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ミャンマー避難民キャンプの女性たち

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ミャンマー西部ラカイン州で今年8月下旬に発生した武力衝突を逃れて、隣国バングラデシュに流入したイスラム系少数派の避難民61万人余りが、衛生状態の悪い避難民キャンプで過酷な生活を余儀なくされています。とりわけ厳しい状況に置かれているのが、子どもを抱えた女性たちです。AAR Japan[難民を助ける会]の緊急支援チームは避難民の人々に直接聞き取り調査を行い、衛生用品(石けん、歯ブラシ、爪切り、タオル、生理用品など)の配付を近く開始します。

夫を殺され、自身も撃たれ......命からがらバングラデシュへ

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障がいのある娘を抱えて避難民キャンプにたどり着き、途方に暮れるアスマさん(2017年11月10日)

バングラデシュ南東部コックスバザール県の避難民キャンプには、竹材を組んでビニールで覆っただけの粗末なテントが見渡す限り密集して建っています。ミャンマーのラカイン州ブシドン町から10日間歩いて到着したばかりのアスマさん(21歳)は、脳性まひと見られる生後10ヵ月の長女、10歳の妹と3人で頼れる人もなく途方に暮れていました。「イマム(イスラム教師)だった夫は1ヵ月前に殺されてしまい、両親も消息不明です。娘がお腹を空かせていますが、食べる物も住む家もなく、一体どうすれば良いのでしょう......」と話すアスマさんの目には涙が溜まっていました。

避難する途中でケガをした女性も多く、2カ月前に来たウムル・ルレサさん(13歳)は「国境を越えようとして左脚を撃たれ、歩くのも不自由です。もともと孤児なので、ここでは従妹のお姉さんに面倒をみてもらっています」と言葉少なに語りました。切り付けられて頭部に裂傷を負ったり、家を焼かれた際に火傷をしたりした女性もいます。キャンプ内には複数の診療所がありますが、充分な治療は受けられていません。

「家族のために食料を買うことともできない」女性たちの嘆き

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「現金がなく何も買えない」と訴える避難民の女性たち(2017年11月11日)

避難民の家族は狭いテントの中で煮炊きをし、ゴザを敷いて寝ています。着の身着のまま逃げて来たので家財道具はなく、ようやく緊急支援物資の衣類や調理具だけは行き渡りつつあります。不定期に配給されるコメ、食料油、わずかな野菜などが生命の糧ですが、女性たちは「家族に食べさせるには足りないが、お金を持っていないので市場で何か買うこともできない」と訴えます。大事に身に着けていた指輪やネックレスなどの金製品を売って、現金に換えたと話す女性もいました。また、急速に不足しているのが調理用の薪で、近くで掘り返した木の根を割って干す姿がよく見られます。

懸念される集団感染

小高い丘陵を切り開いて造られたキャンプは高低差があり、人々はテントの間を縫うように急坂の路地を上り下りしていますが、雨が降ればぬかるんで歩けず、乾燥すれば砂ぼこりが立つ不自由な状況です。トイレの不足を訴える声も多く、そのトイレも井戸と近接して掘られているなど衛生環境は劣悪で、膨大な人数が密集して暮らしていることもあって、医療関係者は大規模な集団感染の発生を懸念しています。

そんな中でも、避難民の人々は「いつかミャンマーに戻りたい」という願いを抱いて、たくましく生き抜こうとしています。国連機関が設けた仮設教室から子どもたちの元気な歌声が流れ、寄付で建てられたトタン張りの簡素なモスク(イスラム寺院)では日々の祈りが続いています。過酷な避難生活を強いられながらも、人々は希望を失っていません。
AARのミャンマー避難民支援活動はこれからが本番です。皆さまの緊急募金へのご協力を重ねてお願いいたします。

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配給の米25キロと食用油を運ぶ女性(2017年11月13日)

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配られた毛布と古着を嬉しそうに持ち帰る女の子たち(2017年11月10日)

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井戸で水をくむ親子。トイレが近くに設置されているなど、衛生環境の改善が急がれる(2017年11月11日)

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折り重なるようにテントが密集する避難民キャンプ(2017年11月13日)

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    (トクヒ)ナンミンオタスケルカイ

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    【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

     中坪央暁(なかつぼ ひろあき)

    ミャンマー避難民緊急支援チーム 毎日新聞ジャカルタ特派員、編集デスクを経て、国際協力分野の専門ジャーナリストとして南スーダン、ウガンダ北部、フィリピン・ミンダナオ島などの紛争復興・平和構築支援の現地取材を続ける。2017年11月にAARに入職し、ミャンマー避難民支援に従事している。

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