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活動報告
タイトル
障害者へ農機具を寄贈・診療所の再建も
報告者
タジキスタン・ドゥシャンベ事務所駐在 田部 昌人
報告年月日
2004年11月
難民を助ける会は、2001年の米国同時多発テロ後に隣国アフガニスタンからタジキスタンへ逃れた人たちへの緊急食糧配布を皮切りに、2002年からは外務省のNGO支援無償資金協力も受けて、タジキスタンでの活動を続けています。2003年9月からは、首都ドゥシャンベから東200kmに位置するラシュト谷という山岳地域にある、ガーム郡とダルバン郡で二つの事業を進めてきました。以下は、田部昌人駐在員からの報告です。
心洗われるラシュト谷の風景
内戦で最前線の一つだったとは、想像することも難しいほどの美しさ。

■寄贈した農機具で、小麦粉とジャガイモを収穫
 行く手に連なる美しい山々。訪れる度に心洗われる風景。長年続いた内戦で最前線の一つだったとは、想像することも難しいほどの絶景です。ここは、難民を助ける会が活動するガーム郡とダルバン郡が位置するタジキスタンの山岳地帯。旧ソビエト連邦共和国の中で最も経済的に苦しいこの国では、97年の和平協定後も人々の生活は苦しく、健常者でさえ日々の暮らしに事欠く中、障害者は一層困難な生活を強いられています。
 そうした状況を少しでも改善するため、難民を助ける会では昨年11月21〜28日にかけて、農業が主産業であるガーム・ダルバン両郡の地元障害者連盟に、トラクター・ミニコンバイン・製粉機の3種類の農機具を提供し、両連盟の所有農地で、彼らが行う小麦とジャガイモの栽培を支援しました。小麦粉からはタジクナンと呼ばれるパンの一種が作られます。ジャガイモも、人々の普段の食事に欠かせない食材です。この二つの食材を育て、障害の程度と生活の困窮さの度合いを考慮の上、連盟に登録している障害者家庭に配るというものです。


■食べたら終わりではなく、次につながる支援を

収穫されたじゃがいも
収穫されたじゃがいも
来年、再来年と収穫量が少しずつ増えることを願って。
食糧は、食べてしまえばそれで終わりです。私たちが目指したのは、一度限りの支援ではなく、未来につながる支援でした。あえて農機具を提供し、それを使って収穫された作物の一部を翌年の植付けに使用することにより、継続した収穫が行えるようにしたのです。
 雪解けの過ぎた今春の4月、やっと私たちが提供したトラクターを使っての農地整備が始まりました。その後、障害者連盟本部や地方行政府から支給されたジャガイモの種イモを植えつけました。片腕を失った方や、心臓疾患で高負荷の仕事は止められている方など、様々な障害者がいますが、軽度の障害者がこの作業の一部に参加してくれました。
 8月後半から9月にかけては、待ちに待った収穫の時期です。順調に育っていると思われた小麦とジャガイモはしかし、残念ながら当初の予想を下回る収穫量でした。日本同様、猛暑がタジキスタンを襲うなど、例年に比べて厳しい天候が原因のようでした。いつも元気なガーム障害者連盟長も少し気落ちした様子。しかし、「今年はまだ一年目。来年、再来年と収穫量を少しずつ増やしていきましょう」と私が声をかけると、笑顔を取り戻してくれました。
 事業開始から1年。やっと結果が見えたことに感慨深い思いを抱くとともに、困難な状況にある障害者の方々に少しでもお役に立てたことを嬉しく感じました。

内戦で焼失した病院の代わりに使われていた木製のコンテナ。かなり老朽化していた。
木製のコンテナを診療所代わりに。
内戦で焼失した病院の代わりに使われていた木製のコンテナ。かなり老朽化していた。

■暖房も灯もない木製の診療所で…
 もう一つの事業は、ダルバン郡中央病院の施設であるヘルスセンター(外来患者用の診療施設)再建です。皆さん想像してみてください。木でできたコンテナの中で、寒い冬に暖房もなく、明かりも少ない中で診療を受ける患者たちの姿を。
 内戦によって焼失してしまったヘルスセンターの代わりに、人々は木製コンテナを使用し急場をしのいできました。とはいえ、10年以上も風雨にさらされて、雨漏りなど随所が老朽化。冬場は、厳しい寒さの中、木製の限られたスペースのためストーブを使うこともままならず、患者だけでなく医師たちにとっても、限界に近い状態でした。


一層充実した支援を目指します
タジキスタンの伝統で、歓迎する際に出されるタジクナンをつまみ、小皿に盛った塩をつけ食する田部駐在員(右)。左横は在タジキスタン日本国大使館の大野浩司書記官。
真新しく生まれ変わったヘルスセンターの開所式。
タジキスタンの伝統で、歓迎する際に出されるタジクナンをつまみ、小皿に盛った塩をつけ食する田部駐在員(右)。左横は在タジキスタン日本国大使館の大野浩司書記官。
2003年10月、ついに再建が始まりました。作業は、難民を助ける会側の技術者も定期的に現地を訪れて進捗状況を確認するなど、工程を管理しつつ進めました。厳冬期の降雪や低温下での一時中断を経て、ようやく今年の初夏には作業が完了。10月には在タジキスタン日本大使館の方をお招きして開所式までこぎつけました。現在は診療開始に向けて準備中です。再建されたヘルスセンターの建物に隣接する、旧感染症病棟の施設も、今回の再建を契機として修復作業が開始されています。
 すっかり秋の装いが深まる山並みの中、遠目からも新築のヘルスセンターが誇らしく映ります。これからは、灯の明るくともった施設で診療することができます。また、今回は充分なスペースが確保されたので、これまで無かったリハビリテーション課も設置できることになりました。これで、障害者への支援内容も一層充実するでしょう。
 新しいヘルスセンターでの診療体制が一日も早く整備され、これから迎える厳しい冬にかけて、地域の方たちの健康維持に役立ち、一人でも多くの患者の笑顔を見られることを祈っています。 
 難民を助ける会は、隣国アフガニスタンに劣らず厳しい状態の続いている、タジキスタンの方々を今後も支援して行く予定です。皆さまのご理解とご支援を頂けますよう、お願い申し上げます。

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