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台風19号:炊き出しの現場から

2019年11月19日  日本緊急支援
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日本国内での災害時、AARが障がいのある方々への支援とともに力を入れているのが、炊き出しです。東日本大震災に始まり、2016年4月の熊本地震、同年8月の台風10号・東北水害、2018年7月の西日本豪雨、同年9月の北海道地震と、近年では発災直後から現場に駆け付け、避難所などで炊き出しを行ってきました。その先頭を行くのが、NPO法人ピースプロジェクト代表でもある加藤勉AAR理事です。

先月の台風19号発生時もいち早く現場にかけつけ、毎日のように温かい食事を作り続けました。11月8日、ピースプロジェクト主催で炊き出し活動報告会が開かれました。

台風15号の反省から始まった

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台風上陸前にカレーライスの材料を購入。機材やレンタカーも揃え、準備を整えて待機していました

今年9月上旬、台風15号が千葉を中心に大きな被害をもたらしました。AARは福祉施設などに物資の配付や復旧支援を行ったものの、炊き出しは加藤理事が本業で出張があったこともあり、実施を見送っています。「停電もすぐ復旧しそうだと報道されていたので出張を優先したけれど、実際には被害はずっと大きかった。だから台風19号の時は絶対に行くと決めていて、早くから準備していました」。都心の被害も予想されたため、早々に食材や機材を揃え、レンタカーも確保して待機したと言います。

10月12日、台風19号が本州に上陸。甚大な被害は現実のものとなりました。

冠水、倒木、土砂崩れ...、2時間の距離を9時間かけて

どんな災害でも、発生直後には、どこでどのような被害が発生し、どこで炊き出しが必要とされ、交通の遮断などもある中でその場所にどやって行けるのか、整理された情報はありません。報道される内容も、メディアがつかめた情報に限られます。加藤理事は自身のSNSで「支援を必要としている被災地の情報を求めています」と発信。そこに、本業でつながりのあったシューマートという企業から、「長野市穂保地区の被害がひどく、支援が必要」との連絡が入りました。

そこで10月13日朝、長野県の長野市穂保地区へ東京から車で向かいました。普段なら2時間ほどの距離ですが、途中、道路の冠水や倒木、土砂崩れなどで車はなかなか進まず、現場に到着したのは予定よりずっと遅れた夕方5時半でした。しかし、情報を寄せてくれたシューマートの方々があらかじめ活動拠点を確保してくれていたため、すぐに調理を開始することができました。「緊急時の炊き出しで、一番大変なのが拠点の確保です」。行政からは、被災した住民全員分の食事を提供できない限り、不平等になるからと炊き出しを断られることも多いと言います。「それが今回はおかげでとてもスムーズでした。みんなが手伝ってくれて、無事にカレーライス120食を提供できました」

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通常の3倍以上の時間をかけて被災地に到着。暗い中ですが多くの方が食事を待っておられました(2019年10月13日、長野県穂保地区)

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2日目からは各地から応援がかけつけました。左から2人目はマラソンランナーの谷川真理理事。左端は加藤勉理事(2019年10月14日、長野県穂保地区)

被害の甚大な宮城県丸森町へ

翌日以降は各地から応援が駆けつけ、14日は昼に牛丼60食、夜は炊き込みご飯とポテトサラダ120食、その翌日は昼にクリームシチュー60食、夜は野菜を添えた唐揚げ弁当90食と、毎日様々なメニューを提供しました。

「夜の炊き出しの前に被災地を見に行くと、畑のりんごがたくさん落ちていた。りんご農家の方が『今年の出荷は絶望的だ』と嘆いておられたのが心に刺さりました。温かいご飯を食べて、復興に元気と勇気を出してもらえれば、という思いでした」。

長野県穂保地区では、拠点としていた学校が運営を再開されることになったため、10月16日からは宮城県丸森町に活動の場を移しました。AAR事務局の大原真一郎が丸森町の炊き出しコーディネーターとつながりがあったため、その方から炊き出し会場などの情報を得ることができました。

丸森町の避難所からは、食事は3食配給されていたため、夕食時の温かい汁物を提供してほしいというリクエストをいただいていました。そこで、鱈汁、つみれ汁、豚汁、納豆汁など様々な汁ものを用意。さらに、配給のお弁当は唐揚げが続いていたことから、ひじき煮やポテトサラダなど、野菜の副菜も作りました。

「お汁は野菜たっぷりでありがたいね。お代わりしたよ」「油揚げ、大好きなんだよ」、そんな声をたくさんいただいたと言います。

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「あらかじめその日のメニューを貼りだしておいたりもするんですよ。少しでも楽しみを持ってもらいたくて」(2019年10月15日、長野県穂保地区

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ひじき煮は足りなくなるほどお代わりしてくれました。左はAARの大原真一郎(2019年10月23日、宮城県丸森町)

