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活動報告
タイトル
地雷対策は除去だけじゃない!
スーダンの人々のための地雷回避教材が完成
報告者
スーダン・ハルツーム事務所駐在 日野 愛子

スーダン・ハルツーム事務所駐在 日野 愛子 奈良県出身。2005年10月より東京事務所で主に広報・支援者サービスを担当。その後2007年1月よりスーダンのハルツーム事務所駐在し、主に地雷回避教育事業を担当。大学では政治学を、大学院では国際平和と紛争解決学を専攻。外資系企業で勤務後、難民を助ける会へ。
報告年月日
2007年10月
難民を助ける会では、2006年8月より、国連地雷対策サービス部(UNMAS)の助成を受け、スーダン共和国にて地雷回避教育を実施しています。(スーダンの活動についてはこちらをご覧ください)。 スーダンの地図
詳細
スーダン人の、スーダン人による、スーダン人のための地雷回避教材
TOTキットを持ちトレーニングに励むトレーナーたち。右は駐在員の日野愛子
TOTキットを持ちトレーニングに励むトレーナーたち。右は駐在員の日野愛子
「地中にある地雷ってどんな風に見えるの?」、「どういう場所が危ないの?」、「普段の生活ではどんなことに気をつければいいの?」…スーダンの人々のこうした疑問に答えようと、難民を助ける会が製作してきた地雷回避教育のための“TOTキット(Training of Trainers’ kit:指導者用教材)”が、この7月に完成しました。
国連とスーダン教育省が行う地雷回避教育に使用する教材で、難民を助ける会が一貫して製作を担当しました。

この活動ではまず、各州から集まった学校の先生ら代表60名(マスタートレーナー)に教材の使い方を指導し、彼らが地元に戻って他の先生たちに指導。その先生らが学校での授業にTOTキットを使った地雷回避教育を盛り込む、というものです。
 
スーダンで見つかる不発弾。ダルフールでは地雷より不発弾の被害の方が多いようです
スーダンで見つかる不発弾。ダルフールでは地雷より不発弾の被害の方が多いようです
地雷や不発弾の写真やポスターでわかりやすく
まず、TOTキットの内容について紹介します。地雷と不発弾の実物大の写真、それらが地中(上)にあるとき実際はどのように見えるか、危ないのはどのような場所か、警告マークはどのようなものか、以上は目で見てよく覚えてもらうためにA1サイズ(594mm×841mm)のポスター(9枚)にしました。

また、被害に遭わないためにどのような行動に気をつけるべきかを示した「行動を変えるためのポスター」の絵を12枚、被害者の絵も2枚入れ込みました。これら14枚はスーダン人スタッフのヤシールが手描きとコンピューターを駆使してデザインしたものです。

子ども向けにはカード型のゲームも
子ども向けにはカード風のゲームも用意。地雷や不発弾の写真で神経衰弱に挑戦!
子ども向けにはカード風のゲームも用意。地雷や不発弾の写真で神経衰弱に挑戦!
さらに学校教育で使われることを考慮して、子どもたちが楽しんで学習できるよう、トランプのようなカードを作り、神経衰弱のゲームも作成しました。カードの裏面はポスターの写真を使い、表面は平和を願ってハトを描いています。こうした教材を「どのように使用すべきか」を示した、先生用のマニュアル本(虎の巻?)も作成、さらに教材を入れるカバンも作りました。教材一式を入れたカバンは先生一人ひとりに配られます。

教材がついに完成!事務所内はダンボールだらけに

難民を助ける会のスーダン人スタッフ・ヤシールが、自身で作成したポスターについてプレゼンテーション。(カッサラ州:東部の学校にて)
難民を助ける会のスーダン人スタッフ・ヤシールが、自身で作成したポスターについてプレゼンテーション。(カッサラ州:東部の学校にて)

これに先立ち4月には「TOT(指導者のトレーニング)プログラムの研修会」が国連やスーダン教育省によって共同開催されました。各地方からの教師も含め、当日の参加者は50名ほど。難民を助ける会は製作中の教材を紹介しました。
私が原稿と資料を作成し、スーダン人スタッフのヤシールに、彼らの母語であるアラビア語でプレゼンテーションをしてもらいました。「難民を助ける会は日本の団体だから、最初にお辞儀をしてみたら?」という私のアドバイスに従い、ヤシールがお辞儀をすると、これが大受け。プレゼンテーション自体も大好評でした。

その後は、目まぐるしい行程で作業が進みました。まず北部の3州に出かけて行って、先生や児童に教材の良し悪しを聞いて回るフィールド・テスト、その結果をもとに修正、最終版として国連や政府関係者とともに再確認、さらに修正、といった手順です。

ようやく原稿ができあがったら、次は印刷です。ハルツームやケニアの印刷会社に見積もりをとり、その結果、ハルツームの会社に注文することに決定、すぐさま印刷に踏み切りました。全25種類の印刷物を3,000セット。かなりの量です。納品されたときは、難民を助ける会の事務所が工場のようになりました。
現在は無事に各州に配布しつつあります。

「安全な水源で水を汲もう」というメッセージを伝えるポスター。「右奥の井戸の周りには何があるかな?」と先生が問いかけます(デザインは、スーダン人スタッフのヤシールが担当)
「安全な水源で水を汲もう」というメッセージを伝えるポスター。「右奥の井戸の周りには何があるかな?」と先生が問いかけます(デザインは、スーダン人スタッフのヤシールが担当)

見やすい!わかりやすい!と大好評
9月上旬、カドゥグリというスーダン中部の町に視察に行ってきました。ちょうど、マスタートレーナーが先生たちをトレーニング中で、地雷問題の概要、オタワ条約(対人地雷禁止条約)の紹介、地雷対策(回避教育、地雷除去、被害者支援など)を全般的に学習した後、難民を助ける会が作成したTOTキットの紹介という流れになっていました。(なぜか教室内には数十匹のコウモリが。確かに電気はなくて暗いのですが…)
いざトレーニングが始まると、皆とても熱心で、ある先生はオタワ条約の細かい点を質問していて、トレーナーをたじたじとさせていた場面もありました。TOTキットについては好評で、「使いやすい」「見やすい」「どの年代の受講者にも使える」と、感謝の言葉をいただきました。

特に「行動を変えるためのポスター」は裏面にその絵のキーポイントを記載し、先生たちが授業で説明しやすいように作ってあるので、「これは助かる!」という反応が多かったです。

10月以降は本格的に、学校教育の中で教材が使われ始めます。またスーダン人スタッフと出かけて行って、先生や児童からもいろいろな感想・意見を聞いてきたいと思います。それらのコメントを次回の製作に反映させ、彼らにとってより身近で、より使いやすい教材を作っていくことが今後の目標です。彼らがこれ以上被害に遭わないように、という祈りを込めて。
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