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活動報告
タイトル
レバノン南部の村で、不発弾・地雷回避教育イベントを実施しました
報告者
東京事務局 紺野 誠二

レバノン事務所駐在 柴崎 大輔  茨城県出身。2000年4月より約1年間、旧ユーゴスラビアのコソボ自治州に駐在。イギリスの地雷除去専門NGO「ヘイロー・トラスト」へ出向し、地雷除去作業も経験。その後は東京事務局スタッフとして、主に地雷問題と啓発活動を担当。
報告年月日
2007年4月
2006年7月のイスラエルによるレバノン空爆後、レバノン南部では今も復興活動が続いています。不発弾や地雷の被害に苦しむそのレバノン南部で、難民を助ける会では、ジャパン・プラットフォームの助成を受け、不発弾・地雷回避教育を実施しています。今回は、モニタリングに訪れた、紺野誠二事務局員からの報告です。(レバノンの活動についてはこちらをご覧ください)。 レバノンの地図
詳細
■3月24日、待ちに待った回避教育イベント
クラスター爆弾による傷跡が生々しい、レバノン南部アイタ・シャーブ村
クラスター爆弾による傷跡が生々しい、レバノン南部アイタ・シャアブ村

首都ベイルートから車で2時間45分。山一つ越えればイスラエルにほど近いアイタ・シャアブ村だ。3月24日、この村で、事業のクライマックスの一つである不発弾・地雷回避教育イベントが開催された。難民を助ける会の協力団体や地元のNGOが準備をして、やっとこの日を迎えた。

アイタ・シャアブ村に近づくと破壊された家が目立つ。
2006年7〜8月のイスラエル軍による空爆の傷跡だ。
道路にも穴ぼこが増えてくる。クラスター爆弾によるものだろう。無残だ。

イベント会場への道すがら、在レバノン日本国大使館の黒田義久特命全権大使に、事業の説明をする柴崎大輔駐在員
イベント会場への道すがら、在レバノン日本国大使館の黒田義久特命全権大使に、事業の説明をする柴崎大輔駐在員

会場となるのは村の集会所だが、ここも建て直されたばかり。
そこに三々五々、地元の人々が集まってきた。子どもやその母親たち、ボーイスカウトの男の子たちや村の長老など、合わせて300人ほど。加えて、レバノン政府の地雷対策機関副代表や、地域行政のトップも顔を揃える。首都ベイルートからは在レバノン日本国大使館の黒田大使にご臨席いただく。なかなかの盛況ぶりだ。

不発弾・地雷回避教育イベントの会場に集まった子どもたち。たくさん学んで帰ってね
不発弾・地雷回避教育イベントの会場に集まった子どもたち。たくさん学んで帰ってね

 

 
「回避教育で学んだことをしっかり身につけてください。」 イベント冒頭のスピーチで子どもたちに語りかける紺野誠二事務局員
「回避教育で学んだことをしっかり身につけてください。」 イベント冒頭のスピーチで子どもたちに語りかける紺野誠二事務局員
■村人約300人が参加。子どもたちによる創作劇も
定刻より30分遅れてイベント開始。ご歴々の挨拶の後、ボーイスカウトの子どもたちによる不発弾・地雷回避教育の創作劇、そして難民を助ける会が地元団体と協力して製作した回避教育冊子の配布、という流れだ。

黒田大使のご挨拶の後、関係者という立場で私も挨拶する。
「難民を助ける会は、世界各地で地雷回避教育や障害者の自立支援を行なっています。今日申し上げたいのは2点です。
みんなは、不発弾や地雷の被害にあわないための教育について学んでいますね。学んだことをしっかり守って、十分気をつけてください。私はいろんな国で、被害にあった子どもたちに出会いました。レバノンの皆さんが同じ目にあわないことを強く願っています。
そしてもう一つは、不発弾や地雷の被害にあった人を含めて、障害を負った方をサポートして欲しいということ。障害のある人は、一人で暮らしていくのは大変です。皆さんが、助けてあげてください。」
村の長老が握手を求めてきたので、強く握り返す。我々にできることは残念ながら限られているけれど、今日のイベントで、子どもたちをはじめ、地域の人々全員が安全な行動をとってくれたら本当にありがたい。長老もそう感じてくれたのかな。

