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活動報告
タイトル
子どもたちを不発弾・地雷から守ろう…レバノンの熱きリーダーたち
報告者
東京事務局 紺野 誠二

東京事務局 紺野 誠二  茨城県出身。2000年4月より約1年間、旧ユーゴスラビアのコソボ自治州に駐在。イギリスの地雷除去専門NGO「ヘイロー・トラスト」へ出向し、地雷除去作業も経験。その後は東京事務局スタッフとして、主に地雷問題と啓発活動を担当。
報告年月日
2007年4月
2006年7月のイスラエルによるレバノン空爆後、レバノン南部では今も復興活動が続いています。不発弾や地雷の被害に苦しむそのレバノン南部で、難民を助ける会では、ジャパン・プラットフォームの助成を受け、不発弾・地雷回避教育を実施しています。今回は、モニタリングに訪れた、紺野誠二事務局員からの報告です。(レバノンの活動についてはこちらをご覧ください)。 レバノンの地図
詳細
■陰の仕掛け人、マリアン先生

不発弾・地雷回避教育の実践状況を視察するため、ナバティエ県のアブドゥル・ラティフ・ファヤド公立学校を訪問。生徒たちによる回避教育をテーマにした創作劇を見せてもらった。(劇の詳細は柴崎大輔駐在員の報告をご参照ください

劇の主役は子どもたち。大成功の舞台の陰には、子どもたちへの教育を熱く語る仕掛け人、マリアン先生の存在があった
劇の主役は子どもたち。大成功の舞台の陰には、子どもたちへの教育を熱く語る仕掛け人、マリアン先生の存在があった

この素晴らしい劇の仕掛け人は、マリアン先生。2007年1月に難民を助ける会がナバティエ県で開催した学校の先生向け不発弾・地雷回避教育ワークショップの参加者の一人である。ワークショップ参加後、子どもたちを巻き込むにはどうしたらいいか考えた末、演劇を思いついたという。不発弾・地雷の問題には以前から取り組んできたということもあり、自作の詩を生徒たちに歌ってもらったり、ポスターや不発弾、地雷などの模型を図工の時間に作ってもらうなど、アイデアいっぱいの授業を展開している。
今回の劇では、シナリオ作りや出演希望生徒へのオーディション、地雷についてのビデオ鑑賞など、様々な面で子どもたちを指導。人前で演じたことがない生徒相手に当初は悪戦苦闘したようだが、ここまで見ごたえのある芝居に仕上げるとは。先生の情熱が成せる業だろう。

 
レバノン南部の村のスカウト活動に参加した子どもたち。リーダーのお兄さんお姉さんたちが大活躍でした
レバノン南部の村のスカウト活動に参加した子どもたち。リーダーのお兄さんお姉さんたちが大活躍でした(後列右から2番目が紺野誠二事務局員。前から2列目右端が柴崎大輔駐在員)
■子どもたちが楽しみ学べるよう工夫…若きスカウトリーダーたち
次は、レバノンの子どもたちの間で盛んなスカウト活動の状況を視察するため、ひたすら南へ。
レバノンでは、ボーイ(ガール)スカウト活動が実に盛んだ。頻繁に会合を開いたり、イベントを行なったりしている。ただ、日本のそれとは少し印象が異なり、言わば「子ども会」のような存在。7〜10歳くらいの子どもたちが色々な遊びを楽しむ場となっている。彼らを指導するのは、18歳前後の青少年リーダー。近所のお兄さんやお姉さん的な存在だ。
ビント・ジュベイル郡ブラシット村のスカウトでは、モハンマド・ファルハットさんとアリ・ファルハットさんが青少年リーダーとして活躍していた。2人ともボランティア。2007年2月に難民を助ける会が実施したスカウトリーダー向け不発弾・地雷回避教育講習会の参加者たちだ。
今日は、難民を助ける会が提携団体LMRC(Landmines Resource Center)と製作した不発弾・地雷回避教育冊子を利用して、教育を行う。2つの教室で各15人ほどの子どもたちが授業を受けるのを見学した。2人は、冊子をペンでさしながら、「不発弾や地雷にはいろんな形があるんだよ」と説明。漫画の部分を声に出して読んだり、演じたりするなど、子どもたちの注意を引くのが上手だ。途中から、LMRCの不発弾・地雷回避教育専門家オマール氏も加わり、被害に遭わないための行動について教えている。子どもたちも楽しそうだ。「今日学んだことはお父さんやお母さん、弟、妹に教えてあげるんだ」とちょっぴり自慢げな子も。

■子どもにゆっくり、繰り返し伝えること

「子どもが大好き。これからもスカウトでの回避教育を続けます」と嬉しそうに語ってくれたリーダーの女性(右は紺野誠二事務局員)
「子どもが大好き。これからもスカウトでの回避教育を続けます」と嬉しそうに語ってくれたリーダーの女性(右は紺野誠二事務局員)

翌日も、別の村の集会所で行われるスカウト活動を視察。今日の参加者は60人の子どもたちだ。
ここでも青少年スカウトリーダーが大活躍。歌や手拍子をしたり、ロールプレイを行うなどして楽しく子どもたちを巻き込んでいた。
終了後、4人の青少年スカウトリーダーたちに話を聞いたところ、幼い子どものいる家には戸別訪問も行っているそうだ。
子どもたち相手に指導する上で気をつけている点は、同じメッセージを何度も繰り返すこと、ゆっくり話すこと、話をするときに子どもたちを静かにさせること、をあげてくれた。
リーダーたちは皆子ども好き。そういう人が指導するからこそ、子どもたちは不発弾や地雷について知ることができる。
リーダーたちに、「今後も回避教育を続けてくれますか?」と聞くと、「もちろん!」と即答。教育を行うことで子どもたちも安全な行動を取るし、それがスカウトリーダーとしての自信と誇りにつながると、話してくれた。

難民を助ける会が製作した回避教育冊子を手に、楽しみながら学ぶスカウトの子どもたち
難民を助ける会が製作した回避教育冊子を手に、楽しみながら学ぶスカウトの子どもたち
■「子どもたちを守りたい」リーダーに宿る熱い思い
 不発弾・地雷回避教育が成功するか否かは、いくつかの要素がある。しっかりとした内容の教材はもちろん、事業を監督する者、そして資金などだ。しかし今回の訪問で一番感じたのは、現場で実践する「人材」の重要性である。アブドゥル・ラティフ・ファヤド中公立学校のマリアン先生。2つの村の青少年スカウトリーダーたち。このように、地域に根ざした熱意ある人々がいるからこそ、子どもたちの安全が守られる。
難民を助ける会がレバノンでの活動を終えた後も、きっと彼らは自分たちなりの手法で、不発弾・地雷回避教育を続けてくれるだろう。

「○○村で××回の教育を行い合計△△人が参加した」という、単なる数字の羅列で終わってしまいがちな事業報告書の裏には、現場の指導者一人ひとりの創意工夫や情熱がある。子どもたちの安全な暮らしを守りたいという、人々の強い思いを肌で感じた、有意義な視察の日々であった。
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