駐在員・事務局員日記

「祖国を復興させるのは私たち」たくましく生きる南スーダンのスタッフたち

2013年08月27日  南スーダン
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執筆者

南スーダン事務所駐在
広谷 樹里

大学卒業後、アフリカのケニアでNGOのインターンとして活動。企業勤務を経て2009年1月よりAARへ。広報担当および2009年9月のフィリピン台風緊急支援、パキスタン事業担当を経て、2012年6月より南スーダン駐在。(神奈川県出身)

記事掲載時のプロフィールです

長い内戦を経て2011年に独立した南スーダン。まだまだ問題は山積していますが、南スーダンの人々は、自分たちの国を自らの手で建て直そうと日々奮闘しています。AAR Japan[難民を助ける会]の南スーダン事務所で、祖国の復興のために働く現地職員の姿を、駐在員の広谷樹里が報告します。

紛争を乗り越えて

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井戸を設置した村の住民を対象に、維持管理の必要性を伝えるジョセフ(左)。彼の言葉に、みんな真剣に聞き入ります

「12歳のとき、ぼくは仲間に誘われて南スーダンの人民解放軍に加わったんだ。まだ小さかったから、訓練中に母親のことを思い出し、家に帰りたくなったけれど、逃げた仲間が殺されたと聞いて諦めたんだ」。
 AARの南スーダン事務所で長年働くスタッフのジョセフ(39歳)の言葉です。南スーダンは、20年以上の内戦を経て、2011年にスーダンより分離独立した新しい国ですが、彼は内戦中、少年兵として闘っていました。いつも穏やかで細やかな気配りをする彼からは、想像もできない過去でした。
「前線で孤立し、4ヵ月間補給がまったく来なかった。食糧も水もなくて、木の葉と雨水で飢えをしのいだ。ひたすら歩かされ、目の前で友達を殺されたんだ」。
 彼は主にAARが行っている井戸の掘削や修理などの事業を担当しています。AARに入ったのは、「南スーダンが発展するための活動を支えたかったから」。村の人々に直接働きかけ、人々の生活が変わっていくのを実感できる、やりがいのある仕事だと言ってくれます。彼は、担当事業の活動地を知り尽くしています。例えば、井戸の掘削地を決める際、郡や地域行政からの要請に加え、彼の豊富な経験と情報をもとに、現地調査を行い、候補地を絞り込みます。「ここは隣村に井戸があるけれど、民族が異なりあまり仲が良くないので共有されていない」など、行政や我々駐在員だけでは把握しきれない情報を彼が集めてきてくれるのです。

自分たちの力で国を発展させるために

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村人たちに写真や絵を見せながら井戸の衛生的な使い方を説明するクリスティーン(右)。上手な説明に母親も子どもたちも興味津々です

もう一人のスタッフ、クリスティーン(25歳)は勤続7年目。地元の出身で、女性でもあることから、地域の女性の声を汲み上げるのが得意です。
 例えば、思春期の女の子が月経のときに適切な衛生用品がなかったり、男子生徒にからかわれることなどから学校に行けなくなる子が多いことが、彼女の聞き取り調査でわかりました。そこで今年度から、小学校での衛生教育活動の中で、子どもたちに月経に関する正しい知識と適切な処置の方法を教えていきます。
 彼女は一昨年より、ケニアの大学の通信講座で地域開発を学んでおり、業務終了後に資料を読んで勉強している姿をよく見かけます。「AARやほかの援助機関がいつか南スーダンを去っても、自分たちの力で地域を発展させていけるように、開発やNGOの運営についても学んでおきたい」と話してくれました。彼女は2児の母でもあり、ときには赤ちゃんをおんぶしながら働いてきたパワフルな女性です。

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AARの仕事をしながら大学で学び、母親業もこなすクリスティーン(右)と広谷

ジョセフやクリスティーンをはじめ、優秀で熱心なスタッフたちを見ていると、南スーダンの発展は、間違いなく彼らが中心となって担っていくだろうと実感します。隣国となったスーダンとの関係や、民族間の武力衝突、経済問題など、国の抱える問題は深刻です。南スーダンの発展にはまだまだ時間がかかるでしょう。しかし、紛争を乗り越えてきた強さと、圧倒されるほどの向上心が彼らにはあります。国の基礎づくりとなる支援活動と同時に、日常業務を通じて、データ処理やマネージメントなどの面で、彼らの能力を伸ばしていくことにも貢献できたら嬉しいです。

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