駐在員・事務局員日記

ザンビア:初めての地で、使命感を新たに

2019年05月14日  ザンビア
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執筆者

東京事務所
西山 秀平

広島県で育ち、幼少期より平和教育を学ぶ。大学や大学院で国際刑事法を専攻し、紛争被害者の救済について学ぶ。米国の人道支援団体や、オランダの国際刑事裁判所にてインターンを経験。帰国後、2018年11月よりAARへ。ザンビア事業などを担当。

記事掲載時のプロフィールです

アフリカ南部に位置するザンビア共和国。その北西部のメヘバ難民居住地で、AAR Japan[難民を助ける会]は地元住民と元難民がともに暮らす、コミュニティ形成の支援をしています。
基本的なインフラが未整備の同居住地へ、AARに入職して3ヵ月後、東京事務局の西山秀平が初めて足を踏み入れました。現地の生活に慣れるまでの苦労話や、事業に寄せる想いを報告します。

今回の出張で、私は初めてアフリカ大陸へ足を踏み入れました。これまで学業や業務を通じて関わりのあった地域ですが、元難民支援という使命をもってザンビアに降り立ちました。最初に滞在した首都ルサカは、大きなショッピングモールもあり、とても活気に溢れていました。事業地のメヘバ難民居住地に到着すると、雨季のため、よくメディアなどで見かけるような赤土が広がる風景とは異なり、とても緑豊かで驚かされました。

生活のすべてが違う

AARの事務所は、首都ルサカから北西600キロメートルほどのメヘバ難民居住地内にあります。ここは、ルサカとは打って変わって基本的なインフラがまったく整っていません。蛇口をひねったら水が出てくるなんてことはなく、生活用水は井戸から汲んできます。食器や衣類もすべて汲み上げた水で手洗いするため、けっこうな労力です。当然シャワーといった便利なものはなく、毎日鍋にお湯を沸かして水と混ぜて適温にして、桶のお湯浴びで済ませます。

一本の道の両脇に緑が生い茂っています。少し先には巨大な樹が生えています 高い建物が一切なく、大きな木がひときわ目立ちます

メヘバ事務所の近く。雨季のため、草や木々が生い茂り、緑豊かな風景が見られました(撮影日はすべて2019年2月、場所はザンビア・メヘバ)

電気は事務所に設置された太陽光パネルを通じて入手するのみで、業務での使用が最優先となるため、自由時間に好き放題使えるわけではありません。トイレは汲み取り式で、大量のハエがいます。ハエの死骸がトイレの床一面を埋め尽くすこともあり、慣れるまで行くのをためらうほどでした。
食事は昼以外は自炊します。最寄りのスーパーマーケットまでは片道車で2時間強。そう気軽には行けません。冷蔵庫はあるものの、電気が不十分なので、なまものを長く保存できません。食材が尽きると、近くの市場に行ってその日に食べるものを買ってきます。毎日、日本人スタッフみんなで夕食を作るのは、連帯感が増すものの、体力的にきついときもありました。

小さなパラソルや大きな日よけの屋根がいくつも並び、野菜や果物がたくさん売られています

食材が尽きると通った事務所近くの市場。日本では見かけないような大きな野菜や果物が陳列されています

体力回復のため、熟睡するはずが...

青い空のもと、緑が一面に青々と茂っています

日中はのどかですが、さまざまな理由で夜はなかなか寝付けなかったとか...

こうした環境で業務にあたるには、睡眠をしっかり取って体力を回復させることが大切です。健康を損なえば免疫力が低下し、業務の進捗にも影響します。
ところが、メヘバは標高2,500メートルに位置するため酸素濃度が薄く、充分に睡眠時間を取ってもなんだか疲れが取れない感じがします。エアコンのない暑い部屋の中、マラリアを媒介する蚊など、虫の侵入を防ぐため窓も開けられず、蚊帳で囲まれ無風となったベッドに寝るのはだるさを伴います。
また、宿舎の屋根はトタンのため雨音が部屋に直接反響します。特に雨季の2月には、夜中にかけてスコールも多く、激しい雨音によって睡眠を妨げられることが頻繁にありました。
さらに、宿舎は教会の隣にあり、早朝のミサが聞こえてきます。ほぼ毎日、空の白み始めた4時半ごろから約2~3時間、牧師の声が事務所にまで響き渡るのです。耳栓をつけるなど、自分なりの寝付き方を見出すことが大切だと感じました。

意思疎通のもどかしさ

今回の出張で課された業務は、現行事業の終了に伴う受益者に対する聞き取り調査でした。彼らの多くが紛争被害者で、アンゴラやルワンダから逃れ、この地に住むことになった元難民です。毎日、朝から夕方まで一軒一軒家庭を訪問し話を聞きました。彼らは故郷の現地語などそれぞれの言語を話すため、通訳を介さないと意思の疎通が図れません。当然、そうした経験自体はこれまでもありました。しかし、今回、こちらの思いを伝えようとしたり、彼らの声に耳を傾けようとしたとき、直接話ができないという壁はとても大きく立ちはだかりました。

ノートやペンを片手に立ったまま住民と話をする西山。住民の女性の周りを子ども6名ほどが囲んでいる

井戸の使用状況や衛生への意識についてインタビューをする西山秀平。左は通訳

私の伝えたいことが伝わっているのか不安になったり、彼らが何を言おうとしているのか何度も聞き直したり、ときには相手が声を荒げて何かを訴えているのに、それを充分に受け止められたのか不安に感じることもありました。住民が話す言語は多岐にわたるので、それらを一つひとつ習得するのはあまり現実的ではありません。通訳を介すなかでも、彼らとの意志疎通には、地道に信頼関係を築き、それに依拠した心と心の会話ができるようになることが大切なのだと思います。

今後も彼らを支えていくために

今回の出張で、慣れない環境にいち早く適応すること、健康管理を徹底することの重要性を再認識しました。住民の方々と話をする中でさまざまな使命感に駆られましたが、無理をして健康を損なえば、事業が滞り、結果的に彼らを支援するどころか状況を悪化させてしまう恐れがあります。
メヘバで元難民支援の活動をしている支援団体はごく少数です。そのため、AARの果たす役割はとても大きなものとなります。その意味でも、地球社会の一員として、私たちがこの地域に寄り添っていく意義、必要性を感じています。
聞き取り調査で感じた、彼らが抱くAARへの期待や感謝をしっかりと受け止め、その思いに応えられるよう一層アグレッシブに業務に従事してまいります。

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