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活動報告
タイトル
ミャンマーの職業訓練生が学ぶ、技術以上に大切なことって…?
報告者
ミャンマー事務所駐在 横飛 裕子

ミャンマー事務所駐在 横飛 裕子  2004年3月よりミャンマー駐在。大学卒業後、民間企業のヤンゴン駐在として2年勤務。帰国後は障害者や要介護者のための旅行業務などを経て、難民を助ける会へ。
報告年月日
2007年9月
難民を助ける会は、ミャンマー(ビルマ)のヤンゴン(ラングーン)で、障害者のための職業訓練校を運営。裁縫や美容・理容の技術を指導し、卒業後も経済的・社会的に自立できるよう支援しています。今回は、技術に加えて社会性を身につけ、大きく成長する訓練生の様子を、駐在員の横飛裕子がご報告します。(ミャンマーの活動についてはこちらをご覧ください ミャンマーの地図
■技術と社会性は自立のための車の両輪
難民を助ける会が運営する職業訓練校の訓練生たち。3ヵ月半ごとに新しい訓練生が入れ替わります
職業訓練校の訓練生たち。3ヵ月半ごとに新しい訓練生に入れ替わります
難民を助ける会がミャンマーで運営する障害者のための職業訓練校では、訓練生が2つの柱を中心に学んでいます。1つは職業訓練を通しての技術の習得。もう一つは社会性(社会生活力)を身につけることです。

裁縫や美容・理容の技術を習得することはもちろん大切ですが、その技術を活かして経済的に自立していくためには、お店に来るお客さんや地域の人々と良い関係を築くことも必要です。つまり、社会性も重要な技術ととらえています。社会性が向上すると、何よりも自分自身が地域の一員として楽しく生きることができると考えています。

入学してくる訓練生の中には、障害の有無などに関係無く、社交的に暮らしてきた人たちももちろんいます。しかし、中には入学時の作文で「訓練校に来る前は自宅の数軒隣までが自分の行動範囲だった」、「周りの人から、自分の名前ではなく障害名で呼ばれて辛かった」などと書く人もいます。逆に、これまで障害があることで大変甘やかされて育ってきたため、我慢することが苦手な人もいます。
 
訓練校の毎日は、まず寮での共同生活から始まります
訓練校の毎日は、まず寮での共同生活から始まります

■いきなり都会に出てきて共同生活!?
こうした多様な訓練生が一緒に暮らし学ぶ場である訓練校には、数多くのチャレンジがあります。

例えば寮生活。ミャンマー各地からヤンゴンに集まった訓練生30名。それにスタッフなどを加えた約40名が、3ヵ月半の間、男女別の寮で生活を共にします。
部屋は個室ではなくホールタイプ。自然と協調性が養われます。
グループ毎に、朝食または、寮、教室、トイレ、建物周辺などの清掃を週代わりで担当します。助け合いや責任感など様々なことを学んでいきます。
また、リーダーシップを身につけてもらうため、各寮と訓練生の中から週代わりでリーダー職を体験します。
孤児院の子どもたちを訪問し、一緒に遊んだり歌をうたったりする活動も。子どもたちも嬉しそうです
孤児院の子どもたちを訪問し、一緒に遊んだり歌をうたったりする活動も。子どもたちも嬉しそうです
■社会の一員として卒業後も活躍できるように
授業と寮生活以外にも、障害を持つ訓練生や卒業生たちが、社会の重要な一員として積極的に社会に働きかけていけるように、様々な活動も行っています。

例えば自助活動。これは、訓練校を卒業し自分の生まれ育った地域に帰っても、障害者同士助け合っていけるよう、自分たちに何ができるかを考え、実行します。
また、社会貢献活動も行います。学んだ技術を活かして地域の人たちに無料でヘアカットを行ったり、地域の清掃を行ったり、孤児院の子どもたちと交流したりすることが、「何かをしてもらうことを待つだけでなく、小さくても自分のできることを社会の一員として行っていける」という自信につながっています。

また、訓練生が実社会で生きていくために必要な知識や心構えを学んでもらおうと、毎朝のお話会では様々な分野からゲストを招いています。例えば、ご自身も障害を持つ方からは努力して成功したお話を、実務家の方からは卒業後を見据えてビジネスや接客についてのお話を伺います。障害に関する話や障害者の自助について、また栄養知識や保健をはじめ、帰郷後に地域で共有できるようなテーマについてなど、話題は多岐にわたります。

これらの活動を行うと同時に、毎週1度、訓練生主体のワークショップを実施。授業やその他の活動全般に関しての様々な提案や意見交換を行います。グループディスカッションを通して、他人の意見を聞くこと、他グループの前で発表するためにグループの意見をまとめること、そして人前で発表することなどを学びます。
訓練生を支えるスタッフたち(中央列の右端が横飛裕子)
訓練生を支えるスタッフたち(中央列の右端が横飛裕子)

■訓練生たちの成長がスタッフの喜びです
そして、訓練校のスタッフ全員が、指導内容の2本柱の大切さを理解しながら、授業に加え、これらの活動をサポートしています。気苦労が絶えませんが、たった3ヵ月半の訓練校生活で、職業訓練を通しての技術の習得はもちろんのこと、他者との接し方が目に見えて変化する訓練生もいます。

2007年度2期生(5月〜8月半ば)による卒業前自己評価では、訓練生の100%が訓練校に来る前よりも自信がついたと回答しました。また、訓練校での生活を通して社会性が伸びたと回答しました。理由としては以下のようなことが挙げられました。
「訓練校に来る前は小さな世界で生きていて、人生をあきらめていた。でも今はあきらめたくないと思う。地域に参加し、訓練校で得た自分の技術を使い、成功するため頑張っていく。」
「他の障害者を助けることができると思えるようになった。」
「これまでは1人で考えているだけだったが、グループワークで色々考えることができるようになった。」
「人前で話したり、リーダーシップについて学んだり、様々な知識を得て、大きく成長できた」
「今までの人生経験の10倍分経験できた。」
「以前はいつも落ち込んでいたが、沢山の人と仲良く暮らして落ち込むことがなくなった。卒業後は地域の人々の中に入っていけると思う。」
「1人でいずに他人と一緒に過ごすことを学んだ。」
「訓練校に来る前は、社会生活力は自分に関係ないことだと思っていた。今は全ての人に必要だと考える。」

訓練生が限られた期間に、社会で生きていく力をしっかり伸ばしていけるよう、スタッフ一同、努力と工夫を今後も重ねてまいります。

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