駐在員・事務局員日記

肉以外に尿や糞まで!?スーダン南部の「牛」活用法

2011年03月04日  南スーダン
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執筆者

スーダン・カポエタ事務所
角谷 亮

2007年11月から2010年3月までタジキスタン事務所に、同年4月よりスーダン・カポエタ事務所に駐在。大学では英米語学を専攻。卒業後、派遣員として在外公館に2年半勤務。その後、難民を助ける会へ(兵庫県出身)

記事掲載時のプロフィールです

難民を助ける会の事務所があるスーダン南部のカポエタで、毎日目にする動物は「牛」。ここに暮らす人々は、肉を食べることはもちろん、その他にも驚くべき目的で牛を利用しています。さてその目的とは・・・?

嘘も方便ならぬ、牛の小便!?

人々の生活に根差した牛

スーダン南部には牛がたくさんいます。中にはこんな大きな角を持つ牛も

牛は日本でも身近な動物で、「牛歩」「牛耳を執る」などの表現がありますが、カポエタにも「牛より大事なものはない」という言い回しがあります。ここでは牛は身近なだけでなく貴重な存在です。
牛肉、牛乳などは日本の食卓でも常連ですね。スーダン南部でも牛を食べますが、大きく異なるのは、カポエタに住むトポサの人々は、なんと牛乳を牛の小便と混ぜて飲むことです。
作り方は、いたって簡単。容器にとった尿を数日間ねかせます。その後、尿の15倍~20倍の量の牛乳を入れたら出来上がり。町で牛乳が売り出されていると、トポサの人々は牛乳の容器のキャップを開け、臭いを嗅ぎます。もし尿が混ざっていないことが分かると見向きもしません。尿を入れることで牛乳がフレッシュになると思われているのです。

オシャレや虫よけ、燃料にも

ディンガの人々の牛にまつわる習慣を話してくれたエリザベスさん

牛にまつわる慣習を説明してくれたディンガのエリザベスさん

スーダン南部最大の人口を誇るディンガの人々は、おしゃれのため髪を脱色させる方法として牛の尿を使います。牛が用を足している、まさにそこに体をかがめて髪を尿に浸すのです。
また、蚊よけスプレーの代わりに、牛の糞を体につけ蚊から身を守ることがあるそうです。ディンガの人に聞くと、牛糞を塗った腕の上では、しばらくとまっている蚊が死ぬとのこと。牛糞には殺虫作用があるのかもしれません。
ただ、これら尿や糞の利用方法は、田舎に住むディンガの人たちだけがすることで、町に住む人たちはほとんどしないそうです。牛の糞は広く燃料としても使われています。

神に捧げるために

牛を生贄にする人々

祝い事の際には牛を生贄に捧げるトポサの人々

人間は、牛を屠殺し肉を食べます。ただ、スーダンではお腹を満たす食料としての目的以外に、生贄の意味があります。トポサの人々は、昨年難民を助ける会が建設した給水塔システムの開所式典の際、牛を生贄として捧げました。
また、スーダン南部で第2の人口数であるヌエルの人々は、地元の有力者などが亡くなった際に、牛を生贄として捧げ、殺された牛の一部分は神に供えるため、草むらに置いてくるそうです。

「何かって、なに?」ディンガの言い伝え

現地の人々と話す角谷亮(左から二人目)

現地の人々との日々の会話の中に、面白い話は転がっています(左から2人目が角谷亮)

なぜ、他の動物ではなく牛を生贄として捧げるのでしょう。それは牛が「神から与えられた特別なもの」だとスーダン南部の人々が考えているからです。
ディンガの人々には、次のような言い伝えがあります。
ある日、ディンガのおじさんが歩いていたところ、神さまが現れて言いました。「お前に、私が持っているどちらか好きなものを授けよう。1つは牛。もう1つは、『何か』だ」。すかさずディンガのおじさん、「何かって、なんですか?」。そこで、神さま「教えられない。けれど、『なにか』なのだ」。さすがにそれでは困るので、ディンガのおじさんは「牛」を選ぶことにしました。このようにして、ディンガの人々は神さまから牛を授かったのです。
なお、この「何か」が何だったのかは未だに謎のままです。

この7月、新しい国が生まれます

スーダン南部の子どもたちと角谷亮(中央)

新しい国をつくるのは、子どもたちだ(中央が角谷亮)

1月9日から1週間、スーダン南部の独立を問う住民投票が実施されました。そして2月6日、住民投票結果が正式に発表され、独立賛成が98.83%という結果が出ました。住民投票前には様々な混乱が予想されましたが、平和的に投票は進みました。今年の7月9日、世界で一番新しい194番目の独立国家が誕生する予定です。
ただ、基礎的インフラ設備の未整備など、解決すべき問題は山積しており、今後も国際社会の支援が求められています。ようやく独り立ちを始めようとするスーダン南部。どうか皆さまのあたたかいご支援を、引き続きよろしくお願いいたします。

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