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東日本大震災:一人ひとりの復興に寄り添って

2014年03月04日  日本緊急支援
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施設を利用する方々の送迎用車両を提供した福祉事業所「かたつむり」の皆さん(2013年12月26日 岩手県大船渡市)

東日本大震災の発生から3年が経ちます。時間とともに、震災関連のニュースも減り、震災を過去の出来事のように捉える人も増えているように感じます。しかし、今も27万4,088名(2013年12月時点)の方が避難・転居生活を余儀なくされています。

私たちが活動する岩手県、宮城県、福島県では、高齢化、過疎化、原発事故など様々な要因がからみあい、地域によって復興のスピードが異なります。個人でも、自力で自宅を再建した方がいるかと思えば、復興住宅に入居する目途もたたず仮設住宅が終の棲家となるのではと言う方もいます。同じ仮設住宅に住む隣人同士でも1人ひとり抱える問題は異なり、個別の対応が求められます。

時間の経過とともに人々のニーズも変わりました。はじめは食料、巡回診療など生命の維持に必要なものを皆が求めていました。仮設住宅が建つころには家電などが求められ、その後、福祉事業所や商店街の復旧支援が始まりました。そして今、一人ひとりに寄り添い、それぞれの復興のスピードにあわせた支援が求められています。仮設住宅で1人で暮らすお年寄りには、じっくりとお話しできる場を。放射線の高い地域に住む子どもたちには、安心して好きなだけ外で遊べる機会を。新たな販路を求める福祉事業所には、販路拡大のためのアイデアや、製造に必要な器具などの支援を。1人ひとりがどのような状況に置かれ、何を必要としているのかを確認しながら多様な支援を行っています。

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仮設住宅の集会所を訪れ、住民の方々にマッサージや傾聴活動を実施しています。左はAARスタッフで理学療法士の大室和也(2013年12月8日 宮城県石巻市)

国内外から寄せられた皆さまの継続したご寄付やご協力が支えとなり、被災した方々が新たな生活を始めています。AARが車両や事務機器などを提供した福祉事業所の職員は、「これまで外出さえめったにしなかった方が、最近通所を始めて、『(福祉事業所で)仕事してきたんだべ』って家で嬉しそうに話しているようです」と、利用する障がい者の方の前向きな様子を伝えてくれました。
 
一方で、仮設住宅でカウンセリング活動などを続ける相馬事務所の横山恵久子は、「身近な人を突然失ったショックや悲しみを抱えきれず、震災の日から時が止まったまま、次の一歩を踏み出せない方もたくさんいる」と言います。3年という月日は深い心の傷を癒すのに十分な時間ではなく、不安や悲しみに寄り添う支援はまだ必要とされています。
 
皆さまのあたたかいお気持ちを確実に届け、復興から取り残されてしまう人が一人でも減るよう、今日も私たち東北事務所職員一同、雪空の被災地に向かっています。これからも、皆さまの温かいご支援をどうかお寄せくださいますよう、お願い申し上げます。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東北事務所長 加藤 亜季子

2010年4月より東京事務局でハイチ事業、ザンビア事業などを担当。2011年3月からは東日本大震災支援事業を担当、2013年4月からは東北事務所長として同事業の統括を行う。大学卒業後、民間企業に勤務。英国の大学院で社会開発を学び、政府系研究機関、在外公館勤務を経てAARへ。東京都出身

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