
食糧支援![]() シリアでは、長期化するシリア危機のなか、戦闘や攻撃に巻き込まれる危険と隣り合わせで地元に住み続ける人々、戦闘の激化により国内を転々と避難する人々、軍隊による居住地域の包囲作戦により避難すらできない人々など、先行きの見えない中で困窮した生活を強いられる人々が多くいます。その中でも食糧の欠乏は著しく、国連人道問題調整事務所は、食糧や燃料価格の高騰、シリア通貨価値の暴落、市場へのアクセスの欠如、農業生産性の低さなど、さまざまな理由により、2017年には約900万人が食糧不足に陥るとしています。AARでは栄養価および品質の検査を行った米、小麦粉、豆類など、シリア人の食生活に欠かせない17品目の食糧を、食糧不足に苦しむシリア国内の人々に配付しています。2014年10月から2016年12月までに約18万人に食糧を届けました。食糧を受け取った人々からは、「食事の回数・量を減らさなくてすむようになった」、「食糧を買うためにお金を借りたり子どもたちが働かなくてすむようになった」などの声が寄せられています。 |
地雷・不発弾回避教育![]() 「不発弾(※1)に色を塗って、花瓶のかわりにしている」。 「死亡」「片足切断」「片目失明」「両手指先切断」。
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コミュニティセンターの運営![]() シリア人の隣国トルコでの避難生活は長期化しています。既に何年もトルコで生活している人が多く存在します。故郷を離れた他国での生活にはさまざまな困難が伴います。シリアでは簡単にできることも、制度が異なり言葉も異なるトルコではできないことが多くあります。例えば、病院に行っても言葉が通じず、症状を上手く伝えられず適切な治療を受けられないということが起こっています。そのため、AAR はコミュニティセンターという施設を開設し、シリア難民が困っていることを何でも相談できるようにしました。センターの職員がシリア難民一人一人の相談を聞き、問題を解決できるように支援をしています。 また、センターではトルコ語やアラビア語、英語などの講座も提供しています。トルコ語を身につけることはトルコで生活を送るには不可欠です。そして、学校に通ったことのない子どもたちが増えているため、母国語であるアラビア語の読み書きを教えることの必要性も高まっています。 ![]() センターはシリア難民だけが利用する場所ではなく、トルコ人も利用できます。シリア難民とトルコ人の間の緊張が高まる中、互いに交流し、理解し合うことは非常に重要です。誰でも参加できるイベントなどを実施し、両者の距離を縮める活動を行っています。 |
障がい者支援![]() シリア難民の中には障がい者が多く存在します。これらの障がい者は大きく3つのグループに分けることができます。1つ目のグループは内戦の前からもともと障がいのあった人です。これらの人々はシリアでの生活では受けることのできた治療やリハビリ、地域社会からのサポートを受けることができなくなり、日常生活での負担が大きくなっています。2つ目のグループは内戦で怪我をし、障がいを負った人です。適切な治療を受けることができず、麻痺などの障がいが残っているケースがあります。3つ目のグループは、トルコでの避難生活の中で障がい者となった人です。特に高齢者に多く見られます。避難生活では外に出歩く機会が減少するため筋力が衰え、歩くことができなくなってしまう人がいます。 ![]() このような障がい者に対して、車いすや杖などの補助具や、シリア人理学療法士によるリハビリを提供しています。補助具を使うことによって日常生活での負担が減り、リハビリによって機能を回復させることができます。また、家庭内でリハビリを続けられるように、障がい者の家族に対してリハビリ方法の指導も行っています。 2013年2月から2016年6月までに約1,500人の障がい者を支援しました。 |
子どもの保護![]() トルコから海を渡りギリシャにたどり着く人の中には、親などの保護者がおらず、1人で移動している子どもたちがいます。例えば、10歳の子どもが遠くアフガニスタンから1人でギリシャにまでやってきています。こうした子どもたちに対しては、彼らの身の安全を確保するために特別な支援が必要です。特に、現在はギリシャから先に進むことができなくなり、子どもたちも行先を失っているため、彼らを保護する施設が必要となっています。現在AARは、キオス島においてこのような子どもたちのための施設を開いている現地NGOを通じて、保護者のいない子どもたちを支援しています。 |