者数も制限されていました(2015年11月)

かたつむりの利用者と歓談する村治さん、ベイリーさん

2016年4月にAARが主催した「3.11被災者のためのチャリティコンサート」に出演くださったギタリストの村治佳織さん(中央)と、特別協賛の日本ロレックス株式会社のブルース・R・ベイリー社長(右)が、「かたつむり」を訪問(2016年2月)

念願の新作業所が完成

モダンな建物に人々が集まっていいます

「かたつむり」新事業所の外観(2017年6月24日)

「かたつむり」の職員や設計者、地元の建設業者などと度重なる会議を重ね、2017年1月に着工し、ついに2017年6月24日、晴天のもと竣工式を執り行うことができました。
竣工式には戸田公明市長をはじめ大船渡市の関係者や、「かたつむり」の理事、職員や施設利用者、工事業者などの関係者約120名が参加し、賑やかな一日となりました。戸田市長からは大船渡市における福祉の発展に寄せられた支援に感謝の意が述べられ、吉田定「かたつむり」代表理事からは、「多くの方の温かい支援によりここまで来ることができた」と厚い御礼の言葉が述べられました。

新作業所の前でテープカットをする関係者

手前2人目から、阿部恭久サンキョー株式会社代表取締役、戸田公明大船渡市長、AAR会長の柳瀬房子、吉田定「かたつむり」代表理事、AAR特別顧問の吹浦忠正(竣工式にて、2017年6月24日)

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竣工式の後の食事会では、歌を歌ったり、踊ったり、利用者も一緒になって竣工を祝いました(2017年6月24日)

熱心に、楽しく仕事に取り組む利用者のみなさん

明るく広々として部屋で食堂で食事をするかたつむりの利用者と職員

利用者と職員が昼食を同時にとれるようになりました(2017年7月5日)

後日、新事業所を訪問した際には利用者が明るく広々とした室内で生き生きと作業をしていました。新しい作業所での活動にも慣れ、利用者・職員が揃って昼食をとるなどこれまで手狭でできなかった活動を楽しんでいました。新作業所では現在30名の障がい者が通っています。窮屈なプレハブから広い場所に移動して、利用者の方が戸惑うのではと心配をしていましたが杞憂にすぎず、訪問すると利用者の方がスリッパを用意してくれ、誇らしげに案内してくれました。プレハブは手狭で新たに「かたつむり」を利用したいという方がいても受け入れができませんでしたが、新事業所に移転し、受入れを再開したところ、6月から新たに3名の利用者が通い始め、 今後も受け入れを継続します。新しく通い始めた方は、「仕事は楽しいよ。しっかりやっていると(卒業した支援学校の)先生に電話していいよ」と仕事に熱心に取り組んでいる様子を明るく話してくれました。
これから防災用品の開発、ミニトマト栽培など新たな事業に取り組むなど、活動の幅を広げていく予定です。 東日本大震災から6年以上が経過し、ようやく「かたつむり」の利用者の方が安心して作業に取り組むことができる環境を提供することができ、心より安堵しています。

利用者の男性が、ピンセットでビーズをつまんでいます

ビーズの整理作業をする利用者の方(2017年7月5日)

女の子が二人でお煎餅の袋にシールを貼っている様子

陸前高田市の復興米「たかたのゆめ」を使ったお煎餅のシールを貼る利用者の方(2017年7月5日)

ゆっくりでもいい、確実に前に進もう。危ないときには殻で身を守ることも覚えてほしい。そして、少しずつでも進んだ後にはキラキラした何かを残してほしい。「かたつむり」という名前には、創設した親御さんたちのそんな願いが込められているそうです。
新作業所が完成するまで時間がかかりましたが、大船渡市の福祉において「かたつむり」は確実に重要な役割を担い始めています。障がい者の方たちが新事業所でこれまでと変わらず仲良く、元気よく作業に取り組み、さらに活動の場を広げていってくれることを期待しています。

この活動は皆さまからのご寄付に加え、日本ロレックス株式会社、公益財団法人イオンワンパーセントクラブ、サンキョー株式会社、東洋熱工業株式会社のご協力で実施しています。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 加藤亜季子

2010年4月より東京事務局で主にハイチ事業、ザンビア事業、東北事業を担当。2013年4月から2016年2月まで東北事務所長。大学卒業後、民間企業に勤務。英国の大学院で社会開発を学び、政府系研究機関、在外公館勤務を経てAARへ。東京都出身

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