活動ニュース

熊本地震から半年~これまでの活動と被災地の課題

2016年10月07日  日本緊急支援
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2016年4月14日の震度7を記録した地震以降、熊本県および大分県で相次いで発生した地震は、関連死を含め犠牲者114名、避難者は最大18万人超という大きな被害をもたらしました(熊本県災害対策本部発表、9月27日速報値)。

それから半年が経ちます。AAR Japan[難民を助ける会]は直後から炊き出しや生活必需品の配付などの緊急支援を実施し、現在も障がい者福祉作業所の支援、仮設住宅での支援を続けています。

地震発生直後から現地で活動を開始することができたのは、日頃皆さまがお寄せくださるご寄付があればこそでした。また、行政では対応しきれない個別のニーズや、施設修繕などの大規模な支援を実施できるのは、緊急募金のお願いに多くの方がすぐにお応えくださったおかげです。あらためまして、心より御礼を申し上げます。

これまでAARの活動と被災地の現状、そこから見えてきた課題をご報告します。

震災直後から始めた炊き出し

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おにぎりを配るAARの大室和也(2016年4月16日、益城町)。「家がめちゃくちゃになってしまったけれど、幸せな気持ちでいられるのはここであったかい物が食べられるからだ」とおっしゃってくださる方も

AARは地震発生の翌15日から緊急支援チームを派遣し、同日夜、避難所となっていた益城町の飯野小学校で炊き出しを実施しました。その後、炊き出しは避難所などで、NPO法人ピースプロジェクトとともに5月6日まで継続し、その後も現地で活動をしている東本願寺のボランティアと協力し、5月26日まで豚汁やカレーなど約18,710 食を提供しました。4月中旬とはいえ、夜は冷え、温かいものが特に喜ばれました。また、地域によっては停電や断水が5月に入っても続き、炊き出しの手作りの味は被災者の方の心やすめにもなっていたようです。

炊き出し実績(4/15~5/26)

炊き出し会場 避難所となっている益城町の飯野小学校、および阿蘇西小学校、阿蘇小学校、益城町保健福祉センターなど。また、避難所以外にも秋津公民館などで実施しました。
メニュー 味噌汁、カレー、おむすび、牛丼、ポトフ、豚汁、野菜炒め、肉じゃが、焼きそばパン、だご汁、春雨のスープそば、タケノコの煮物、豚の角煮、など。

支援の届きにくいところへ~「指定外」の避難所にも物資を提供

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福祉施設や避難所をまわり、ニーズ調査を実施しました。右はAARの古川千晶(2016年5月8日、益城町)

炊き出しに並行して、福祉避難所や福祉施設に食料や物資を提供し、併せて被災状況の確認とニーズの調査を行いました。

そこでわかったのは、避難所に指定されていない福祉施設にも、障がい者や高齢者、その家族が身を寄せて避難生活を送っている方々がいらっしゃるということでした。しかし行政に指定された避難所ではないために、支援物資はなかなか届いていない状況でした。震災から2ヵ月以上経っていたにも関わらず、施設にマットレスやシーツなど寝具がない施設もあり、支援の依頼を受けたこともありました。6月末までにのべ2,615名の方に食料をはじめとする生活必需品、衛生用品などをお届けしました。

配付物資(例) 食料、水、菓子、スポーツ飲料、経口補水塩、使い捨てエプロン、食器、除菌アルコール、ウェットティッシュ、湿布、清掃用具、ブルーシート、タオル、車いす、マットレス、寝具、文房具、シャンプー、水、ポータブルトイレ、長靴、おむつ、おしりふき、尿取りパッド、トイレ用品、生理用品、ふくらはぎマッサージ機、弾性ストッキングなど

迅速に支援を届ける~福祉施設の修繕

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修繕を終えた「あいEYEワークセンター」(9月25日、熊本市)

障がいのある方のなかには、普段と異なる環境に適応しにくい方もいます。そのため、福祉施設は一刻も早く通常の運営を再開できるよう、速やかな復旧が求められていました。しかし、そこにも困難がありました。

