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活動報告
タイトル
1人ひとりの障害を補う車イスを目指して…
ラオスチームの挑戦は続きます
報告者
ラオス事務所駐在 内野 里美

ラオス事務所駐在 内野 里美  2005年5月よりラオス駐在。中学校時代に東南アジアに関心を持ち、大学ではラオス語を専攻。「ラオス社会の障害者への無関心を変えていきたい」と、得意の語学力を活かし現地で活躍中。
報告年月日
2007年1月
難民を助ける会では、国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業(草の根パートーナー型)として、車イス普及支援を継続しています。1人ひとりの障害を補う車イスの供給を目指し、現場では日々試行錯誤を重ねています。(ラオスの活動についてはこちらをご覧ください ラオスの地図
詳細
■やっと念願の学校へ
年下の子どもたちに混ざり、懸命に授業を受けるソムポーンさん(15歳)。後ろにあるのは難民を助ける会が支援した手こぎ三輪車
年下の子どもたちに混ざり、懸命に授業を受けるソムポーンさん(15歳)。後ろにあるのは難民を助ける会が支援した手こぎ三輪車
  難民を助ける会が支援を行う国立リハビリテーションセンター(NRC)は、ラオスで唯一車イスを製造し提供する機関として大事な使命を持っています。これまでの製造・配布台数は約1,280台。受け取った多くの障害者が社会への一歩を踏み出すことができました。

 小児マヒ(ポリオ)が原因で両足がマヒしているソムポーンさん(15歳・男性)もそんな1人です。
  彼は2004年にNRCから手こぎ三輪車(車輪が3つあり、自転車のような形をした車イス。二輪より悪路に強く、戸外で使用される)を受け取りました。

 車イスを手に入れる前は、長い距離を移動する手段がなく、学校へ通うことができませんでした。現在は毎日、家から2kmの距離を手こぎ三輪車で通学、自分と年齢が離れた同級生たちに混じり、小学校で学んでいます。
  彼の家から学校までの道は舗装されておらず、雨が降ると赤土の道はグチャグチャにぬかるみ通学は困難です。ソムポーンさんは、そんな悪路でも車輪が泥にはまらないための泥除けと、より安全に乗れるよう後輪にブレーキを付けて欲しいと希望しています。

 勉強熱心なソムポーンさんの将来の夢は、電気機器の修理技師になること。是非かなえて欲しいです。
 
チャンウォンさんは、難民を助ける会が支援した車イスを使うようになってから、縫製の仕事も移動も楽にできるようになりました
チャンウォンさんは、難民を助ける会が支援した車イスを使うようになってから、縫製の仕事も移動も楽にできるようになりました

■より良い車イスにするには、利用者の意見が大切
 ビエンチャン市内に住むチャンウォンさん(31歳・女性)も、ポリオにより両足が不自由です。現在は、ラオス障害者女性開発センターで訓練生兼職員として縫製の仕事をしています。

 チャンウォンさんは2006年7月に車イスを受け取り、以来、仕事場では車イスを使用しています。以前は松葉杖で歩いていましたが、足の力が弱くなり移動が困難になってきたため、NRC製造の車イスを得てとても助かっているそうです。外では手こぎ三輪車も併用しています。

 難民を助ける会では、その後もチャンウォンさんの要望に沿い、使いやすいように車イスを調整してきました。彼女のように、自分に合った車イスを追求する姿勢はとても大切です。なぜならば、利用者の要望や意見を聞くことで、私たちもより良い車イスを製造することができるからです。
脳性マヒで足が不自由なウンフアンくん。NRCが製造した手こぎ三輪車を練習中
脳性マヒで足が不自由なウンフアンくん。NRCが製造した手こぎ三輪車を練習中
■今できる最善の支援を考える
 しかし、必ずしもその人の障害に合った車イスを提供できない場合もあります。
例えばビエンチャン近郊のセーンディン村に住む脳性マヒのウンフアンくんの場合。10歳になる彼は、普通に歩くことは難しいですが、つたい歩きは可能です。これまでは、家の周囲は車イスを押して歩行、学校までは誰かに背負ってもらい登校していました。
難民を助ける会では彼の今の身体機能を活かすため、当初は車イスでなく車輪付き歩行器を検討しました。

 しかし彼の住むセーンディン村は主要な道路さえ未舗装で、歩行器が使える環境ではありません。そこで、本人の希望もあり、特別小さいサイズの手こぎ三輪車を製造。しかし彼の身体でこぐには力が要り、座っていても体のバランスがとれず、こぐ度にお尻が浮いてしまい、ハンドルの操作もままなりません。彼が使いこなせるようになるためには、手こぎ三輪車の構造自体にもっと改善が必要です。
それでも、彼の村では使えない歩行器や二輪の車イスを渡すよりは、手こぎ三輪車を提供することがこの場合は最善の策でした。彼もあきらめずに必死で練習をしています。

 現在は、友だちに手こぎ三輪車を押してもらいながら通学しているウンフアンくん。表情は以前よりずっと明るくなりました。
より良い車イス作りを目指して奮闘中です(左は内野里美駐在員)
より良い車イス作りを目指して奮闘中です(左は内野里美駐在員)
■台数を増やすだけでなく、質の向上を目指して
 このように、本当の意味で彼らの足となるような車イスを作るには、まだまだ多くの課題があります。難民を助ける会では、試行錯誤を繰り返しつつ、障害者の査定と診断に重点を置き、各障害者の症状や身体機能、生活環境に合ったものを安定して供給できるよう努めています。

 今年は製造台数を増やすだけでなく、製造・配布のしくみを確立し引渡し後の修理・調整などのアフターケアを含めた車イスサービスの質を、車イス工房の技師とともに高めていきたいと考えています。

 日々の活動の中で、様々な障害を持った方たちとその家族に出会います。その度に、車イスは社会参加のきっかけとなるもの、そして家族や親戚、友人の支えがあって初めてその一歩を踏み出すことができると実感します。
 ラオスで、より多くの障害者が社会の一員として活動できるよう、引き続き温かい応援をお願い致します。

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