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活動報告
タイトル
アフガニスタンの国民すべてに地雷と不発弾から身を守る教育を
報告者
カブール事務所駐在員 宮崎 巧治
報告年月日
2004年2月
難民を助ける会では、2002年1月に首都カブールに、2002年5月に北部タカール州のタロカンにそれぞれ事務所を開設し、地雷対策と障害者自立支援を実施しています。地雷除去専門NGOヘイロー・トラスト・アフガニスタンと協力し、アフガニスタン国内で2002年1月から2003年9月まで、地雷や不発弾の被害にあわないための教育(地雷・不発弾回避教育)、地雷原の特定調査活動、地雷除去を行ってきました。2003年10月からは、国連アフガニスタン地雷対策センター(UNMACA)と協力し、アフガニスタン全土で使用する地雷・不発弾回避教育の教材開発に取り組んでいます。(アフガニスタンでの活動についてはこちらもご覧下さい
以下は、宮崎巧治カブール事務所駐在員からの報告です。
■今日もどこかで誰かが地雷・不発弾の被害に
写真の説明を入れてください。
教材を使う子どもたち
教材は、現地の子どもたちにもわかりやすいと大好評です。(右は宮崎巧治駐在員)
「初夢はごらんになりましたか?」
正月に当る日、日本からこんなメールを受け取りました。日本の正月はアフガニスタンの平日。もし日常が夢の輪郭を描くとすれば、ここでの初夢は砂埃、瓦礫、女性なら頭からすっぽりと被るベール越しのかすんだ風景…。

その日初夢について思い巡らせているうちに、ふと難民を助ける会が以前より支援してきた一人の少女のことを考えました。少女の名はムルサル、年齢は10歳。「彼女は一体どんな夢を見るのだろう?」ちょうど元旦前日の大晦日、彼女をモデルに起用した地雷・不発弾回避教育用パンフレットが、印刷を終えて事務所へ到着したばかりでした(3頁の写真ご参照:中央の赤いワンピースの少女)。ムルサルちゃんは8歳の頃、自宅近辺で地雷を踏んでしまい、以後左足のない生活を強いられています。地雷被害者の初夢、もしかしたら地雷、爆音、痛み、失った左足…。彼女は日本で暮らす人々が映画でしか見ない光景を、瞼に投影していたのかもしれません。

アフガニスタンにはムルサルちゃんのように地雷・不発弾の被害に遭う人々が、年間で数千人いると言われています。そして同じく、今もアフガンの大地に数百万の地雷・不発弾が眠っているとも。全国規模の統計が一切存在しない国ゆえに、正確な数字を把握するのは不可能です。しかしこれら悪夢の数字は、覚めることない現実です。もし今日、日本で地雷・不発弾の被害者が一人出たと想像してください。その事実は大きなニュースとなるでしょう。しかしここではまさに今日、どこかで誰かが、誰にも知られることなく、現実に地雷・不発弾の被害にあっています。

ムルサルちゃんのような直接の被害者だけでなく、農地や水道などのインフラ利用にも影を落とす地雷・不発弾。この致死病に対する一番の特効薬は何でしょう? まさに除去してしまうことです。しかし数百万の地雷・不発弾を除去するには、危険度の高い地域だけで「2007年までかかる」(国連アフガニスタン地雷対策センター:UNMACA)、さらにすべての地域で除去が完了するのは「2012年の見通し」(同)と言われています。その間にも地雷・不発弾被害者のリストは膨らんでいきます。被害者を一人でも食い止めるには、地雷・不発弾から身を守る教育(地雷・不発弾回避教育)が不可欠なのです。


■アフガニスタン全土で地雷被害者をゼロに
地雷、不発弾回避教育用教材
地雷・不発弾回避教育用の教材
(クリックすると拡大します)
難民を助ける会が国連アフガニスタン地雷対策センター(UNMACA)と協力し、開発した地雷・不発弾回避教育用の教材。アフガニスタン全土で使用されます(表紙のモデルは地雷被害者のムルサルちゃんとその弟たち)。
難民を助ける会は2002年1月より、地雷・不発弾被害者削減に貢献するため、アフガニスタンにおいて回避教育活動を実施してきました。そして昨年10月、ついに国連との正式提携に調印し、以後日本のNGOとしては初となる全国規模の地雷・不発弾回避教育活動を展開しています。難民を助ける会が手を差し伸べるのはアフガニスタン国民2100万人。その全てをカバーすべく、UNMACAと緊密に連携し、さらに他の国際NGOとも手を取り合ってプロジェクトを進めています。
難民を助ける会が担当するのは、アフガニスタン全土の村、学校、マスメディアで利用する地雷・不発弾回避教育の教材開発と製作。地雷・不発弾の被害者をゼロにする夢、それを正夢にすることを目標に日々活動しています。

しかし「地雷・不発弾回避教材開発」と一言でいっても様々な活動を含みますし、苦労も少なくありません。写真にあるパンフレットは難民を助ける会が開発し、国連児童基金(UNICEF)が全国の地雷・不発弾危険地域に配布するためのものです。このパンフレット一つとっても紆余曲折がありました。

タリバン政権時代に禁止されていた写真の使用を何とか許可してもらったり、識字率男性50%・女性21%ゆえの文字使用の制限をどう克服するかに頭を悩ませたり、編集作業中の停電によりデータが消失したり、悪路で車が故障し助けを呼ぶのに半日かかったり、デジタル写真に不慣れな印刷屋の印刷ミスを徹夜で色修正したり、テロ警告で外出が禁止になったり等々…。

それでも嬉しい瞬間が訪れます。渡した教材と引き換えに頂く、アフガニスタンの人々のこの上ない笑顔と感謝の言葉(タシャクル)! それらに触れた時、夢に半歩でも近づけたことを実感します。

アラブ世界では、ラクダを放牧している夢は吉兆とされるそうです。アフガニスタンの人々が地雷・不発弾のない広々とした大地で、ラクダを放牧する良い夢を見られるよう、これからも温かい支援をどうぞよろしくお願いします。
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