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活動報告
タイトル

ザンビアにおけるHIV/エイズ活動報告会
エイズの脅威に学生が立ち向かう!

報告者
ザンビア・ルサカ事務所駐在 芦田 崇

ザンビア・ルサカ事務所駐在 芦田 崇 大阪府出身。2005年3月よりザンビア駐在。大学卒業後、国家公務員として社会保障政策の実務に携わり、その後大学院で社会開発学を学ぶ。NGOの一員としてジンバブエやタイでエイズ問題に取り組んだ後、難民を助ける会へ。
報告年月日
2008年06月
難民を助ける会は、2004年度からザンビアの首都ルサカにてエイズ対策事業を開始。親をHIV/エイズで亡くした遺児たちの就学支援や、遺児の保護者の収入創出支援、患者宅への家庭訪問などを行っています。2008年4月18日、早稲田大学西早稲田ビル(東京)にて、ザンビアでのHIV/エイズ活動報告会を開催しました。ザンビア駐在員の芦田崇が、現地の人々の姿や試行錯誤する活動の様子を報告。また、コメンテーターに早稲田大学の勝間靖先生と兵藤智佳先生を迎え、専門的な見地から活動への評価をいただきました。
 当日は雨の中、関係者を含め50名を超す方々が参加し、熱心に耳を傾けておられました。
 芦田駐在員の発表をご報告いたします。

(ザンビアの活動についてはこちらをご覧ください
ザンビアの地図
詳細
■成人の6人に1人がエイズウィルスに感染
時にユーモアをまじえ、時に会場を巻き込みながら報告をする芦田駐在員

時にユーモアをまじえ、時に会場を巻き込みながら報告をする芦田駐在員


私は2004年からザンビアに赴任しています。ここザンビアは、HIV/エイズが猛威をふるい、2002年には平均寿命が当時世界で一番短い32.7歳にまで下がりました。成人の6人に1人がエイズウィルスに感染しているという深刻な状況です。ザンビアに逃れたアンゴラ難民を1984年から支援していた難民を助ける会は、この状況を知り、2004年からザンビアでエイズ対策事業を開始しました。
活動の柱はエイズ遺児への就学支援と、地域住民による啓発活動支援の2本。どちらも、現地の人たちが主体的に取り組むことを重視しています。
 
■エイズで親を亡くした子どもたちを学校に!
熱心に聞き入る参加者の皆さん。質疑の時間にはたくさんの質問が寄せられました。
熱心に聞き入る参加者の皆さん。質疑の時間にはたくさんの質問が寄せられました。
首都ルサカ近郊のンゴンベという低所得者層の居住区では、エイズ遺児の就学を支援するため、学費補助や学用品の支給を行なっています。そして約2年前からは、住民自身が取り組みを始めました。
この地区の家庭では、両親をエイズで亡くした孫を10人くらい育てているおじいさん、おばあさんが たくさんいます。日々の食糧にも事欠く中、孫たちが学校に通うためのお金を自分たちで作ろうと、彼らは3つの事業を考え出しました。野菜の栽培と販売、主食シマの材料となるメイズ(とうもろこしの一種)の製粉、そして養鶏です。難民を助ける会はそれらを資金や技術の面などから支援することにしました。

家族が病を抱えていたり、忙しかったりして、全員が参加できているわけではありませんが、中にはとても熱心な人もいます。野菜の栽培に取り組むバンダさん(58歳)は、夜は警備の仕事をして、朝は野菜の栽培、お昼に帰って少し寝たら夕方からまた仕事に行く、という生活を続けています。「孫が学校に通えるのは素晴らしい。与えられるだけでなく、返していかなければ」と、バンダさんは言います。
事務所でスタッフと打ち合わせをする芦田駐在員
事務所でスタッフと打ち合わせをする芦田駐在員
■意欲のあるメンバーが事業を継続
去年は、この3つの事業で年間45万円の収入を目標に掲げました。1年間に支援対象のエイズ遺児75人の就学を支援できる額です。ところが、昨年の収益はたった9万円。野菜は収穫が少なく、メイズの製粉も思ったほど利用者が現れなかったのです。

