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シリアでの紛争被害の実態調査レポートを発表

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シリアで紛争被害の実態を調査―シリア支援に6つの提言を発表―

空爆の被害にあった家屋

空爆や地雷などの被害から生き延びても、多くの人は日常的に介助が必要とするようになったり、仕事を失ったりしています

シリアで人道支援を行う国際NGOのAAR Japan[難民を助ける会](本部:東京都)はこのたび、シリア国内で紛争被害の実態調査を行い、その報告書「Vulnerability Multiplied in Syria--Report on the Survivors of Explosive Devices--(日本語仮訳:シリアの紛争被害に関する報告書)」を発表、6つの提言をまとめました。

2016年の1年間、現地団体のHand in Hand for Syriaと協力して行われた本調査では、シリア北部の一部地域にある医療施設で照会した患者や元患者を訪ねていくことから始まり、475人の子どもを含む、合計2,036人にインタビューを実施しました。その結果、外傷を負った人の57%が空爆による被害者であり、次いで22%が地雷や不発弾、即製爆発装置による被害者でした。そして、被害に遭いながら命を取り留めた多くの人々が、骨折や損傷に加え、四肢切断や失明、失聴などの機能障害を負っており、食事やトイレ、入浴や着替えといった日常の基本動作にも介助を必要としていることが明らかになりました。

さらに被害者は、紛争で保健医療体制が壊滅状態にあるために、適切な治療やリハビリ、補助具の提供を受けられずにいます。被害を受けた当事者本人の心身への負担は言うまでもなく、社会福祉の基盤が存在しない中で介助を強いられる家族への負担、稼ぎ頭が負傷し職を失ってしまった家族の経済的負担は計り知れません。

この調査結果を受け、AARはシリア国内で活動する援助団体、シリアでの人道支援を間接的に支援するドナー国、企業、個人に対し、以下を提言します。

  • 紛争による被害者の状況に配慮し、リハビリや補助具の供与を支援項目に含めること
  • シリア国内で支援活動に取り組む現地の団体やシリア人ボランティアがリハビリや外傷手当を実施できるように能力強化を図り、このような支援を実施できるよう資金的援助を増やすこと
  • 身体の損傷や機能障害によって職を失った人たちへの食糧支援や生計支援を強化すること
  • 異なる支援分野で活動する団体間のネットワークを強化し、障がい者やその世帯のニーズに包括的に応えていくこと
  • 地域住民が障がいのある人たちへの理解を深めるための啓発活動を実施すること
  • 地雷・不発弾に関する啓発活動を行っている団体は、従来の地雷回避教育に加え、空爆や砲撃のリスクなど、シリアの現状に合わせた啓発メッセージを伝えること

和訳は現在作成中で、完成次第発表いたします。なお、本年10月14日(土)にはHand in Hand for Syria共同代表を招へいし、シンポジウムを開催いたします。(会場:東京都内)

【このプレスリリースに関するお問い合わせ】

担当:本多麻純
TEL:03-5423-4511
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