ボーイスカウトの男の子たちが演じた創作劇。会場はおおいに盛り上がりました
ボーイスカウトの男の子たちが演じた創作劇。会場はおおいに盛り上がりました
ボーイスカウトの男の子たちが舞台で回避教育の創作劇を演じてくれた。
ピクニックに行きお弁当を食べ、サッカーで遊んでいたところ地雷を踏んでしまうというストーリー。最後には除去団体の人が来て、地雷を取り除いてくれる。一生懸命演じてくれた。
他の子どもたちは、はしゃぎながら見ている。女の子たちも楽しそうだし、長老たちは微笑みながら見守っている。なんともいい雰囲気。
子どもたちの演劇がおわると万雷の拍手。

■大人気!不発弾・地雷回避教育教材
 演劇終了後、難民を助ける会製作の不発弾・地雷回避教育冊子を配る。子どもたちが我先に取ろうと集まってくる。全員に行きわたるくらい用意してあるのであせらなくても大丈夫なのだと思いつつ、一人ひとりに手渡す。

冊子を興味深そうに読む子どもたち。せっかくだから、女の子たち感想を聞いてみることにした。
「どのページが一番好き?」
「うーんとね、この鳥さんが地雷の被害に遭わないように説明しているページ。鳥さんは木の上にいるから何でも見渡せるでしょ。」
「私は迷路のページがいい。」 「マンガのページが可愛い。」
「地雷を取り除く軍人さんの写真がわかりやすくて、役に立ちそう」
など、色々な声が聞かれた。
文章がちょっと多いような気もしたので心配したが、小さな子でもきちんと読めて、内容も理解してくれたいる様子。一安心。

可愛いイラストが大人気!難民を助ける会製作の不発弾・地雷回避教育の冊子を手にした子どもたちと(左は柴崎大輔駐在員)
可愛いイラストが大人気!難民を助ける会製作の不発弾・地雷回避教育の冊子を手にした子どもたちと(左は柴崎大輔駐在員)

今度は男の子たちにも同じ質問をした。選んだページは別のページ。 「不発弾や地雷を見つけたとき、してはならない危険な行動」について説明してある。
なるほどね。ちょっと面白い発見だ。
でも、彼らと話していて、実際に不発弾や地雷を見つけたら危険な行動をとってしまうのでは、と少し気になった。

回避教育の限界としてよく言われるのが、どんなに被害に遭わないようにな知識を身につけても、それに反した行動を取ってしまうケースがあるということ。
経済的な理由(土地を耕さないといけないなど)で危険な行動を取ることは知られているが、もう一つは、男の子に多く見られる「冒険心」や「自分がタフである」ことを示そうとして危険を犯してしまう、というケース。

このような行動は世界共通だ。日本だって、「ちょいワル」が流行るわけだし。でも、この村の男の子たちは、「うちの村では被害にあった人がいるから、本当に危険な行為はとらないよ」と言っていた。それを聞いて、少し安心した。
やはり身近に被害者がいると、危険に対する実感も大きいのだろう。

不発弾や地雷とともに生きるレバノンの子どもたち。回避教育冊子をおおいに役立てて欲しい
不発弾や地雷とともに生きるレバノンの子どもたち。回避教育冊子をおおいに役立てて欲しい
■一日も早く安全な生活を取り戻せるよう
 気がつけばもう夕暮れ。日は少しずつ西に傾きつつある。そろそろ村を出る時間だ。子どもたちと握手し、車に乗り込んだ。

紛争から8ヵ月。村のいたるところで男たちによる住居の再建が行われていた。
一歩ずつではあるが、人々は元の暮らしに戻りつつある。そんな中で安全に暮らせるように、そういう思いを胸にベイルートへの帰路についた。

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