熊本県で唯一の、視覚障がい者の利用に特化した就労支援事業所「あいEYEワークセンター」では、視覚障がいのある18歳から65歳の12名が利用者として登録をし、4名がマッサージ師として働いています。震災で事業所内のあちこちに亀裂が入り、2階の天井も落下しましたが、修繕のための公的助成を得るまでには、半年から1年はかかる可能性があるとのことでした。その間営業を止めてしまうと、障がいのある利用者が活動できなくなってしまいます。そのため、修繕しないまま営業を続けざるを得ませんでした。しかし、施設の壊れた外壁を見て営業をしていないと思われ、患者が来なくなっていました。

そこでAARは、建物の修繕を支援することに。6月末に修繕が完了すると患者も戻りはじめ、現在では震災前より多くの患者が来院するようになっています。施設の方は、「私たちのような小規模な事業所に手を差し伸べてくださって、ありがたい気持ちでいっぱいです。多くの方に使ってもらえるよう頑張ります」と涙を浮かべておられました。「あいEYEワークセンター」には、マッサージ師としての仕事が難しい方も通っています。現在ではこの方たちも施設の2階で安心して軽作業をできるようになりました。サービス管理責任者の高瀬京子様は、「自宅などで何もすることなく暮らしておられる県内の視覚障がい者の方が、本事業所を利用することで充実した生活を送っていただけるよう、利用者を増やしていきたい」と話しています。

コミュニティ支援~仮設住宅での暮らしを支える

震災から約1ヵ月半が過ぎると仮設住宅が建設され、6月半ばには入居も始まりました。しかし最初に作られた仮設住宅には家電が備えられておらず、自身で購入するか、倒壊した自宅から運び出してくるしかありませんでした。生活環境を一から整えるのは、被災した方にとって経済的に大きな負担です。自宅から運ぶのも、高齢の方にとっては簡単ではありません。そこでAARは南阿蘇村で、自宅が全半壊した約40世帯に、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジを提供しました。

課題はほかにもありました。続々と建設される仮設住宅は、障がい者手帳を持つ方や高齢の方が優先的に住めるよう手配がなされました。しかし、建設された仮設住宅には室内外に段差があり、高齢者や障がい者の方の中には出入りが難しいと仰る方もいました。

復興状況にも差が生まれはじめています。熊本市内は比較的早く復興が進みましたが、市内から車で約2時間かかる南阿蘇村ではインフラの復旧もままなりません。未だに仮設住宅は全戸完成していません。

被災地では追い打ちをかけるかのように、6月19日から6月25日に豪雨が発生し、被害がさらに拡大しました。豪雨で全壊した13棟、半壊の104棟が、熊本地震との関連性が認められました(熊本県災害警戒本部、9月14日)。

南阿蘇ではこの豪雨で水源が利用できなくなり、水道や灌漑水路の復旧が進みません。沢津野地区の区長を務める方は、「南阿蘇には例年11月には霜がおり、冬はマイナス10度にもなる。それまでに工事が終わらなければ復旧はますます遅れ、田植えの季節となってしまう。自治体も協力してくれているが、復旧までの見通しがなかなか経たず一日一日冬が近づいてきていて、間に合うかどうか」と焦りをにじませています。

仮設住宅での新しいコミュニティづくりにも課題が残ります。仮設住宅には被災した方が様々な地域から集まっています。地域によってはもともとの自治会の結束が強く、避難所から各地の仮設住宅に移転した方のフォローも、旧自治会がこまめに連絡を取り合いながら行っていました。しかし、そうでない場合もあります。そうした方々も孤独にならないよう、配慮をしていく必要があります。各仮設住宅に「地域支え合いセンター」が開設されはじめ、相談員等が常駐するところも増えてきています。元のコミュニティが持っていたような関係性は、一朝一夕に築けるものではありません。AARは今後、コミュニティづくりの支援も行っていきたいと考えています。

※この活動は、皆さまからのご支援に加え、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を受けて実施しています。

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