駐在員・事務局員日記

ウガンダ:子どもたちの夢が壁一面に

2019年11月15日  ウガンダ事務局員日記
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執筆者

ザンビア・メヘバ事務所
古藤 誠一朗

2019年6月よりウガンダに駐在し難民居住地で教育支援を担当。9月からザンビア・メヘバ事務所駐在。中学時代に世界の格差を知り、国際協力に関心を持つ。大学では国際法を専攻。銀行に勤務した後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。「難民の人たちの目線にたって活動していきたい」。福岡県出身

記事掲載時のプロフィールです

AAR Japan[難民を助ける会]は、ウガンダで南スーダン難民および受け入れ地域の子どもたちへの教育支援に力を入れています。活動拠点の一つである北部ユンベ県にあるビディビディ難民居住区では、学校建設や生徒たちが充実した時間を学校で過ごせるようなサポートをしています。
今回は同地で開催されたイベントについて、現地事業に従事した古藤誠一朗がご紹介します。

アフリカ北部ユンベ県にあるビディビディ難民居住区

Map: Claudine Hellmuth/E&E News; Data: ©2017 Google; ©2017 Landsat/Copernicus

子どもたちが一心不乱に描いたものは

2019年4月、AARの支援によって難民居住地にあるアリワ中学校の理科実験室棟が完成しました。8月にはその校舎がユニークな外観に変わり、お披露目会が開催されました。校舎の壁には、子どもたちが中心となり、想像力あふれんばかりの絵が描きこまれました。この活動をサポートしたのは、Artolutionという団体です。同団体はアメリカ発のNGOで、社会から疎外されがちな方々に向け、アートを通じて自信をつけたり社会とのつながりが作れるよう、活動しています。

Artolutionのコーディネーターは、生徒一人ひとりに語りかけ、夢や好きなもの、描きたいものなどを子どもたちから引き出し、一緒に表現しました。ウガンダへ難民として逃げてくる過程で家族を失ったり、孤独や自尊心の喪失といったつらい感情に苛まれる生徒も少なくありません。言葉では上手く表現できない気持ちを絵に変えていく作業は、心のケアにもなり、これからの未来を力強く生きていくために非常に大切なことです。

マックス・フリーダー氏の周りには、5人ほどの子どもがいて話を聞いている

子どもたちの話を聞きながら、描くときのアドバイスをしているArtolution共同設立者兼共同取締役のマックス・フリーダー氏。同団体のウォールアーティストが、校舎の壁全体の構成などをサポート

作成中は、授業が終わって教室から出てきた子どもたちが、おもむろに筆をとって一心不乱に壁に向う姿が見られました。ある子どもはほかの人が気づかないくらい、一人で静かに壁に向かい黙々と作業を進めていました。またある子どもは、少し恥ずかしそうな様子を見せつつも楽しそうに描いていていたりと、十人十色です。

男児が壁に向かいチョークを持ち、線を描いている

授業の合間を縫って壁に向かって絵の下書きをしているアリワ中学校の生徒。

小さな女の子が壁に向かい絵を描いている

学校の生徒だけでなく、地域の子どもたちも参加しました

アートの力で希望と笑顔を

子どもたちの思いがたくさん詰まった校舎の壁がついに完成し、8月にお披露目会が開催されました。お披露目会では、ArtolutionとAARが企画した催しを行ったり、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の職員をはじめ、地元の関係省庁の方々も参列し、華やかな時間となりました。

Artolutionの共同設立者兼共同取締役のマックス・フリーダー氏は、「アートの力で希望と笑顔を作り出す素晴らしさを再認識したとともに、生徒の自主性が見られた活動でした」と満面の笑みで語りました。また、AARウガンダ事務所統括の雨宮知子は「ビディビディ難民居住区で最初の理科室を建設・整備したことで、アリワ中学校は特別な中学校となりましたが、今回のアートプログラムのおかげで、さらに特別な存在になったと思います。AARはその一助になれたことを嬉しく思います」とその喜びを伝えました。

マックス・フリーダー氏とAAR雨宮が校庭でマイクを持って嬉しそうに話している

スピーチの場で嬉しそうに話すArtolutionのマックス・フリーダー氏(左)とAARウガンダ事務所統括の雨宮知子(右)(2019年8月6日)

女性アーティストが歌を歌っている。まわりには、テントの下に観客がいる

お披露目会ではケニアのアーティストも招いて壮大に行われ、アリワ中学校の生徒や地域の方々はとても楽しんでいました(2019年8月6日)

壁には色とりどりの絵が描かれている

完成した校舎のウォールアートの一部。キリン(写真左)は、高く、遠くまで見渡せる=志 高く、視野を広く持てるように、と生徒が選んで描いたもの。正面の顔(写真上)は、生徒の将来の夢であるナースの顔、鳥や飛行機(正面の顔のすぐ右)はその夢に近づいていく様子を表しています(2019年8月6日)

2人の生徒が肩を組み、嬉しそうに微笑む。背後の壁には、歯や目などの絵が描かれている

完成した校舎を背景に笑顔を見せてくれた生徒たち。教科書不足から、試験に出てくる問題を壁に描く様子も見られました(2019年8月6日)

難民と受け入れ地域が団結

今後もアート活動は学校の活動として継続されていく予定です。今回結成されたアリワ中学校のアートチーム代表の生徒からは、「難民(南スーダン難民)の子どもたちと地元(ウガンダ)の子どもたちが団結できてよかった。心がこもった活動にできて嬉しく思う」と、自身が感じたことを素直に伝えてくれました。

完成した校舎の壁の前に並んで記念撮影をしている

完成した校舎の前で生徒たちと記念撮影(2019年8月6日)

難民として逃げてくる過程で起きたできごとにより、つらい感情に苛まれる子どもたちが少なくない中、言葉では表現できない気持ちを絵に変え、また、アート活動を通してコミュニティ全体として一体感が増すことにより、ビディビディ難民居住区から再スタートする彼らの将来が少しでも明るくなることを切に願う一日でした。

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