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活動報告
タイトル
13年目に入ったカンボジア障害者支援センター
報告者
カンボジア事務所駐在員  鷺谷 大輔
報告年月日
2005年10月
難民を助ける会では、1993年2月よりプノンペンにある「キエンクリエン障害者支援センター」を運営、障害者の社会的・経済的・精神的自立支援を目的とした職業訓練事業と、車椅子製造配布事業を行っています。今年で13年目に入った当事業は、今後ミャンマー・カンボジア両事務所を兼務する加藤美千代駐在員が担当しますが常駐はせず、カンボジア人スタッフが中心となって事業を運営管理していきます。以下は、9月に帰国した鷺谷大輔駐在員からの報告です。
■スタッフの意識に大きな変化が
写真の説明を入れてください。
キエンクリエン障害者支援センターのスタッフたち
センターのスタッフたちは高い意識をもって日々の業務に励んでいます(左端が鷺谷駐在員)
私が赴任した3年前、スタッフたちは比較的難しい問題や仕事に直面すると、「分からない」「できない」という返答が返ってくることが多かったのですが、最近は「考えてみます」「挑戦してみます」という発言が目立つようになりました。大きなきっかけとなったのは、2003年11月に行った参加型評価(詳しくはこちらをご覧ください)でした。
当時はスタッフ共通の事業目標や活動計画が明確化されておらず、皆それぞれの業務をこなすだけでした。
そんな中で実施した参加型評価は、事業をよりよくするという目的とともに、スタッフ自身が考え判断し、行動できる力を養うということも、目的となっていました。
当初カンボジア人スタッフは、評価に対して戸惑いと恐れを抱いているようでした。しかし結果は、スタッフの大きな意識改革をもたらしたのです。スタッフの自主性や参加意識、事業への意欲や、取り組む態度が大きく変わりました。
こうした前向きな姿勢が培われたことは、カンボジア人スタッフの自立に繋がり、今後の事業展開にとって大きなプラスになるはずだと確信しています。

(注)参加型評価では、支援を受ける人・スタッフなど、事業に直接関係する人々が主体となって事業の内容や質について見直します。参加者が事業との関わりや影響を自覚するようになり、その過程で有用な知識や教訓を得ることができます。そして事業がより良く行なわれるようになる、と考えられています。

■「自分が変われば、社会も変わる」と信じて
自分たちの力だけで事業を継続していくことを目指して、カンボジア事務所では現在、スタッフが共同で今後の活動計画を作成しています。「自分たちの事業を自分たちで良くしていこう。そうすればいつか社会は変わる。」スタッフ全員がそう信じ、自立の精神をもって取り組み始めています。障害者を支援するためにどのような活動が適切なのか、障害者はどのような活動を一番望んでいるのか。彼ら自身が考え、答えを出すことが重要なのです。これからは駐在員が常駐しないため、現地スタッフが自分たちで考え判断し、事業改善を試みることが求められているのです。正直不安もありますが、それ以上にきっと大きな成果を上げてくれると期待を寄せています。

■徒弟制度のスタート
協力してお客さんのバイクを修理する
徒弟制度によって卒業生が訓練生を指導する
近ごろカンボジアは目覚しい経済発展を遂げていますが、それは都市に限られ、地方との経済格差は広がる一方です。人口の80%以上が地方に住む農民で、その多くが貧困に直面しています。障害者は依然として最貧困層に位置づけられ、差別されている状況が続いています。
そんな中、障害者である訓練生たちが卒業後も精神的・社会的に自立するための支援の一環として、2004年7月より徒弟制度を試験的に始めました。これは、今までの卒業生497名から技術的に優れ、他人に教える意欲がある卒業生を選び、訓練生がその卒業生の修理工房に直接弟子入りする活動のことです。こうした活動を通して障害者は地方にいながらにして、同じ障害者たる師匠から、技術や知識の伝達を受けられるようになるのです。
この徒弟制度は2005年より本格スタートし、現在はバイク修理とテレビ・ラジオ修理コースを実施しています。この制度の導入により、卒業生や訓練生は技術の習得だけでなく、地方での障害者同士の連携と、同じような境遇にある障害者同士が助け合う相互援助の精神も学んでいます。

村に帰っても、卒業生同士でつながり支え合おう
またカンボジア事業では、2004年より卒業生による自助組織(Self Help Group=SHG)の設立・育成に力を入れてきました。SHGの活動は、障害者同士が同じ悩みを共有し、支え合い「自分が変わること」、そして啓発活動等を通して「社会が変わること」を目的としています。
今は卒業生同士の住まいが離れていることもあり、大規模なSHGは設立されていませんが、中には卒業生同士が頻繁に連絡を取り合い、工房の経営等について知恵を出し協力し合い、精神的な悩みも打ち明け合うパートナーという関係が築かれつつあるグループもあります。
今後、卒業生同士が触れ合う機会を提供する同窓会を企画したり、訓練生が他団体のSHGを見学できる機会を提供するスタディツアーを企画したり、SHG活動を活性化させていく取組みが必要だと思っています。

■訓練生の精神的・社会的自立を目指して
写真の説明を入れてください。
生徒会で様々な問題を話し合う
将来のリーダーもこの中に!?
2004年より職業訓練校では生徒会を立ち上げました。生徒会では、月1回、訓練生だけで集まり様々な議題、例えば村で受けた差別・村で起こる問題・障害者の権利等について話し合います。また、自分の生き方のモデルとなる人に出会う機会を提供するため、社会で活躍する障害者を招き、話を聞くこともあります。
この生徒会設立によって訓練生の絆を深めると同時に、各々が自信を深め、村に帰ってからの精神的・社会的な自立を促すことが目的です。この中から障害者のリーダーを育成するという狙いもあり、期待しています。

■充実した3年間でした
3年前の赴任時、「カンボジア事業は海外事業の中で最も歴史が古く、いわば当会の看板的事業であり、顔である」と言われ、不安と希望に胸を膨らませてプノンペン国際空港に降り立った日のことが、昨日のことのように思い出されます。
写真の説明を入れてください。
スタッフと談笑する鷺谷駐在員(左)
現地スタッフからの信頼は厚い

あれから3年。苦しいこと、楽しいことがたくさんありましたが、充実した時間を過ごすことができました。これもひとえに、カンボジア事業を応援してくださったすべての方々のお蔭であり、今は感謝の気持ちでいっぱいです。この場を借りて、心よりお礼申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
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