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活動報告
タイトル
「ザンビアの現実を突きつけられました」エイズ対策事業の視察報告
報告者
難民を助ける会副理事長 加藤 タキ
報告年月日
2006年5月
難民を助ける会では、ザンビアでエイズにより親を亡くした子どもたち等への就学支援や、子どもたちの保護者世帯への食料支援と栄養改善指導を行っています。また、エイズの予防啓発活動も実施しています。今年の2月19日〜3月2日にかけて、加藤タキ副理事長が現地を視察に訪れました。
以下は、3月11日に青山学院大学(東京都渋谷区)で行われた加藤副理事長の視察報告会の様子をまとめたものです。
加藤タキ副理事長(左)。ザンビアで出会った赤ちゃんと
一見健康そうな赤ちゃん。でも炭水化物太りで栄養のバランスは偏っているのです…
(左は加藤タキ副理事長)
皆さまこんにちは。加藤タキと申します。昨年の6月から難民を助ける会の副理事長を務めております。
私の母(故 加藤シヅエ:日本の女性解放運動家・政治家)は相馬雪香会長と長年懇意にさせていただいており、会の設立発起人でもありました。私は母の遺志を継ぐ形で、昨年還暦を迎えるにあたり、仕事をすると同時に社会に還元できることをしたいと決意し副理事長となった次第です。

 さて、今回のザンビア視察の感想を一言で述べるとすれば、「日本では当たり前と思って暮らしているその日常が、ザンビアではすべて非日常であるということ。そしてあちらでの日常が、日本での非日常である」ということです。想像以上のショックでした。
■死を待つホスピスで
死を待つ患者に声をかけると、一瞬笑顔が戻りました
死を待つ患者に声をかけると、一瞬笑顔が戻りました

(右は加藤タキ副理事長)


首都ルサカ近郊のチランガという場所で、教会が運営するホスピスを訪れました。そこにはエイズウィルス(HIV)に感染した患者たちが、暗い顔でベッドに横たわっていました。

彼らの表情は、死に対する恐怖、残されるわが子の将来への不安などでいっぱいでした。私が名前をお聞きし、「なんて素敵なお名前でしょう!」と言うと、やっと少しだけ笑顔になってくれた方もいましたが、最後まで表情が硬いままの方もいました。

 その後、ホスピスで週1回行うというHIV感染者の集いにも参加しました。いつ絶えるかわからない命なら、それまでどう自立して前向きに生きるかを話し合おう、治療に関する情報を交換し合おうという場です。
彼らが最後に日本から来た私たちのために歌ってくれた歌「レサパーリエ(現地語で"神のお恵みを”の意)」が忘れられません。
子どもたちのほとんどが、親をエイズで亡くした孤児たちです
子どもたちのほとんどが、親をエイズで亡くした孤児たちです
(チランガの小学校にて)
■自分の顔を知らない子どもたち
 ホスピスの隣に併設された小学校も訪れました。約1800人の生徒のほとんどが、親をエイズで亡くした孤児たちです。

この学校は午前と午後の入れ替え制で、朝食または夕食がつきます。食事といっても日本の給食とはほど遠い質素なものですが、一食つくといって彼らは喜んで来るのです。

 授業の後、デジタルカメラで子どもたちの写真を撮ってあげました。でも、写真を見せても自分がどれだかわからない。鏡がないので、これまで自分の顔を見たことがないのです
■娯楽もなく、夜は電気もない国で
エイズに感染する危険があると知りながら、「セックスは楽しい」というような踊りを始める若者たち
エイズに感染する危険があると知りながら、「セックスは楽しい」というような踊りを始める若者たち

(当会が支援する学生グループの集いにて)


当会が支援する学生グループの活動にも立ち会いました。14歳〜23歳の学生約50人が、劇や話し合いを通してエイズについて学びます。

しかし驚いたことに、自分たちでHIVから身を守らなければならないと知りながら、最後にはある20才過ぎの男の子が、「セックスは楽しい、最高だ」というような踊りを始めたのでした。

本も映画もテレビも、日本のように誰もが楽しめる訳ではありません。夜は電気もない限られた場所では、楽しみといえば、男女のそうした営みしかないのかもしれません。
エイズウィルス(HIV)に感染した娘を養う母親は、希望をなくしていました
エイズウィルス(HIV)に感染した娘を養う母親は、希望をなくしていました
(ンゴンベ低所得者居住区にて)
■各家庭で見たエイズの現実
 ンゴンベという低所得者居住区では、当会の現地ボランティアの女性たちがHIV陽性者のいる家庭を訪問し、家族構成や食事の様子などを調べていました。

当会が支援する、ある家庭の奥さんはHIV陽性者。ご主人は当初奥さんのエイズ発症がわかると家を出て行きましたが、自身も発症して戻ってきたそうです。6畳一間に家族大勢が床にござを敷いて寝ていました。

 ある家庭では男の子が、ある家では娘がHIVに感染していました。どちらの家も、家族は希望をなくしていました。エイズの現実を見せつけられた思いでした。
■身近な食べ物が一層美味しくなるヒミツを伝授
普段食べている食材が、一工夫加えるだけで、見違えるほどおいしくなります
普段食べている食材が、一工夫加えるだけで、見違えるほどおいしくなります

(栄養改善ワークショップにて)


難民を助ける会が開催する栄養改善ワークショップにも参加しました。当会が配布する食糧(メイズの粉25kg、煮干2.5kg、クッキングオイル1g、大豆の粉2kg)の栄養素について教えるほか、限られた種類の食材でいかに栄養価を高め、おいしいものを作るかを指導します。

参加者は30〜40人ですが、「食料がもらえるから」という理由で嫌々ながら参加したある男性は、できた料理を食べると表情が変わりました。
「うまい! 大豆の粉がこんなにおいしいとは。サラダオイルをちょっと足すだけで、シーマ(ザンビアの主食。メイズの粉をこねて作る)の栄養価が高まりこんな美味になるなんて驚きだ。早速家に帰って女房に報告しなくちゃ」と感謝の言葉を述べてくれて、こちらも感激しました。

この子たちの瞳の輝きが失われることがないように、難民を助ける会は活動を続けていきます
この子たちの瞳の輝きが失われることがないように、難民を助ける会は活動を続けていきます
(中央は加藤タキ副理事長)
■子どもたちの笑顔が失われないよう
 現地で出会った子どもたちはみんな可愛くて、赤ちゃんは抱っこするとニコニコしてくれました。
一方で、平均寿命が32.7歳(最近は33.4歳になったそうです)と、この子たちの親の世代が根こそぎ亡くなっているという現実があります。
 私がザンビアで見てきた様々な現実が、非日常になる日を願っています。

ザンビアでの活動についてはこちらをご覧ください。

レッドリボンキャンペーン実施中。
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