活動ニュース

パキスタン:「お水がきれいで、うれしい」難民キャンプに井戸を設置しました

2012年06月14日  パキスタン緊急支援
RSS

インフラの整わない厳しい環境の中で暮らす人々


より大きな地図で AARJAPAN_pakistan を表示

ハイバル・パフトゥンハー州ノウシェラ郡

パキスタンの首都イスラマバードから北西に向かって約2時間半、アフガニスタンとの国境に近いハイバル・パフトゥンハー州ノウシェラ郡には、国境周辺地域で続く戦闘から逃れてきた4万人近い国内避難民と10万人以上のアフガニスタン難民が暮らしています。病院や給水システムなどの生活の基盤となるインフラが脆弱なところに、国内外から大量の避難民が押し寄せたことにより、地域住民を含む多くの人々が厳しい生活環境におかれています。

そこで難民を助ける会は、同郡内における医療施設の支援と、給水システムの整備、また、未来を担う子どもたちへの支援として、教育環境改善事業に取り組んできました。

同郡の医療を支える3病院に医療機材を提供

同郡には、重症患者の受け入れや高度な医療サービスを提供する3つの総合病院があります。しかし、機材の故障や不足により、一部の診療科で患者を受け入れられないなど、基幹医療施設としての役割が果たせない状態でした。運びこまれた重症患者は、より高度な治療が可能な遠方の別の病院に搬送せざるを得ず、その途中で病状が悪化したり死亡したりするケースもありました。当会は、この3つの病院に、X線機器、心電図機械、超音波診断機、血圧計などの基礎医療機材などを提供し、それらの機材を扱う病院職員に対して使い方の研修も実施しました。

「お水がきれいで、うれしい」56基の井戸を設置

同郡内のヘシキ村難民キャンプでは、約300世帯(約2,400人)の住民に対して、手押しポンプ式の井戸がわずか10基あるのみでした。また、既存の井戸からくみ上げた水には、2010年に発生した洪水の影響で、健康に害を及ぼす硝酸が含まれており、飲料用には適していません。

そこで当会は安全な水を確保するため、深いところでは55メートルまで掘り下げ(既存の井戸の深さは平均約20メートル)、飲料用として使える新しい手押しポンプ式の井戸を、同キャンプ内とその周辺地域に計56ヵ所完成させました。また、ポンプが故障したら住民自身の手で修理して長く使用してもらえるよう、井戸掘削業者の協力のもと、住民を集めてポンプのメンテナンス講習も行いました。

難民キャンプ内の小学校に通うアイーシャさん(仮名)(13歳)は、以前は2キロ離れた井戸まで水をくみに行くのが日課だったといいます。新しい井戸ができて、「今は遠くまで水をくみに行かなくてもいいし、お水がきれいで、透き通っていて、うれしい」と笑顔で話してくれました。

※この活動は、皆さまからのあたたかいご寄付に加え、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を受けて実施しています

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

パキスタン事務所 原口 珠代

日本で看護師として働いた後、青年海外協力隊に参加し、マーシャル諸島で医療支援に従事。その後、当会や他のNGOで、旧ユーゴスラビアやアフリカ・アジア諸国での医療支援や母子保健事業などに携わる。2012年2月より現職。鹿児島県出身

< 活動ニューストップに戻る

ページの先頭へ