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活動報告
タイトル
レバノンで不発弾とともに生きる子どもたちへ
不発弾・地雷回避教育を行っています
報告者
レバノン事務所駐在 柴崎 大輔

レバノン事務所駐在 柴崎 大輔  宮城県出身。2005年1月よりスリランカ事務所に駐在し、2006年10月よりレバノン・ベイルート事務所駐在。大学院では主に紛争国の復興について学ぶ。国際協力機構(JICA)理数科調査団としてスリランカに滞在後、難民を助ける会へ。
報告年月日
2007年2月
2006年7月のイスラエルによるレバノン空爆後、レバノン南部では今も復興活動が続いています。インフラ整備が進む一方で、不発弾が数多く残り、現在までに208名の被害者(2007年1月18日現在)を出しています。難民を助ける会では、旧ユーゴスラビアアフガニスタンアンゴラでの地雷対策事業を通して培ったノウハウを生かし、ジャパン・プラットフォームの助成を受け、レバノン南部で不発弾・地雷回避教育を実施しています。(レバノンの活動についてはこちらをご覧ください)。 レバノンの地図
詳細
■南部に多い不発弾・地雷…回避教育の浸透は不十分
南部に広がる畑には、無数の不発弾が潜んでいます
南部に広がる畑には、無数の不発弾が潜んでいます
もともと、レバノンではイスラエルとの戦争や内戦により多くの地雷が埋められており、それらの除去活動とともに、回避教育活動が実施されてきました。
そのおかげもあり、不発弾や地雷の見た目や形などについての知識は広まりつつありますが、その危険性や回避の方法に関する知識は十分浸透していないことがたびたび指摘されます。

2006年のイスラエルによる空爆と戦闘により、様々な不発弾が残っています。その中で数多く見受けられるのが、クラスター爆弾の子爆弾です。それに伴い被害者も急増しています。

爆弾の一部を軒先にオブジェとして飾るレバノン南部の民家。被害が広がる一方で、爆弾の危険性は十分認識されていない
爆弾の一部を軒先にオブジェとして飾るレバノン南部の民家。被害が広がる一方で、爆弾の危険性は十分認識されていません

先日訪れた山奥のハルタ村は、オリーブや柑橘類を栽培して生計を立てていますが、最近この村の農地で不発弾により3名が犠牲になりました。「農地には爆弾がある」、でも、「生活をしていくためには、農地を耕さないといけない」。このジレンマが、住民を苦しめています。

 
街に出て、住民たちに不発弾や地雷についての基礎知識についてインタビュー。回避教育の必要性を再認識しました
街に出て、住民たちに不発弾や地雷についての基礎知識についてインタビュー。回避教育の必要性を再認識しました

■学校でのクラブ活動やボーイスカウトを通して、子ども主体の回避教育を
現在、難民を助ける会では事業実施に向けて、現地の提携団体LMRC(Landmines Resource Center)とともにニーズ調査を行っています。その調査の中で特に注目すべき点は、子どもへの回避教育の重要性を多くの住民が述べていることです。
子どもたちは、十分な知識や正しい行動を身に着けておらず、面白半分で爆弾を見つけてきては遊んでいるというのです。
このような現実を踏まえ、当会ではLMRCとともに、レバノン政府や国連と連携し、子どもたちを対象に不発弾・地雷回避教育を行うことを決定しました。

では、どのようにして子どもたちへ回避教育を浸透させれば良いのでしょうか。

子どもたちが主役となれば、効率的かつ効果的に回避教育事業を広めていくことができるのではないか? そう私たちは考えました。

レバノンでは、学校でのクラブ活動が活発です。特に、社会奉仕活動を中心に、先生、生徒、両親、地域が一体となって、さまざまな活動を行っています。受け身で退屈な授業とは違い、クラブ活動では子どもたちが生き生きと学ぶと同時に教える側として、子どもたち同士で広めていくことができます。

一方、レバノン南部の村では、長年の紛争により学校が破壊され、未だ再開のめどが立っていない所も多く、そのような地域ではボーイスカウトによる活動が活発です。

そこで、難民を助ける会とLMRCでは、早速クラブ活動とボーイスカウト活動それぞれの窓口となる、学校の先生たちとスカウト団体への回避教育トレーニングを実施しました。

先生たちによる真剣な議論が続きます(右端はハブーバLMRC代表)
先生たちによる真剣な議論が続きます(右端はハブーバLMRC代表)

■紛争の中で育った子どもたちに、どのように不発弾の危険を伝えるか
 先生たちは、自らの経験や生徒たちについての意見を交換し、情報を共有し合いました。
その中で、ある先生は「紛争の中で生まれ育った子どもたちにとって不発弾は身近なもので、興味本位で拾ってきては遊んでしまいます。大人が同じことをしても怪我をしていないのを見て、大丈夫だと思いこんでしまうのです」と話してくれました。
また、「テレビや映画でかっこいい主人公たちが地雷や不発弾からうまく身をかわしているのを見ている子どもたちは、これは危険ではないんだと思いこんでいます」という、メディアの影響についての意見もありました。

回避教育のための寸劇を披露してくれたボーイスカウトのメンバーたち。子どもたちも盛り上がりそうです
回避教育のための寸劇を披露してくれたボーイスカウトのメンバーたち。子どもたちも盛り上がりそうです

一方、ボーイスカウトを対象にしたトレーニングでは、不発弾は子どもの視点から見てどのような危険があり、それに対してどのような行動を取るべきかについて、グループ毎に活発な議論が行われました。

回避教育活動を広める手段として歌を提案したグループは、不発弾や地雷を見つけたら、「近づかない」「触らない」「すぐに大人に知らせる」というメッセージをいれ、即興の歌を作りました。

寸劇のアイデアを出したグループは、「不発弾の埋まる畑にサッカーボールが入ってしまったら…」という設定で、即興の劇を披露。サッカー少年に扮したメンバーの一人が、 「お母さんが、不発弾の印がついたところには入っちゃダメって言ってたよ」と言うと、もう一人も「畑に入れば爆弾を踏んで死んでしまうかもしれないよ」と注意し、子どもたち同士で危険を回避することができた、という内容です。他にもたくさんのアイデアが出て、会場は大いに盛り上がりました。

今後、こうした話し合いやトレーニングをもとに、子どもたちへの回避教育の方法を具体化していく予定です。

レバノン南部の学校に記載してあるポスターを見ながら、回避教育の状況について説明を受ける柴崎駐在員
レバノン南部の学校に貼られたポスターを見ながら、回避教育の状況について説明を受ける柴崎駐在員
■子どもたちの行動を変えていこう
 人間の習慣や行動を変えるには時間が必要です。そして、どの世代においても、変化には大きな反発や困難がつきものです。
しかし、不発弾と共に生活し、その危険が最も身近にある子どもたちを守るためには、子どもたちの行動を変えていかなければなりません。それをあたらめて強く感じました。

今後は、クラブ活動やボーイスカウトを中心に、住民と協力して回避教育教材を開発し、一人でも多くの子どもたちが回避教育活動に参加できる機会を作っていきます。

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