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台風19号 直撃から10日。被災地はいま

2019年10月21日  日本緊急支援
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10月12日夜に伊豆半島に台風19号(ハギビス)が上陸して10日が経ちました。記録的な大雨と暴風は、10月20日時点で死者68名、重軽傷者約400人、家屋被害は3万件を超える甚大な被害をもたらしました。未だ4,000人が避難を続け、78,000戸以上で断水が続いています(内閣府非常災害対策本部)。AARは10月13日からNPO法人ピースプロジェクトと共同で炊き出しを実施し、14日からは被害規模の大きい長野県、北関東(栃木、茨城)、東北(福島、宮城)の3地域にそれぞれ緊急支援チームを派遣、調査と物資配付を行ってきました。10月18日、宮城県の被災地で活動した、AAR緊急支援チームの鎌田舞衣からの報告です。

未だ全容のみえない被害

大雨と暴風による被害は、ニュースから想像される規模をはるかに超えていました。私は福島県郡山市から宮城県に向かいましたが、川の水の氾濫や土砂崩れで通行止めの道路も多く、何度も別のルートを探しながらの被災地入りとなりました。現場に着くと、津波に襲われたかのように、基礎部分を残して全て消失してしまった家屋、道路のアスファルトがすっかりはがれ未舗装の様相を呈した道路、土砂や流木などによって道路そのものが埋まってしまっている箇所など、各地で目を疑う状況が広がっています。通行止めのためにチームがまだ入れていない地域もあり、実際の被害はさらに大きいものと想像されます。

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すっかり泥に覆われてしまった道路。泥に埋まったり、陥没や土砂崩れなどであちこちが交通止めに(宮城県丸森町、日付はすべて2019年10月18日)

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流されたまま撤去されていない車両。水位の高さや水の力の強さをまざまざと感じさせる(宮城県丸森町)

緊急性の高い福祉施設の復旧支援

台風の直撃から1週間となる10月18日、AARは大規模に断水の続く宮城県丸森町と大郷町で活動を行いました。すっかり変わってしまった町の様子に加え、飲み水はもちろん、トイレやお風呂もままならない日々がこの後さらに1ヵ月は続くとも言われる中、被災した方々は明らかに疲れ切っているご様子でした。AARは主に福祉施設で被災状況と支援ニーズを伺っていますが、職員の方たちは「1日も早く活動を再開して、障がいのある方たちが施設に戻れるように」と奮闘を続けてらっしゃるものの、ご自身も被災しながら休みなく働いておられ、表情から疲弊は隠しきれません。

大郷町の就労支援施設「大郷ファーム」は吉田川の氾濫により、収穫間近だった川沿いの広大なネギ畑がほぼ全滅してしまいました。18名の利用者は無事だった畑で作業を再開しているとのことですが、年間の収穫量の半分を占めていた畑を失った打撃は計り知れません。

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「元はここはネギ畑でした」。まるで水路のようになってしまった就労支援施設「大郷ファーム」のネギ畑(宮城県大郷町)

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右側の倒れた家屋は元は道路の向かい側に建っていた。基礎を残してすべて流されてきた(宮城県大郷町)

福祉施設利用者の方を送迎するための車両を失った施設も多くあります。デイサービス事業を展開する(一社)めるくまーるは、送迎用車両7台すべてを失い、事業所の1.5メートルの高さに及んだ浸水で1階にあった備品はほとんど使用できなくなりました。100名ものボランティアの方々が清掃作業を行っておられるとのことですが、いまだ水が引かない箇所もあり、引いた箇所でも分厚い泥が覆い、復旧には時間を要します。そんな中でも、1日も早く仮の事務所で運営を再開したいと、職員の方たちは片付けのかたわら準備に駆け回っています。

災害時、福祉施設の復旧支援は緊急とみなされにくいこともありますが、障がいのある方やご高齢の方が施設を利用できないことで、障がいや持病が悪化することに加え、家族もケアのために家を離れられず、片付けや仕事、あるいは支援物資の受け取りなどにも行けないという状況が続いてしまいます。さらに、一般的な支援物資だけでは個別のニーズに応えきれず、食糧は届いていても食べられない、毛布はもらえても健康を保てない、ということが起こっています。

こうした理由から、AARでは災害時は特に福祉施設を重点的にまわり、支援を提供しています。また、できる限り早い段階で、施設の復旧支援を始めるようにしています。

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廃校になった小学校の校舎を利用して障がい児の放課後等デイサービスを行っていた一般社団法人めるくまーる。1階にあった備品はすべて使いものにならない(宮城県大郷町)

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「ここまで水が達しました」とめるくまーる代表の児玉幸司様と、話を伺うAARの生田目充(宮城県大郷町)

支援ニーズはこれから明らかに

一方、こうした被害の大きさが、逆に支援を求めづらくしている面もありました。町内のある施設の方は、床上浸水により使用できなくなった備品がいくつもあり、いまも断水が続く中で、「もっと大変なところはたくさんありますから」と、決して支援を求めようとされませんでした。大規模な災害時には、周囲との比較から、あるいは助けてもらうのは申し訳ないという気持ちから、実際には大きな被害を受けながら支援を求めるのを控え、ぎりぎりまで耐えようと無理を重ねてしまわれる方たちもおられます。また、すぐには何から支援を求めたらいいのかわからない、ということも少なくありません。AARは今すぐに必要な物資を提供するとともに、被災された方々にいつでも安心して困りごとをお話しいただけるよう、定期的に訪問するなどしています。AARでは対応できないことがあれば、行政や他の団体とのネットワークにも協力を仰ぎながら、確実に支援につなげるよう努めています。

いまも緊急事態が続いておられる方が多くいらっしゃり、復旧・復興の道のりもまだこれから始まります。支援はこれからますます必要とされます。すでに多くの皆さまにご協力いただいておりますが、引き続きのご寄付を、どうぞよろしくお願いいたします。

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    【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

    東京事務局 鎌田 舞衣

    2016年9月より東京事務局で広報・支援者担当。大学院卒業後、学童保育の指導員として勤務。東日本大震災発災後、故郷の岩手県の子どもたちのことが気にかかり、NGOに転職。4年間、陸前高田市の仮設住宅などでの子ども支援に携わる。所属団体の東北支援終了を機にAARへ。岩手県出身

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