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活動報告
タイトル
映画で育て!アフガニスタンの若い世代
報告者
アフガニスタン カブール事務所駐在 鈴木 信
報告年月日
2006年11月
難民を助ける会では、アフガニスタンの首都カブール周辺で、主に地雷対策事業を、北部タカール州で障害者支援を行っています。現在、カブール周辺では国連アフガニスタン地雷対策センター(UNMACA)と協力し、アフガニスタン全土で使用する地雷・不発弾回避教育の教材作成および移動映画教室の運営の他、障害者向けのパンフレットを作成中です。
あなたの村へ、映画を出前します
アフガニスタンの地図
アフガニスタンの地図

 移動映画教室、通称「モバイルシネマプロジェクト」は、難民を助ける会がアフガニスタンで2005年の夏から開始した、地雷回避教育活動です。映画を通して地雷や不発弾の危険から身を守る方法を伝えようというもので、機材を車に積んで、アフガニスタンの村々を移動しながら上映します。

 映画は二本立て。一本目のタイトルは『帰郷』。避難先の隣国から帰還する人々が、故郷へ帰る道すがら、地雷と不発弾の恐ろしさを学ぶというストーリーです。もう一本は『我が祖国』。ある地雷除去員の活躍と、地雷回避教育の現場を、ドキュメンタリーとして追っていきます。


楽しみの少ないこの国で、映画は数少ない娯楽です
移動映画教室に参加しようと列をなす子どもたち
 大都市ですら娯楽の乏しいこの国では、人々にとって映画は大きな楽しみです。彼らの関心はひとかたならぬものがあり、重要なメッセージを伝えるのにこれほど適した媒体は無いでしょう。
上映に当たり村長からの許可を取り、上映場所を確保し、村人に告知をするのも我々の仕事。これまでの一年間、失敗もしながら、少しずつ経験を重ねてゆきました。

例えば、上映する予定の村に行ったら、もぬけのからで住民が一人もいないことがありました。そこは水もほとんどない厳しい生活環境で、住民たちはパキスタンへ移動したようでした。
また、毎週月・水曜日に市場が開かれる場所だと知らずに、上映機材一式を積んだ車で向かったら、群衆に囲まれてパニックになったこともありました。そういう場所ではヤギに体当たりされたり、羊に服を食われたりしたものです。

このような経験を重ねながら、 10月半ばでの動員数は54,859人、講習回数1,033回。これが2005年8月開始時からの実績です。
子どもから大人まで、行く先々で引っ張りだこ
説明はわかりやすく、聞く側も真剣な表情です
上映後、ポスターや冊子を通して地雷の種類や危険について、スタッフのサイード・グルが説明します

 現在、アフガニスタンで活動する移動映画教室は、難民を助ける会のみ。地方へ行く機会に各地の関係者と意見交換をすると、必ず「次はいつ来られるのか?」と聞かれます。
それだけ期待され、受け入れられているのを知るにつけ、毎日の積み重ねが形になって行く実感がわきます。

 参加者の多くは小中学生。これからのアフガニスタンを担う若い世代です。皆おとなしく(たまに
興奮気味の子もいますが)映画を観た後の講習では、先生の話を良く聞いています。
大人の参加者は子どもに比べれば少ないものの、農作業の合間に集まり真剣に話を聞いています。
実際、地雷や不発弾に遭遇する確率は、こうした参加者が一番高いと言っても過言ではありません。

泥壁でつくった建物に移動映画教室はやってきます
こんな場所に移動映画教室はやってきます

 講習後は、村人と意見交換し、地雷除去団体への連絡を依頼されたり追加の教材を依頼されたりと、講習以外でも現場との連絡役を務めるのも私たちスタッフの仕事です。

彼らが安全な祖国を築ける日を願って止まない
難民を助ける会作成のパンフレットで、地雷を回避する方法について学ぶ子どもたち
■アフガニスタン人の手で国を築ける日まで
 2年目に入ったプロジェクトのもう一つの成果は、アフガニスタン人スタッフだけで活動を運営できるようになりつつあることです。

 当初こそ日本人駐在員も参加しながら進めていましたが、経験を積むに従い、ほぼ自分たちだけで、これまで培った知識と経験を生かしながら、地域との連携を深めています。
 そして今彼らは、人命を救うことにつながるこの仕事に、大きな手ごたえと誇りを感じています。

 今後の目標は「自立」。
 これは難民を助ける会のスタッフにとどまらず、現在のアフガニスタンに最も求められていることの一つだと思います。
 タリバン政権から現政権に代わって約5年が経ちますが、未だにきな臭いニュースや悲しい話題が多いのが実態です。
  まずは、「今人々に何が一番求められているのか」を見極め行動に移せるように、私たち移動映画教室のスタッフが自立することを目標に掲げています。さらには、このスタッフの育てた若い世代が、一日も早く彼ら自身の手で、安全なアフガニスタンを築いていくことを祈って止みません。
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