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活動報告
タイトル
「泥水の方が味がある」?!スーダンでの水・衛生事業 出張報告
報告者
東京事務局 吉田 克弥
報告年月日
2007年9月
難民を助ける会では、2007年8月より、スーダン共和国南部にある東エクアトリア州カポエタにて、水衛生、保健事業を実施しています。今回は、東京事務局の吉田克弥が現地出張した際の様子をご報告します。(スーダンの活動についてはこちらをご覧ください ミャンマーの地図
■「故郷に戻ってよかった」と帰還民に思ってもらえるために…
家畜と同じ水
井戸もないため、家畜と同じ水を使わざるを得ません
20年以上に及ぶ内戦がようやく終結したスーダンでは、ケニアやウガンダなど隣の国に逃れていた難民達が自分達の故郷に戻り始めています。
しかしながら故郷の村々の多くは内戦による破壊で井戸もなく、学校も病院もありません。
そのため、 せっかく故郷に帰ってきても「まだ難民時代のほうが良かった」と難民キャンプに戻ってしまう人たちも多いそうです。

今回の出張で私が最初に訪れたのは、そのような難民の故郷のひとつ、スーダン南部のロパ郡というところ。ここで難民を助ける会は、来年1月までに10本の井戸と3棟の簡易診療所を設置します。こういった施設を提供することで、少しでも多くの難民の帰還を促そうというのがこの事業の狙いです。
■雨季のスーダンは悪路の連続!
宿泊施設もないのでテントで1泊です
井戸の掘削現場ではキャンプをして過ごします
それにしてもここに来るまでの道のりがすごかった!
ロパ郡にたどり着くまでには、ケニアの首都ナイロビから飛行機で約1時間、スーダン国境近くのロキチョキオという町にまず移動します。

そこから陸路で国境を越え、私たちの事務所があるカポエタまで移動するのですが、私が訪れたのはおりしも雨季。雨による増水で国境が水浸しとのこと。やむなくロキチョキオで一泊します。翌日、再出発。カポエタまでの道は悪くはないのですが、そこからロパ郡までは悪路の連続。150kmほどの道のりですが、目的地のイメドゥ村までは6時間近くかかりました。

村とは言っても宿泊施設があるはずもなく、キャンプをして一夜を過ごします。もちろんシャワーはなく、スコップを持って茂みに入ったらそこがトイレ。こういった場所で活動する駐在員・現地スタッフ・井戸掘削チームの皆さんの苦労を思うと本当に頭が下がります。

■村ごと崖の上へ移住?!

地雷原を示す白と赤の石
地雷原を示す白と赤で塗った石

翌日はできたばかりの井戸を見に、さらに奥地のイダレ村へ。車で走ること2時間、完成した井戸が見えてきました。でも井戸の周りには学校の建物があるだけ。肝心の家が見えません。聞くところによると、集落は崖の上に作られているとのこと。

「でも、なぜ崖の上なんだろう?」村人に聞いてみると、元々村はもっと低いところに会ったけれど、内戦中に襲撃を恐れて、崖の上に村ごと引っ越してきたという返事でした。
そういえばイダレ村に来る途中の道にも、地雷原であることを示す、赤と白で塗った石(赤は危険な場所、白側は安全な場所を示す)がいくつも置いてありました。崖を上りながら振り返ると、眼下には息を呑むほどの美しさで緑の平原が広がっています。「なんとまあ、遠くまで来たものだ・・・。」これがそのとき私が感じた偽らざる気持ちでした。そしてもう一つ、このような美しい場所でも人は殺し合いをするのだと。

■家具はなくても自動小銃はある
家具はなくても自動小銃はどの家庭にもありました
家具はなくても、自動小銃はどの家庭にもありました
私は昨年も、スーダン南部の別の村を訪ねています。その時、何件かのお宅を訪問する機会がもてました。

家の中には家具らしい家具は何もなく、地面に布団代わりに使う毛皮がおいてあるくらい。そのような貧しい生活の中でも、必ずどこの家にも置いてあったのが自動小銃でした。

内戦が終わったとはいえ、この平和が続いていくためには、社会の安定が必要不可欠です。私たちの事業が社会の安定に役立つことを願って止みませんでした。現場で働く駐在員・現地スタッフ、そして何よりもスーダンの人々が一番、それを強く願っているのではないでしょうか。

■「泥水の方が味がある」!?衛生教育の大切さ

井戸
難民を助ける会が設置した井戸は大活躍です

イダレ村を訪問した翌日は、私たちが事務所を構える町、カポエタの周辺を訪れました。今年の初めに設置した井戸の使用状況を見るためです。

訪れたのはマチU村。井戸の周りでは女性達が集まって水汲みをしています。井戸は家畜に壊されないように柵が作られ、住民自身が管理しています。

井戸を掘るのも重要ですが、それと同じくらい大切なのが、安全な水の使い方を伝えていくこと。カポエタ周辺では泥水のほうが味があるといって、井戸水を飲もうとしない人たちもいます。

難民を助ける会は、井戸を設置した村々から、女性のボランティアを数名づつ選んでもらい、昨年から衛生教育の研修を行なってきました。研修を受けた女性たちは、ユニフォームとして緑色のTシャツを受け取り、村々を回って、安全な水を使うことの必要性、家の周りや体を清潔に保つことの大切さを伝えて回ります。

■大切に洗いこまれたボランティアTシャツ
衛生ボランティアのマリアさん
衛生教育ボランティアのマリア・ナクさん。ボランティアの人々は緑色のTシャツを着ています
今回の訪問では、そんなボランティアの一人、マリア・ナクさんからお話をうかがうことができました。

「井戸ができて水汲みに行く時間が少なくなって助かっているし、何と言ってもギニア・ウォーム(*)の被害が減ったわね」そう話すマリアさんの緑のTシャツは、研修終了後半年以上経つにも関わらず、つい最近手に入れたばかりのように、綺麗に洗いこまれていました。「自分が模範となるように、率先して洗濯をして綺麗にしているの」。
それに比べて私の格好は泥だらけのジーンズに、これまた泥がついたTシャツ。そして顔には無精ひげ。

現場視察だし多少汚い格好でもいいや、なんて考えていた私のほうこそ、彼女から学ばされました。次に私がスーダンに戻ってくるのは数ヵ月後。そのときは、もっと綺麗な格好で戻ってきて、彼女からの合格点をもらおうと、今から心に決めています。
* ギニアウォーム:水を介して感染する寄生虫。感染すると約1年後に30〜90cm程度のひも状の寄生虫が足などから皮膚を突き破って出てくる。その際には激しい痛みとかゆみがあり、農作業や通学がままならない場合もあり、日常生活に大きな支障をきたす。
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