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■具体的な取り組み −「できない」から「やってみよう」
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「障害者のための職業訓練」の職員一同。右から2人目がダイレクターであるソチェット氏
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方針の決定を受けて、現場で実際に行ったことは、現地法人化の方針を知らせる、受け入れてもらう、やる気になってもらうの3点につきる。
現地法人化を知らせるタイミングは難しい。やる気を失った全職員が辞職する例も他NGOでは起こっている。当会では今後の支援方法について大筋が見えてから、東京本部からの手紙も利用して、ミーティングの場を持ちカンボジア人職員に今後について伝えた。職員からは多くの質問が出され、長時間にわたる会合となった。
質問の内容をみると、カンボジア人職員にとって、この動きはかならずしも嬉しいニュースとして受け止められなかったようだ。「自分たちだけでは運営できない」「これからもずっと難民を助ける会に今までどおり引っ張っていって欲しい」という不安の声があがった。その一方で、方針変更の実感がわかず、難民を助ける会が引き続き全面的支援をしてくれるはずだと思う職員もいたようだった。
現地法人化を進めるにあたって、「自分達で積極的に考えて提案する、そして行動する」ことや、カンボジアでも運営資金を獲得することなど、現地職員にとって新しい調整が多くなった。その分、仕事も責任も増えるわけだから、それに耐えられず辞職する職員も数名いた。ちなみに、辞職した職員のなかには障害をもつ者はいなかったが、これは障害者の厳しい雇用事情もしくは事業に対する関心の高さを反映しているのだろうか。
一番苦労したのは、カンボジア人職員の気持ちを変化させることだった。「やったことがないからできない」という姿勢を「初めてだけどなんとかやってみよう」とするまでに半年以上かかった。自分たちが発展させていく団体だということを実感してもうらうために、目に見える変化を起こしていった。組織図のトップに位置していた日本人駐在員の名前を取り外し、組織の意思決定システムを変更した。駐在員専用の部屋をなくすなど、現地法人化後の事務所を想定して模様替えを行った。現地職員の責任が増えるだけでなく、事業の達成感をもってもらうために、意思決定範囲を広げた。
日々の業務では、自分が仕事をしないようにした。小さな仕事を一つするにも、やり方をカンボジア人職員と一緒に考え、わからないところを説明し、実行し、見直し、再チャレンジということを繰り返した。自らがやればすぐに終わることが3日間かかることもあった。仕事を任せすぎて失敗することもあり、バランスを保つのに苦労した。
ある日、「資金が足りなくなった場合は、僕の給料を減らしてもいいから車椅子を作りたい」という言葉を一人の職員から聞いた。「カンボジアの事業はカンボジア人たちが自分達で発展させていく」という自覚を持ったカンボジア人職員の変化は徐々にその言葉や行動に表れてきた。
■課題
現在直面している課題は、現地での持続的な資金調達である。カンボジア政府社会福祉省への働きかけは他団体と協力して継続的に行っているが、まだ時間がかかるといわれている。カンボジア国内での協力者や協力団体を募り収入源を確保するのは難しく、どの団体も頭を悩ませているところである。現在は、カンボジア人職員と一緒に、収入源の確保についてアイデアを出しあっている段階である。懸念していた人間関係の悪化は今のところそれほど大きな問題となっていない。
しかし、難しい局面を迎えるのはむしろこれからである。自立への道をマラソンに例えると、現在のカンボジア事業の状況は、走り出す勇気とやる気を持ったランナー(職員)がスタートラインに立ち、走り出したところではないかと思っている。
■終わりに
カンボジアに誕生した2団体の状況を東京から見ていると、彼らの奮闘ぶりを頼もしく思う日と、カンボジア人の長所でもある「のんびりさ」をもどかしく思う日が日替わりでやってくる。
難民を助ける会の事業は現地法人化し外国人不在となったが、これが事業の「自立」であるとは考えていない。孤立することが自立ではなく、事業に関わるカンボジア人が自ら考え、意思決定していく力をつけることを自立だと考えている。そういった意味では、事業の自立は障害者の自立生活運動と共通点が多い。
自立に向けてはこれからが正念場だと思うが、カンボジアを支援してくださる日本の皆様の気持ちを大切にしつつ、少しでもカンボジアの障害者のおかれている状況が良くなるよう、自立発展を目指して支援を続けていきたい。
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