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福島県の仮設住宅に子どもたちのための遊具を設置しています

2012年04月26日  日本緊急支援
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遊び場がなかった仮設住宅の敷地内に屋外遊具を設置

遊具で遊ぶ大野台第一仮設の子どもたち

設置されたばかりの遊具で遊ぶ子どもたち(2012年3月14日、福島県相馬市)

現在、福島県相馬市の13ヵ所の仮設住宅には、合わせて400人ほどの子どもたちが暮らしています。この子どもたちは、震災によって家族や親戚、友達を亡くしたり、あるいは家が津波で流されてしまったりという大きな喪失体験を持っています。また、仮設住宅の敷地には遊べるような広場や遊具がなく、車も入ってくるため、子どもたちは充分に体を動かすことができません。精神面の安定や健全な発達に最も重要となる「遊び」の時間を確保できていない状況でした。

そこで、難民を助ける会は、子どもたちが狭い仮設住宅内で抱えるストレスを発散し、運動不足を解消できるような遊び場を作るために、仮設住宅の敷地内に遊具を設置する支援を開始しました。

2012年3月13日、最初の仮設住宅で4つの遊具の設置工事が終了。翌朝7時、福島事務所の横山恵久子がその仮設住宅を訪れると、子どもたちの楽しそうな歓声が聞こえてきました。登校前の子どもたちが、設置されたばかりの遊具でさっそく遊んでいたのです。

子どもたちやお母さん同士の間でも新たなコミュニケーションが生まれました

小さな子に声をかけてくれた上級生の子どもたち

「一緒に乗ろうよ!」上級生の子どもたちが、小さな子にも声をかけていました。右は東京事務局の宮崎佐和子(2012年3月14日、福島県相馬市)

夕方頃には、「今日は新しい遊び場ができたと聞いて、孫を連れてきました」と、隣の仮設住宅に住むおじいさんがお孫さんとふたりでやって来ました。2歳のお孫さんは一人では「ゆりかごスウィング」に乗ることができませんでしたが、数人の子どもたちが一緒に遊ぼうと声をかけてくれました。遊具を通じて、住んでいる仮設住宅や学年を越えた、子どもたち同士のコミュニケーションが生まれています。

交流が始まったのは子どもたちばかりではありません。楽しそうな声がすると様子を見に来た高齢者の方々、子どもたちを遊ばせようと集まった保護者の方々が、今後の生活について相談し合ったり、情報交換をしたりできるようになりました。仮設住宅によっては、別々の地域から避難してきた方々が居住しているため、周囲に顔見知りもなく、部屋の中にこもりがちになってしまう方も少なくありません。そんな中、できあがった子どもたちの遊び場が、皆さんの交流の場となったのです。

ゆりかごスウィングで遊ぶ子どもたち

子どもたち3~4人が一緒に乗れるゆりかごスウィング。上級生や大人に大きく揺らしてもらって遊びます(2012年4月13日、福島県相馬市)

新しい遊具で遊ぶ女の子

遊具で遊んだり、砂場で遊んだり…子どもたちは皆思い思いに外遊びを楽しんでいます(2012年4月13日、福島県相馬市)

4月13日までに、相馬市内の3ヵ所の仮設住宅で屋外遊具の設置が完了しました。また、相馬市内外の仮設住宅集会所や保育園への屋内遊具の支援も行っています。日が長くなってきた今、子どもたちは暗くなるまで遊び場を離れません。久しぶりに思いっきり体を動かした子どもたちからは、「大きなすべり台で遊びたい」、「一輪車がほしい」、「ジャングルジムに登りたい」など、かわいらしい要望が次々と聞こえてきます。難民を助ける会は、これからもこうした子どもたちの声を大切にしながら、遊具の設置を含め、福島での支援活動を継続してまいります。

赤い羽根「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」

※この活動は、皆さまからのご寄付に加え、中国上海在住の日本人ボランティアグループ互人多(フレンド)、イオン株式会社からのご寄付と、赤い羽根「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」の助成を受けて実施しています。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 宮崎佐和子

東京事務局で福島支援事業を担当。イギリスに留学中に英語とツーリズムを学び、帰国後は旅行会社や外資系企業で勤務。仕事の傍ら大学院で平和教育を研究。東日本大震災の後、支援活動に携わるため当会でのインターンを経て、2012年2月より職員として勤務。

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