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活動報告
タイトル
活動開始からもうすぐ5年―
アフガニスタン辺境地での理学療法支援を振り返って
報告者
東京事務局 松本 理恵

東京事務局 松本 理恵  神奈川県出身。2004年4月より東京事務局勤務。主にアフガニスタン・タロカンとタジキスタン事業を担当。大学では国際開発を中心に学び、卒業後旅行会社で6年勤務。その後、難民を助ける会へ。
 
報告年月日
2007年3月
 難民を助ける会は、アフガニスタンの首都カブールから車で北へ6時間の距離にあるタカール州の2地域で、リハビリテーションクリニックを運営しています。クリニックでは、地雷被害者や小児マヒ(ポリオ)後遺症などによる障害者へ、理学療法に基づくリハビリテーションを提供しています。(アフガニスタンの活動についてはこちらをご覧ください
 2006年8月に、事業の評価を実施した松本事務局員からの報告です。
アフガニスタンの地図
■9.11アメリカ同時多発テロから5年
タカール州で難民を助ける会が運営するホジャガクリニック。地域に根ざした理学療法支援を行っています
タカール州で難民を助ける会が運営するホジャガクリニック。地域に根ざした理学療法支援を行っています

 2001年9月11日、アメリカで発生した同時多発テロに続く、アメリカ主導のアフガニスタンへの攻撃から5年が経ちました。2007年の夏には、難民を助ける会が運営するリハビリテーションクリニックも開設から5年を迎えます。

 2006年夏以降、これまでの支援活動を振り返り、今後の活動に活かすための調査を行ってきました。アフガニスタン政府の復興計画や方針、これまで診療した患者統計など資料の分析を進めるとともに、同年8月には現地調査も行いました。

■治安悪化と厳しい暑さの中での現地調査
 2006年8月、東京事務局のチーフ・コーディネーター紺野誠二とともに、現地調査を行いました。現地調査では、他団体が運営する医療施設の調査、難民を助ける会の運営するクリニックでの調査、70名のクリニック外来患者及び巡回診療の患者宅での聞き取り調査を行いました。

自宅と農地が離れているため、夏の間、人々の多くは農地のそばに仮住まい
自宅と農地が離れているため、夏の間、人々の多くは農地のそばに仮住まい

 州都タロカンに設置した事務所をベースに、タロカンからそれぞれ車で片道2〜3時間かかるホジャガ郡とカラフガン郡にあるクリニックに連日調査に出かけました。治安の悪化にともない、事務所で待機せざるを得ない日もあり、実質1週間という強行軍での調査となりました。

 さらに、調査のために臨時雇用した現地スタッフらも根を上げるほどの、40度を超える猛暑が連日続きました。
 タロカン事務所には公共電気が通っておらず、不調のジェネレーターを使用しています。ジェネレーターの故障防止、燃料節約のため、電気の使用は一日数時間にとどめています。タロカン事務所には冷蔵庫も冷房もなく、冷たいものが飲みたくなったら氷を買ってきて飲み物を冷やすしかありません。この時ばかりは、冷蔵庫や冷房のありがたみをひしひしと感じました。

■調査での嬉しいおどろき

現地で高い評価を得ている理学療法支援。外来患者の女性も笑顔で質問に答えてくれました(ホジャガクリニックにて)
現地で高い評価を得ている理学療法支援。外来患者の女性も笑顔で質問に答えてくれました(ホジャガクリニックにて)

 聞き取り調査に応じてくれた患者の内、97%が難民を助ける会の診療に満足しており、健康が改善されたことによって、87%の人々は、着脱が楽になったり、新たにできるようになったことがあると答えており、71%の人々は今まで行けなかった場所に行けるようになったと答えてくれました。

 私たち外国から来た支援者の前ですから、良いことを言う人が多いという点を考慮に入れても、この高い評価にはおどろきました。またクリニックへの外来患者のうち、口コミがきっかけで来院した患者が多かった点からも、地域に根ざした活動を行ってきた成果が現れているなと感じました。

■地味でも着実なリハビリ支援
 また、巡回診療で訪れる村のひとつ、ハンダスマル村では村人たちが資金を出し合い、難民を助ける会のスタッフが巡回診療する際に使用できる治療用の小屋を整備してくれていました。モスクがある敷地内に建つ小屋の中にゴザを敷き、ジェネレーターで医療機材を稼動することができるようになっています。
 難民を助ける会のスタッフが診療に訪れるまでは、最も近くにある医療施設まで徒歩で3時間かかったといいます。村人たちの健康にとって、この活動がどれだけ重要なものなのか伝わってきました。

病院のない村々を巡回し、猛暑の中、患者一人ひとりを診療します(タカール州にて)
病院のない村々を巡回し、猛暑の中、患者一人ひとりを診療します(タカール州にて)

 同じく巡回診療で訪れるスパンダッシュ村のある女性患者は、病気の後遺症で障害をおいました。病気にかかった時、病気を治療してくれる「病院」という存在すら知らず、さらに病院の存在は知っても遠すぎて通えないため、この巡回診療に出会うまで、医者にかかったことがなかったそうです。

 リハビリテーション支援は、なかなか成果が見えにくいため、他の事業に比べると、地味に見えるかもしれません。しかしこうして患者の方々の生の声を聞くと、一人ひとりに支援の手が確実に届いていることが実感でき、嬉しくなりました。

■アフガニスタンの人々のために
現地の人々と直接話すことで、色々なことが見えてきます
現地の人々と直接話すことで、色々なことが見えてきます
(巡回診療患者宅で聞き取り調査を行う松本事務局員・左から2番目)

 その一方で、調査を通し、今後の資金獲得方法など、さまざまな課題や反省点も明らかになりました。
 この評価で分かったことを受け、今後の方向性を策定するにあたり、まずは「アフガニスタンの人々のために何が最善なのか考えること」を大事にしたいと考えました。
難民を助ける会が、アフガニスタンでの支援を永遠に続けていくことはできないでしょう。
今後は、難民を助ける会の支援が終わった後も、未来にわたり人々が安定したリハビリテーションを継続して受けられるようなシステム作りを目指していきます。


評価調査の詳細については、こちらをご覧ください
 
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