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活動報告
タイトル
子ども劇はアイデアいっぱい!…レバノンの不発弾・地雷回避教育
報告者
レバノン事務所駐在 柴崎 大輔

レバノン事務所駐在 柴崎 大輔  宮城県出身。2005年1月よりスリランカ事務所に駐在し、2006年10月よりレバノン・ベイルート事務所駐在。大学院では主に紛争国の復興について学ぶ。国際協力機構(JICA)理数科調査団としてスリランカに滞在後、難民を助ける会へ。
報告年月日
2007年3月
2006年7月のイスラエルによるレバノン空爆後、レバノン南部では今も復興活動が続いています。インフラ整備が進む一方で、不発弾が数多く残り、現在までに208名の被害者(2007年1月18日現在)を出しています。難民を助ける会では、旧ユーゴスラビアアフガニスタンアンゴラでの地雷対策事業を通して培ったノウハウを生かし、ジャパン・プラットフォームの助成を受け、レバノン南部で不発弾・地雷回避教育を実施しています。(レバノンの活動についてはこちらをご覧ください)。 レバノンの地図
詳細
■春到来…外で遊ぶ子どもたちには危険がいっぱい
南部に広がる畑。不発弾があると知りつつ、忙しい時期には家族総出で畑に入らざるを得ません
南部に広がる畑。不発弾があると知りつつ、忙しい時期には家族総出で畑に入らざるを得ません

3月を迎え、レバノンも温かい陽気になってきました。
これから夏に向けて気温が上がり、心地よい季節を迎えますが、一方で、レバノン南部でのクラスター爆弾や地雷による被害は続いています。
国連などによる除去作業は中心地域を主として行われていますが、郊外や一般家庭の庭先の除去までには至っておらず、多くの被害者が出ています。

さて、レバノンの子どもたちもご多分にもれず、外で遊ぶのが大好きです。多くは、不発弾やクラスター爆弾についての十分な知識もなく遊びに夢中になり、危険な場所に足を踏み入れてしまいます。また、レバノン南部に多い農家では、家族総出で農作業に取りかかることもあり、不発弾や地雷が残る危険を知りながらも、子どもたちを農地に入れてしまいます。

 
パッブウシュ公立学校の子どもたちが上演した創作劇。不発弾により死んだ友を悼む迫真の演技に、観客も引き込まれました
ハッブウシュ公立学校の子どもたちが上演した創作劇。不発弾により死んだ友を悼む迫真の演技に、観客も引き込まれました

■子どもたちの考えた創作劇、迫真の演技に大拍手!
これらの危険から子どもたちが身を守れるよう、難民を助ける会は、子ども同士で学べる不発弾・地雷回避教育活動を実施中です。回避教育の研修を受けた先生たちが学校に戻り、クラブ活動でその知識を子どもたちに伝えます。
そして、先生のお話をもとに子どもたち自身でお芝居を作成し、披露してもらいました。

南部のナバティエ県にあるハッブウシュ公立学校では、20名の小学生が自らお芝居のストーリーを考え、「不発弾や地雷から身を守るためには、どんなメッセージを送ったら良いのか」を、先生や保護者たちと一緒に話し合い、約1ヵ月の練習を経て立派な創作劇を完成させました。
内容は、友だちとみんなで山にピクニックへ行き、一人が花を摘みに草原に入ったところ、誤って不発弾を踏み亡くなってしまう、というもの。
大切な友を失った子どもたちは、なぜこんなことが起きたのか、二度とこのような悲劇を繰り返さないためにはどんな行動を取るべきかなどについて、一緒に考え、大人顔負けの迫真の演技を披露してくれました。
観客席で最初は騒いでいた子どもたちも、いつしかすっかり舞台に引き込まれ、みんな真剣な眼差しで見入っていました。

終了後は大喝采!
最初は騒がしかった子どもたちも、いつしか舞台に引き込まれました(レバノン南部の小学校にて)
最初は騒がしかった子どもたちも、いつしか舞台に引き込まれました(レバノン南部の小学校にて)

その後同校の校長先生より、 「このようなお芝居を通じて、子どもたち同士が学びあうことは非常に有意義であり、このような機会を与えてくれた難民を助ける会の皆さんに感謝します」とのお言葉をいただきました。
演技した子どもたちはもちろんのこと、指導した先生や教育省の関係者などが「実に素晴らしい内容だった」と言っていたのが印象的でした。

■アイデアの宝庫!子どもたちの劇は鋭い視点がいっぱい
 同じくナバティエ県にあるアブドゥル・ラティフ・ファヤド公立学校の子どもたちが行ったお芝居では、いくつか興味深い点がありました。ストーリーは、こちらもやはり山にピクニックに行った際、ボールが間違って危険地域と表示されてある場所に入ってしまい、危険と知りつつも足を踏み込んでしまった、という設定です。
「どうやってそこから逃げたらいいの?」「なんで危険地域だと知りながら、足を踏み込んだの?」など、子どもたちが、面白おかしくやりとりするのが、笑いを誘っていました。最終的には、レバノン軍がやってきて助けてくれるという話で終わります。

「危険な地域に入ったとき、まずすることは何?」
「危険な地域に入ったとき、まずすることは何?」
天を仰いで神に祈るだけでは、危険から逃れることはできません、というメッセージ

興味深かったのは、第1に、「知識」があっても、なかなか「行動」が伴わないという現実を描いていたこと。確かに、危険区域には入ってはいけないと学校や両親から教えられていても、 多分自分は大丈夫だろう」という考えから、誤った行動を取ってしまうことが多いのです。

第2に、誤って危険区域に入った場合、適切な行動を取るのにはどうしたらいいか?という点にも焦点を当てていたことです。
回避教育活動とは、まさに「危険を回避する」ための活動です。しかし、日常生活の中で不発弾や地雷とともに生きる子どもたちにとっては、回避だけではなく、実際の対処の方法を教える必要があります。

第3に、このような危険に直面したとき、神に助けを求めるだけではだめだと指摘していたことです。
人間誰しも大変なときには神だのみをしたくなるもの。実際、お芝居の中でも、子どもが神に助けを叫んでいるシーンがありました。でも、いくら神に助けを求めても、その場から逃れられるわけでないのです。適切な対応を迅速にとることが必要なのです。その点を盛り込んでいたところが、とても感心しました。

子ども劇終了後、クラスに戻った生徒たちに難民を助ける会が製作した回避教育パンフレットを配ります(右は柴崎駐在員)
子ども劇終了後、クラスに戻った生徒たちに難民を助ける会が製作した回避教育パンフレットを配ります(右は柴崎駐在員)
■子ども主体の回避教育、大切なのは継続すること
 子どもというのは、本当にアイディアの宝庫です。
指導した先生や保護者のサポートはあったにせよ、このように興味深い、迫真の演技と絶妙なメッセージを盛り込んだお芝居を実践してしまう子どもたち。なんだか、とても希望にあふれ、同時に嬉しい気分になりました。

とはいえ、今回のお芝居は不発弾・地雷回避教育活動の第一歩に過ぎません。
今後、難民を助ける会が製作した教材を学校教育やクラブ活動の中でも取り入れ、不発弾・地雷回避教育活動が繰り返し継続されることが重要なのです。
活動を通し、子どもたちが安全な暮らしを手にすることを祈ってやみません。

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