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トルコ:シリア難民支援「小さな変化の積み重ねが、大きな変化となることを目指して」

2018年12月28日  シリア難民支援トルコ
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AAR Japan[難民を助ける会]では、2014年より、トルコのシャンルウルファ県で、シリア難民のためのコミュニティセンターを運営しています。駐在員の吉川剛史からの報告です。

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コミュニティセンターに通う子どもたちと吉川(上)(2018年12月)

難民の生活を支えるコミュニティセンター

床に座って本を読む3人の女の子

コミュニティセンター内の図書室で本を読む子どもたち(2018年8月)

コミュニティセンターでは現在1日平均40名程度の女性や子どもたちを受け入れ、さまざまな活動を行っています。
成人女性向けには、料理・裁縫・アクセサリー作りなどの、そして、子ども向けには劇・音楽・お絵描きなどのセッションを提供。それらに加えて女性であればスパ、子どもであれば動物園など、余暇を楽しむ機会があまりない難民が少しでも生活を楽しめるように外出行事やクリスマスパーティーなどのイベントも実施しています。
また子ども達がセッションの合間に利用できる図書室には、アラビア語・トルコ語の本を揃え、小さな子ども連れの女性も気兼ねなくセッションを楽しめるよう託児室などの設備も設けています。

こうした機会や施設を提供するコミュニティセンターを、シリア人・トルコ人の区別なく開放し、交流を深めてもらうこと、そして血縁のみならず地縁に基づいたコミュニティをつくることで、少しでも日々の生活状況が向上するヒントを見つけてもらうことが、このセンターの重要な存在意義の一つです。
また、コミュニティセンターでは、家庭内暴力や虐待などを受けているような女性や子どもが保護を受けられるきっかけづくりも行っています。例えばセンターの受付に、児童労働や早期婚に関する情報が書かれたパンフレットを配置したり、受付の職員が口頭・電話で生活の状況を聞き取りし、必要に応じて、法的支援や心理カウンセリング、リハビリテーションなどを受けられるよう手配するなどしています。

少しずつ元気を取り戻す女性たち

コミュニティセンターに通う方々は金銭的・精神的に余裕のない生活を送っている難民の女性や子どもが多い上、シリアの戦闘地域から逃げてきたような方の中には、家族や親戚、友人を失うなど悲惨な経験をしていることから、ふさぎがちな方々も多くいます。
しかし、基本的には女性しかいない環境でリラックスしてもらい、同じような境遇におかれた少人数の女性同士で交流を深めることで、少しずつ元気だった自分を取り戻していきます。センターの講師たちも参加者同士の交流を促進するクラスの進め方や、習熟度に応じて役割を担ってもらう(例えば、裁縫の初心者が参加した場合、他の参加者が玉止めなどの基本テクニックを教えるなど)ことで、交流が活発化するよう工夫しています。

女性たちが色鮮やかな花の小物を作っている様子

石けんを使って、花の小物をつくる女性たち(2018年10月)

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コミュニティセンター内に設けられている保育室。子どもを預けて活動に参加することができます(2018年11月)

国境を越えた友情も

小学生くらいの子ども10名くらいが輪になって手を上げてる様子

子ども向けのクラスの様子。トルコ人の子どもとシリア人の子どもが一緒に参加します(2018年8月)

子ども同士では、国籍を超えて交流する様子もよく見られます。10歳のシリア難民の女の子ルカイヤさん(仮名)は、コミュニティセンターに約8ヵ月通っています。初めのころ、センターに来て同じクラスのトルコ人の子どもに話しかけても、トルコ語がわからないため、あまり相手にされませんでした。ルカイヤさんからトルコ人の友達を作りたいと相談を受けた講師たちは、簡単なトルコ語を教え、彼女がクラスで友達を作りやすいような活動も行いました。
それでも最初はコミュニケーションをとるのは大変でしたが、たくさんのトルコ人の女の子たちがルカイヤさんと話すようになりました。
まだまだトルコ語では基本的なコミュニケーションしかとることができないにも関わらず、元来の外向的な性格もあり、自分の家の近所に住んでいるトルコ人の子どもたちをコミュニティセンターに連れてくるなどして、友達作りに励んでいます。今では「5人のトルコ人の友達がいる」と胸を張っています。

「小さな変化の積み重ねが、大きな変化となっていくことを目指して」

シリア危機の勃発から7年9ヵ月が経ち、現在も350万人を超えるシリア難民がトルコで暮らしています。長引く避難生活に、難民の方々も、受け入れている地域の住民も、多くの不満やストレスを抱えています。シリア人とトルコ人との諍いも増え、今年の9月には殺人事件にまで発展した事件もありました。シリア人とトルコ人が近くに住んでいても、交流がなければ、噂や偏見で悪く言い合い、簡単なきっかけで争いに発展してしまいます。
そんな状況でも、コミュニティセンターで肩を並べて同じ活動をすることで、「シリア人の友達がいるけど、とてもいい子だよ」「あのトルコの人はとても親切」といった見方が広がると思います。少しでもポジティブな感情を地域の中に醸成していく一助でありたいです。文化の違いや感情・お互いに対する思い込みを乗り越えていくのが簡単なことではないのは現地にいてひしひしと感じいますが、そんな小さな変化を積み重ねることで、大きな変化となっていくことを目指してこれからも活動を続けていきます。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

トルコ事務所 吉川 剛史

大学で途上国開発・平和構築を専攻し、在学中にフィリピンでのボランティア活動、ボスニアのNGOや国内の難民支援NGOでインターンなどを経験。大学卒業後、総合商社で約3年間、食肉の輸入業務と国内販売業務に携わった後AARへ。ウガンダ事務所駐在を経て、トルコ事務所へ。千葉県出身

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