避難所にいない方たちにも

避難所での生活も厳しいものですが、かろうじて住める状態の自宅にいる方も、片付かない家の中で断水も続く中、食事には大変ご苦労されていました。車が使えなくなり、避難所に食事をもらいに来るのも難しい方が多くいます。そこで観光案内所の施設をお借りして、避難所に寝泊まりしていない方たちに向け、昼食の炊き出しも行うことにしました。炊き込みご飯やカレーライス、牛丼など、食べ応えのあるメニューですが、必ず浅漬けやサラダなど、野菜の副菜をつけるようにしました。

「少しですが、自宅で泥のかきだしをしている人たちにも配ったら、『わあ、助かります!』と本当に喜んでくださいました」

丸森町役場にも、しばしば鍋ごと届けました。AARの大原は、「役場の人たちは昼夜なく住民のために働いてましたが、避難所で配られるお弁当は遠慮して決して持っていかないんですよ」と言います。後で鍋を片付けに行くと、「あたたかい差し入れありがとうございました。本当においしかったです!!」という置き手紙があったことも。保科郷雄町長から、「職員みんな、疲れがピーク。いつも夜食としていただいています。ありがとうございます」と声をかけていただいたこともありました。

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避難所ではない場所で、昼間の炊き出し。断水が続いて料理がままならない中、大勢の方が食べに来てくださいました(2019年10月20日、宮城県丸森町)

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食べ終わったお鍋には、うれしい置き手紙が(2019年10月24日、宮城県丸森町)

すべては出会いから

「毎回、どこの被災地でも、人との出会いに感謝することばかり。災害がなければ出会うことがなかった人たち。その出会いが、やがてつながりに変わるんです」

加藤理事が主宰するピースプロジェクトの中心メンバーとは、最初は東日本大震災の被災者と支援者という関係での出会いでした。「今度は自分が助ける側に」と、今では各地で災害が発生すると共に炊き出しをする仲間に。東北の復興支援で協力してくれていた北海道のグループは、今回も富良野から炊き出しの野菜をたくさん持って手伝いに駆けつけてくれたと言います。「丸森町の駐車場で調理をしていたら、ボランティアに来ているという人が『少ないけど役立ててください』と言って寄付をくれたんですよ。これも出会い。感謝です」。現地では被災した方々が調理場所を提供くださったり、配膳を手伝ってくださったりもします。全国から駆け付けてくださるボランティアの方々、ご寄付くださる方々への深い感謝が繰り返されました。

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活動を助成くださったマーシー・リリーフのカイル・マッサン氏が、拠点を置くシンガポールから訪問くださいました。右は加藤勉理事(2019年10月18日、宮城県丸森町)

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全国から駆け付けたボランティアの皆さん、自ら被災しながら調理場所を提供したり、手伝ったりしてくださった皆さんのおかげで、炊き出しができました(宮城県丸森町)

あらゆる被災地で聞かれる言葉、それは。

活動を重ねる中で、現場で感じる変化や課題を聞きました。

「災害後すぐに主要道路が整備され、インフラや流通も早くから復旧させる力は、さすが日本」。その一方、過去の教訓が必ずしも活かされていないと感じるとも言います。

大原は「11月に入ってから撮った」と、1枚の写真を見せました。体育館に小さなテントがびっしり張られています。「テントや段ボールベッドが届き、雑魚寝よりはよくなりました。ですが、世界を見ればずっと早い段階でしっかりしたテントが用意されるようになっています。先進国の日本にできないはずがないと思うんです。これは一例です」

加藤理事が言葉を選びながら、こう続けました。「まさか自分が、という、その気持ちかな」。どの災害現場に行っても、被災者から必ず聞く言葉、それが、「まさか自分が被災するとは思わなかった」だと言います。「今回もそうでした。これまで熊本でも、北海道でも、西日本の時も、みんなが口にする」。「前にも浸水はあったけど、まさかここまで水が来るとは」「1級河川だから安全だと思っていた」、あるいは地震の時なら「この県には地震はないから」。けれど、と続けます。「本当に、誰もが被災する可能性がある。僕たちだって、今この瞬間に首都直下型地震がきたって不思議じゃないんだ」。

災害を自分事として考え、備えることの大切さを、最後に強く訴えました。

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避難所となった体育館に張られたテント。日本では災害が頻発しながら避難所などの準備はまだまだ十分ではありません(2019年11月6日、宮城県大崎市)

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報告会で「誰もが被災する可能性がある」と備えを強く訴える加藤勉AAR理事(2019年11月8日、東京都千代田区)

台風19号の被災地での炊き出しは、ピースプロジェクトとして11月8日までに計4,690食を提供しました。AARではこれからも、加藤理事率いるピースプロジェクトとともに被災地に食事を届けてまいります。

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