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活動報告
タイトル

エイズの脅威から地域を守る…ザンビアの学生たちの取り組み

報告者
ザンビア・ルサカ事務所駐在 芦田 崇

ザンビア・ルサカ事務所駐在 芦田 崇 大阪府出身。2005年3月よりザンビア駐在。大学卒業後、国家公務員として社会保障政策の実務に携わり、その後大学院で社会開発学を学ぶ。NGOの一員としてジンバブエやタイでエイズ問題に取り組んだ後、難民を助ける会へ。
報告年月日
2008年01月
難民を助ける会は、2004年度からザンビアの首都ルサカにてエイズ対策事業を開始。親をHIV/エイズで亡くした遺児たちの就学支援や、遺児の保護者の収入創出支援、患者宅への家庭訪問などを行っています。さらに、2005年12月より、首都から25キロ離れたチランガ地域にて、住民の積極的な参加のもと、予防啓発、自発的なエイズウィルス(HIV)抗体検査促進、既に感染している人へのケアを包括的に行う「エイズ対策事業」を実施。チランガにおける学生たちの取り組みを報告します。
(ザンビアの活動についてはこちらをご覧ください
ザンビアの地図
詳細
■成人人口の6人に1人が感染!
HIV/エイズ啓発活動の知識習得トレーニングの様子。HIV検査に行くメリットなどを真剣に話し合っています
HIV/エイズ啓発活動の知識習得トレーニングの様子。HIV検査に行くメリットなどを真剣に話し合っています
アフリカ南部に位置するザンビア共和国。銅の輸出と世界3大瀑布の一つ、ビクトリアの滝や、野生動物などの観光で知られる自然の豊かな国です。他方で、エイズウィルス(HIV)の感染拡大が急激に進み、2002年には平均寿命が当時世界で一番短い32.7歳にまで低下しました。現在、成人人口の6人に1人にあたる17%がHIVに感染していると推定されています。

■住民主体の息の長い活動を目指して
難民を助ける会では、将来日本人駐在員が去った後も住民たちが活動を継続できるように、「自分の住む地域を良くしたい」と考える、やる気ある住民たちを対象に支援しています。活動を継続するためには、「自ら計画立案→実施→評価→次の活動の再計画」のサイクルが重要です。主役は学校のエイズ対策グループやHIV感染者の自助グループ、家庭看護グループの計650名。これまでの2年間に、それぞれのグループが活動計画を策定し、計画に沿って活動を実施しています。
■自らの評価が、次へのステップに繋がる
学生たちは、戸別訪問先でパンフレットを使い、質問を交えながら説明します
学生たちは、戸別訪問先でパンフレットを使い、質問を交えながら説明します

パークランズ、マウントマクル、ムサンバの3校の高校生たちによる戸別訪問活動では、その「計画→実施→評価→次の計画」サイクルがしっかりと定着しています。難民を助ける会が支援を始めた頃、学生たちにとって啓発活動とは、バス停など人の集まる場所で行う歌や踊りくらいしか考えられませんでした。しかし、それらの活動を自ら評価したところ、効果が限られていることに気づきました。次の計画を立てる際、各家庭を訪れ、住民に直接HIV/エイズについて話す方法を考え出しました。

■HIV/エイズ知識の普及のため8,000人を訪問
戸別訪問では、3人一組のチームに分かれて地域の家庭をまわります。質問表を手にして、多いときには一日に数百人を超す住民にエイズウィルス(HIV)の基礎知識や感染経路、コンドームの使用方法などを伝えます。この戸別訪問は2007年2月に開始し、現在までの対象者は8,000人に上ります。

■反省会をくりかえし、効果や自信も
エイズ対策クラブのコーディネーターの相談にのる芦田駐在員(右)。日本人は、あくまでも黒子に徹し、事業を進めます
エイズ対策クラブのコーディネーターの相談にのる芦田駐在員(右)。日本人は、あくまでも黒子に徹し、事業を進めます
戸別訪問から戻ったら、毎回反省会を実施しています。質問表の中身は良かったか、前回に比べて上手に話すことができたか、対象地域の選び方は良かったか、などを話し合います。また、コンドームを使ったことがない家庭が何軒あったか、どの家にコンドームやパンフレットを持って再訪する必要があるか、エイズ患者がいる場合は家族への理解を求めたり、ケアする必要がないか、などについても相談。さらに、反省会の結果を次回の活動に反映させることで、より効率的・効果的な活動が実施できるようになってきています。難しい質問があっても、今ではその場で答えて説明することが出来るようになりました。また、以前はひやかしのような質問にあたふたしていたのが、そんな相手も引き込んで話を聞いてもらえるようになっています。

■人々の声に触れ
戸別訪問を開始する前、学生たちは、HIV/エイズに対する偏見が根強いなかで、自分たちも訪問先で邪険に扱われるのではないか、と心配していました。しかし、人々の多くは快くメンバーを迎えてくれました。現地語であるニャンジャ語のパンフレットを持参して喜ばれたり、コンドームの使い方を説明したら「使ってみたい。持ってきてもらえるのか」と依頼され、次の機会に持参して感謝されることもあります。こうして、人々の声に触れることで、学生たちは活動の必要性と効果を理解するようになっています。今では自分たちの取り組みに自信を持つようになり、それが次の活動への動機付けに繋がっています。
■偏見対策と家族の理解が今後の課題
寸劇を通じたHIV/エイズ啓発活動。大勢の人たちの前で話をするのにも、だんだん慣れてきました
寸劇を通じたHIV/エイズ啓発活動。大勢の人たちの前で話をするのにも、だんだん慣れてきました

2007年9月に市場でドロシーという女生徒が女性用コンドームの使用法を説明する啓発活動を行いました。たまたまそれを見かけた彼女の祖母が、ドロシーを平手打ちするという事件が起きました。祖母の年代では、コンドームの使用法を知っている、すなわち売春婦という観念があったのです。我々は、エイズウィルスがこれほど蔓延した中でも、感染を防ぐ手段への強い偏見があることに驚きました。同時に、一般の人々の前で啓発を行う際にはより注意深く活動する必要性や、今回のように同居していない生徒の家族にも、活動への理解を深める必要性があるという教訓を得ました。
 
 高い失業率やなかなか埋まらない貧富の差に多くの貧しい人々は自己の尊厳を失い、それがエイズ対策をより困難にしていると言われています。しかし、学生たちのように自分たちの力を信じて活動する人々が、社会が発展していくための礎になっていくのだと思います。今後も、難民を助ける会は、自らの地域の発展に尽力したいと願う人々の支援を続けて行きます。
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