駐在員・事務局員日記

「難民をぬりかえる」

2020年11月18日  ケニア事務局員日記
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執筆者

ケニア事務所
駒橋 冴季

大学では国際協力に関するスタディツアーを運営。システムエンジニアとして勤務した後、青年海外協力隊へ。イギリスの大学院では教育開発を専攻。教育を通じた若者の雇用支援に携わるためAARに入職し2019年3月よりケニア事務所駐在。埼玉県出身

記事掲載時のプロフィールです

日本に住んでいると、関わることの少ない「難民」の人々。彼らは、日々どのような生活を送っているのでしょうか。日本に暮らす私たちとの違いとは?実際に難民支援に従事するケニア駐在員の駒橋冴季が、「さが国際フェスタ月間」(佐賀県、10月)での講演を通じて、彼らの暮らしぶりや現場で感じたことなどを伝えました。駒橋のメッセージとは。

突き抜けた明るさに、圧倒されることも

「辛そう」「かわいそう」。"難民"と聞くと悲観的な思いが真っ先に浮かぶことが多いかもしれません。たしかに、そうした一面はあります。一方で、私が現場で出会ってきた青年世代の多くが、豊富なアイディアやユニークさに溢れ、勉強や部活動など何事にも積極的に取り組んでいます。突き抜けた明るさ、エネルギッシュさに、圧倒されることもあります。

十数名の男女がピースなどのポーズを取って笑顔でこちらを向いている 楽しそうな雰囲気が溢れている

ケニアに暮らす難民の人々。カメラを前に、おどけた表情をしたり、笑顔でポーズを取ってくれます

私が駐在するカクマ難民キャンプは、もともとは長引くスーダンの内戦から避難した人々を受け入れるため、1992年に設置されました。現在は、南スーダンやソマリアなどから逃れた約20万人が暮らし、18歳以下がその半数以上を占めています。AAR は、2013年12月以降、内乱状態にある南スーダンから逃れてきた人々への緊急支援活動を始め、現在はキャンプ内にある5つの中等教育校、隣接するカロベイエ難民居住区と受け入れ地域にある3つの中等教育校への教育支援を行っています。

大木にたくさんの葉っぱが茂っている その下の木陰で、数名の人がイスの座って話している

カクマ難民キャンプ。木陰の下で談話を楽しむ人々をよく見かけます

キャンプ内の舗装された道を人々が歩いている 高い建物などがないため空がどこまでも広がって見える

澄み渡った青空の広がるカクマ難民キャンプ

キャンプ内は広いので車での移動が多い 雨により道がぬかるむと移動は難しくなる

十分な舗装がされておらず、雨が降ると川が氾濫し移動に困難をきたすこともあります

所狭しと商店がひしめき合っている 店頭にカラフルな衣類など並ぶのが見える

キャンプ内にある市場。食料品や日用品が並びます

「難民をぬりかえる」講演を通じて

大型のスクリーン横に立ち、マイク片手に講演する駒橋 聴衆は椅子に座りスクリーンを真剣に見つめている

市街のカフェの一角で開催。コーヒー一杯を提供し、アットホームな雰囲気のもと進行。右端が駒橋

2020年10月、一時帰国の機会を利用し、「さが国際フェスタ月間」(佐賀県)の一環でAAR佐賀事務所が開催した、難民支援に関するイベントに登壇しました。講演テーマは「難民をぬりかえる」と設定。私自身、難民の人々に出会ってから彼らのイメージが一新されたこと、辛い過去を抱えながらも懸命に生き抜こうとする彼らの力強い姿などを伝え、日本の人々が抱きがちな難民へのイメージを刷新したいとの思いがありました。
講演の中盤、難民キャンプの中等学校に通う生徒たち3人に行ったインタビューを紹介しました。
「難民キャンプにきて良かったと思うことは」との問いに、「教育や住まい、食糧の心配をすることがなくなりました。奨学金の機会もあり、異なる国籍の人と関わることで多くのことも学べました」と話した女性、将来について「自分がどれだけ頑張るかによる。人生は変えられると信じています」と語った男性、「難民に対してネガティブなイメージを持たれることにどう思うか」との質問に、「ネガティブなイメージを持たれていても、支援を得られればそれはポジティブな結果につながると思います」と口にした女性のコメントなどを伝えました。彼らの率直な思いを紹介することで、参加者が難民の人々を身近に感じたり、あるいは自分たちの生活との違いが鮮明になることで、日本にいる私たちは何ができるか、考えるきっかけになればとの思いを込めました。

数十名の生徒が教室でノートやペンを手に勉強している どの生徒も白い半そでの制服を着ている

中等校の授業の様子。将来に夢を抱き、そのために勉強に励む生徒が多くいます

屋外のバスケットコートで、10名近くがバスケットをしている

学校には部活動やスポーツイベントがあり、学業以外にも仲間とともに楽しむ機会が多くあります

「難民」である前に一人の人間であること

終盤の参加者同士のグループディスカッションでは、「『難民』と言っても、学校でスポーツ活動に参加したり、電気や水、テレビのある家に暮らす家庭もあったり、キャンプ内には市場やバーもあることに驚いた」「生き生きと明るく生活している姿にイメージが変わった」といった声が聞かれました。

「難民」である前に同じ一人の人間であること、多くの人が想像を絶するような経験をもっていますが、それも個々で大きく異なります。最後に、「彼らはただ支援を受けているだけでなく、置かれた環境のなかで懸命に暮らしていること、自ら未来を切り拓くために希望を捨てず前向きに努力を重ねる人々がいること、支援を通じて彼らの可能性や選択肢を大きく広げることができること」をお伝えしました。

駒橋と十数名の生徒が笑顔で一緒に写っている

難民キャンプの学校に通う中等校の生徒とともに。水色や黄色のTシャツを着ているのは、教育施設のメンテナンスチームメンバー(前列中央が駒橋)

AARは、今後も難民の方々を支える支援を、そして、日本の皆さまに現場の様子やそこに住む方々について、お伝えして参ります。引き続き、私たちの活動を応援ください。

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