このような結果にも関わらず、バンダさんを含め18人が今後も事業を続けたいと声を上げました。当初は支援対象のエイズ遺児の家族全員79名の参加が前提でしたが、参加できない人が多かったため、今後は意欲のあるこの18人で事業を進めたいというのです。組織の運営・管理能力の強化、マーケティングや営業活動など、意欲的な意見やアイデアがあがり、今年度の実施計画に入れました。
道のりは厳しいですが、自主的に活動する意思を持つ人たちが現れたことが、とても大きな成果です。
 
■学生たちが大活躍――エイズクラブによる啓発活動
戸別訪問の前にエイズの知識を学ぶ高校生たち。まなざしは真剣です。
戸別訪問の前にエイズの知識を学ぶ高校生たち。まなざしは真剣です。

チランガ地域では、「エイズクラブ」という、高校生がエイズに関する啓発を行うクラブ活動を支援しています。当初、生徒たちはバス停など人の集まる場所で、歌や寸劇によってエイズの知識を伝えていました。しかし、みんなでじっくり話し合ったところ、そのような一方的に伝えるだけの方法では、啓発の効果が限られていることに気づきました。そこで今度は、各家庭を訪問して住民と直接エイズについて話すことにしました。

3人一組のチームで、多い時は、日に数百人に話をしたこともあります。訪問の後は毎回反省会を実施。非常に感謝されたことや、エイズの薬に興味を持つ住民が多いことなど、情報を交換。次回は薬について話をするなどの計画を立てます。このように自分たちで工夫しながら活動を発展させています。
■うれしかった若者の奮闘
エイズ対策クラブでボランティアをしているグリフィンという若者が、昨年ザンビアのエイズ学会で抄録を発表するという出来事がありました。
彼は学会での発表はおろか論文さえ書いたことがありませんでした。しかし私は彼ならできると信じて応募を薦め、徹底的に調査方法や論文の書き方を指導しました。応募した抄録は見事、学会での発表が認められました。何度も一緒にリハーサルをした甲斐あって彼の発表はとても堂々としたものでした。彼は自信を深め、今度はメキシコでの国際学会に出たいと言うほどです。
私は、活動を通じて地域の人たちを支援することはもちろん、活動に関わるスタッフやボランティアも育てることが大事だと思っています。一緒に活動してきた若者がここまで成長したことは、非常にうれしいことです。

エイズ対策活動は計画の3年目を迎えています。今後も、新しいことにチャレンジしていきたいと思っています。やり方は彼ら次第。助成金をとって活動したいなら、私は彼らに申請書の書き方を指導します。あくまで主役は彼ら。私は彼らのサポート役なのです。

参加者の皆さんからは、「現場の空気が伝わってきた」「成功例だけでなく試行錯誤の状況も聞けてよかった」「専門家のコメントもあって勉強になった」「エイズ遺児の祖父のがんばる姿に希望を感じた」など、温かいコメントをたくさん寄せていただきました。
今後も試行錯誤を繰り返しながら、ザンビアの住民たちとともにエイズ問題に立ち向かってまいります。

勝間靖先生(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教員)
■勝間靖先生(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教員)のコメント
世界エイズ・結核・マラリア対策基金などにより、国際保健のための開発資金がこれまで以上にアフリカへ流れており、歓迎すべきである。しかし、それを効果的に活用するためには、各国における保健システムの強化も必要であろう。
■兵藤智佳先生(早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター教員)のコメント 
兵藤智佳先生(早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター教員)

予防やケアに加え、遺児支援や検査施設の建設など包括的に取り組んでいる点が評価できる。社会を変えようと考える若者がいる、というだけで、皆が元気になる。若い力を活用することは大変意味がある。
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