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活動報告
タイトル
今日もアフガニスタンのどこかで
全土に流れる地雷回避教育ラジオドラマ
報告者
アフガニスタン カブール事務所駐在 青木 真理子
カブール事務所駐在 青木 真理子 2007年9月より現職。大学卒業後IT関連企業に4年間勤務。英国の大学院で紛争解決学を学んだ後、難民を助ける会へ(千葉県出身)。
報告年月日
2008年10月
難民を助ける会では、アフガニスタンの首都カブール周辺にて地雷回避教育(地雷原に暮らす人たちが地雷の被害に遭わないための教育)を行っています。
その一環として、昨年度よりラジオドラマの作成・放送を開始しました。この新しい取り組みについて、青木真理子駐在員が報告します。
アフガニスタンの活動についてはこちらをご覧ください)。
アフガニスタンの地図
詳細
■地雷の危険をより広く伝えるために
地雷回避教材を手にした子どもたち
アフガニスタン、首都カブール近郊の小学校にて。子どもたちが手にしているのは、難民を助ける会が企画・制作した地雷回避教育の教材(中央が青木駐在員)
2001年のタリバン政権崩壊から7年が経ちますが、アフガニスタンでは未だに毎月約58人が新たに地雷や不発弾の被害に遭っています(2008年3月現在)。 そして、情勢不安が続く中、その数は残念ながら今後増える可能性があります。

難民を助ける会では、2001年より首都カブールに事務所を置き、地雷対策を開始。これまで、さまざまなパンフレットやポスター、映画を作成し、地雷回避教育を行ってきました。より多くの人々に地雷の危険を伝えるため、昨年度よりラジオドラマの作成、放送を開始しました。

■なぜ、ラジオドラマなの?
地雷や不発弾について学ぶ子どもたち
難民を助ける会が作成した教材で、地雷や不発弾について学ぶ子どもたち

アフガニスタンでは、首都カブールでさえ、一週間のうち電気が来るのは1日か2日、それも4時間程度です。また食料品から電化製品まで、輸入品に頼っている状況下、テレビは贅沢品。人々の娯楽や情報源は自然とラジオになっています。乾電池で使える携帯ラジオを囲み、家族全員でお気に入りの番組に耳を傾けるというのは、よく見るアフガニスタン家庭の日常です。

難民を助ける会では、映画やポスターを使って地雷回避教育を行う移動映画教室「モバイルシネマ ※」を各地で実施していますが、まだ全ての地域で道路が整備されておらず、治安の面からもアフガニスタン全土をまわることは容易ではありません。
しかし、都市から遠ければ遠いほど情報は行き渡りにくく、地雷による事故も多いのです。より多くの人々に地雷の危険性についてわかってもらいたい。そう考えた末、私達はアフガニスタンでのラジオ人気を支援活動に活用するプロジェクトを考案しました。

※カブール事務所が制作した地雷回避教育映画を用いて、地雷や不発弾の危険から身を守る方法を教えています。これまでに13万人を対象に実施。

■人気を呼んで、通年番組に
大都市から離れている地方でもほとんどの地域にラジオ局があります。早速、地雷の危険を喚起するラジオ番組を制作。危険を冒そうとする人と、それを止める人とのやりとりをドラマ仕立てにし、地雷や不発弾の危険をわかりやすく理解できるようにしています。昨年度は、公用語のダリー語、パシュトゥー語の2言語で、4つのラジオ局を使って全国放送しました。

この企画が人気を呼び、今年度は年間を通じての放送と、季節ごとに新番組を制作することが決定。さらに、北部で使用されるウズベク語、南部で使用されるバルーチ語を含めた4言語での制作も始まりました。
■現地スタッフが大活躍
スタッフ全員で番組を制作
プロジェクトの指揮をとっている若いヤマ(写真中央)がスタッフ全員を集めて、ラジオドラマの放送予定や役割分担を説明

番組を制作する過程にも、新たな工夫を加えました。まず、昨年度は宮崎駐在員が中心となって制作しましたが、現地スタッフのヤマに台本制作やプロジェクトリーダーを担当してもらうようにしたのです。

私たちは、地雷回避教育をアフガニスタン全国の人々を対象に行うと同時に、現地スタッフのトレーニングをもうひとつの支援と考え、非常に大切にしています。彼らの成長は、私たち駐在員のやりがいと喜びでもあります。経験の少ない現地スタッフが自らプロジェクトの指揮をとることで、仕事における責任感や経験、自信を養って欲しいと思って起用しました。

また、年3回の制作となると、制作費用が高くなってしまう問題がありました。対策として、事務所内の物置部屋を改装し、簡易スタジオを作りました。古くなった事務所内のマットレスと黒いカーテンを使用し、音のもれを防ぐ作業は、庭師のアブドゥラと警備スタッフのサイード、ドライバーのデラガが中心に行ってくれました。
更に、効果音、導入音楽などの編集も事務所内のコンピュータを使って自分たちで行うようにしました。制作費を出来るだけ抑えて放送回数を増やし、より多くの人々に聴いてもらうことが狙いです。
■ラジオ番組が出来るまで
ラジオドラマの放送までには、長い道のりがあります。まず現地スタッフのヤマが台本を英語、ダリー語、パシュトゥー語で作ります。それを事務所内でまわし読みし、意見交換をして真っ赤になったものをもとに書き直しを行います。

次に国連アフガニスタン地雷対策センター(UNMACA) の主催する教材評議委員会での審査を受け、メッセージの伝え方が適切かどうかなど、様々な指導を受けます。評議委員会で太鼓判を押してもらうと、ウズベク語とバルーチ語への翻訳を専門業者に依頼。全ての台本が仕上がると、声優による録音を行います。

4つの言語全ての録音が終了すると、効果音などの編集作業。次にラジオ局に放送依頼をし、最も聴き手の多い時間帯を狙って放送スケジュールを組みます。ここでは、できるだけ色々な層の人が聴けるようにラジオ局を厳選するようにしています。

放送が開始されると、カブール事務所のスタッフ総出で番組のチェックを行います。放送時間帯にスタッフのほとんどが携帯ラジオを持ち歩いて仕事を行っている様子は、ヤマの努力をみんなで支えようという姿勢が垣間見られる微笑ましい光景です。このラジオドラマの制作を通じて、ヤマには責任感と自信がうまれ、スタッフ内のチームワークは格段に良くなりました。
今日もどこかで
カブール事務所スタッフらと駐在員
カブール事務所のスタッフらと青木真理子駐在員(写真中央)、宮崎巧治駐在員(前列右端)

ここ数ヶ月のアフガニスタンの治安悪化は目を覆うものがあります。アフガニスタンで活動していた日本のNGO「ペシャワール会」の伊藤さんが亡くなられたことは、私たちを含む国際支援関係者に本当に大きな衝撃と悲しみをもたらしました。

難民を助ける会のアフガニスタンでの活動は、今後どのような形で支援を続けていくことが適切なのか、現在協議を続けています。ただ、飢饉、隣国の政情不安がもたらす物価の高騰が既に存在する中、治安状況が厳しくなればなるほど、アフガニスタンの人々の生活は苦しくなり、益々支援が必要になっているということは、強く肌で感じています。

一人でも多くの人が地雷や不発弾による事故を回避できることを願い、今日も、アフガニスタンのどこかで、私たちが手作りしたラジオドラマは流れています。

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