駐在員・事務局員日記

命がけの支援活動 ―アフガニスタンで支援される人々は

2006年09月27日  アフガニスタン
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執筆者

東京事務局 広報・支援者サービス担当
日野 愛子

記事掲載時のプロフィールです

2006年7月、難民を助ける会の理事長柳瀬房子と副理事長伊勢崎賢治によるアフガニスタン(主にカブール市内)視察出張に同行しました。当会はカブールでの地雷回避教育および教材開発、北部タカール州での理学療法施設の運営や医療機器・食料供与などを行っていますが、今回はカブール視察の感想を記したいと思います。

ブルカがまだまだ目立つ社会

炎天下でのブルカは、とても暑そうに見えます

炎天下でのブルカは、とても暑そうに見えます

カブール市内では思った以上にブルカ姿(青色)の女性が多く、今思い出そうとしてもアフガン女性の顔があまり思い浮かびません。頭からすっぽり衣服をかぶっていて、肌といえば手しか見えないのです。ちょっとカブールを離れた場所に行くと、ほぼ100%の女性がブルカをかぶっているそうです。難民を助ける会のカブール事務所に勤務しているあるアフガン人男性スタッフ(コックさん以外は全員男性スタッフ)が言うには、「タリバン政権崩壊後、女性の権利が認められつつある(教育も受けることができるなど)が、やはり男性の本音としては自分の妻や娘にはブルカをかぶっていてほしい」ということです。

日よけや社会的習慣からブルカを着続けるのだという言い方がされることもあり、女性抑圧のシンボルだと言うつもりはありませんが、女性のほとんどはブルカを脱ぎたいと思っていると聞きました。

一人で歩く??

街中の肉屋-皮をはがれた牛の片身がぶらさがっています

街中の肉屋 ―皮をはがれた牛の片身がぶらさがっています

「こんな状況で、女性が顔を見せて1人で街を歩き回るなどあり得ない、しかも外国人として」という感覚は、自分が街に出ると一瞬で芽生えました。目的地ぎりぎり近くのところまで車で行って、歩くのはせいぜい50メートルくらい、アフガン人男性スタッフと並んで歩いていても、人々の視線が突き刺さります。物乞いがお金を目当てに寄って来る、あのお決まりの雰囲気ではなく、へたに油断していると、いつ誘拐されてもおかしくないという恐怖感を感じました。以前、白昼のカブール市内大通りで、国連の外国人女性職員が誘拐され殺害されたというのも、うなずけます。このように女性のみならず、アフガニスタンで活動する外国人は危険回避のため、外を自由に歩き回ることができません。この状態が数ヵ月以上も続くというのは、ものすごく大きなストレスでしょう。

カブール事務所スタッフのザイヤライ氏

難民を助ける会カブール事務所スタッフのザリヤライ氏(ドライバーとして他スタッフの安全を確保します)

タリバン政権崩壊後、集中的に国連や様々な援助団体がアフガニスタン入りし、復興支援をおこなっていますが、反米・反外国人感情は根深く残っています。米軍関係の車輌を狙ったテロも頻繁におこっているため、車での移動にも常に緊張感が漂うのです。東京でのみ働いているとわからない緊張感です。当会の日本人スタッフを含め、外国人がこういう地域で働くことの難しさを強く感じました。支援活動は、まさに命がけです。

隣国パキスタンからの帰還民が続々と

パキスタンからの帰還民

パキスタンから帰還した家族と家財道具一式を積んだトラック

さて、カブールで訪れた場所の一つをここで紹介したいと思います。エンキャッシュメント(現金受け取り)センターという、帰還民が通過するテント群です。アフガニスタンの内戦中、国外に逃れた難民(一時は600万人を超えた)には隣国パキスタンやイランに移り住んだ人々が多くいます。彼らは現在も、続々と母国アフガニスタンへ帰ってきています。一見、サーカスの巡業かと思うような派手な装飾を施したトラックで、家族10人程度が家財道具一式を載せて帰還しているのを多く見ました。

予防注射を受ける赤ちゃん

予防注射が痛くて?泣き叫ぶ赤ちゃん(左は柳瀬理事長)

彼らはまず、エンキャッシュメントセンターで、お金をもらったり、予防接種や地雷・不発弾の危険について説明を受けたりします。パキスタンの難民キャンプ地にはもちろん、地雷は埋められていません。だから、祖国に戻ったときに待ち受けている危険については意識的に学ばないと、後にどんでもない被害にあうのです。「自分の祖国の土地には、悲しいがこれだけの地雷や不発弾の危険がある。被害にあわないために、発見したら近寄らず触らずに知らせてください」。こういった情報を、パンフレットや映画を通して知るのです。そして、この教材・資料の作成および教育を難民を助ける会のカブール事務所スタッフが引き受けているのです。

これからどこに住めるのかもわからない

アブドル・ワヘットさん

アブドル・ワヘットさん(31歳)―住居や仕事に対する不安を抱えたままの帰還です

センターのテント内で、パンフレットを手にしているワヘットさんという31歳の男性(写真)に話しかけてみました。彼は自分が10歳のときにパキスタンへ逃れたそうです。パキスタンで結婚し、母国に帰るときは妻と二人の子どもと一緒です。流暢な英語で話しますが、「これからどこに住めるのかもわからない。自分の家族が母国アフガニスタンでどのくらい適応できるのかもわからない。まずは学校に通って、良い働き口を見つけることが最優先だ」と曇った目で語ってくれました。パキスタンで、生活の不安や生命の危険をそれほど感じることもなく暮らしてきた20年間。ようやく母国へ帰還した後の心中は、不安と希望の共存です。

彼ら帰還民が、より安全に希望を持って母国で一生を過ごせるよう、国際社会は支援をしています。その一翼を難民を助ける会が担えていることに、スタッフとして誇りと責任を強く感じました。しかし、現在(2006年夏)もアフガニスタン南部では紛争が継続しており、新たに地雷も埋められているようです。現地はまだまだ支援が必要です。ワヘットさんが抱いている不安、また外国人として私が感じた恐怖・緊張感がこの国からいつの日かなくなるよう、活動を続けていきたいと思います。

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