駐在員・事務局員日記

徳島の医学生は見た!ザンビアでのAARのエイズ対策

2015年01月20日  ザンビア
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執筆者

ザンビア事務所
平間 亮太

2014年8月よりザンビア駐在。大学在学中に青年海外協力隊に参加し、西アフリカのベナン共和国でエイズ対策活動に携わる。帰国後、国際協力の分野でさらに専門的な知識を身につけるため大学院で国際保健学を学び、卒業後AARへ。2012年6月から2年間のハイチ駐在を経て、ザンビアへ。北海道出身

記事掲載時のプロフィールです

国際医学生連盟に所属する徳島大学の学生4名の皆さんがザンビアを訪問し、AARが行っているHIV陽性者への支援活動の現場を見学しました。1日目は、AARが建設した、プライバシーの守られた環境で診察を受けられるHIV陽性者専用の診療棟と、患者の服薬をサポートするボランティアを訪問。2日目は、AARが行っているHIV陽性者などへのワークショップを見学しました。

学生の皆さまからの感想文の一部をご紹介します。※AARの海外活動地の訪問を希望される場合は、「よくあるご質問」をご覧ください。

「最新式のヘルスセンターで生き生きと働くスタッフたちに驚き」

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AARの活動地訪問に先立ち、AARザンビア事務所職員のグリフィン(左)から説明を受ける徳島大学の皆さん。中央が原田真理子さん(2014年8月14日)

徳島大学医学部看護学科3年 原田 真理子さん

AARの支援は、現地スタッフや服薬支援ボランティアと協力しながら実施され、日本人スタッフは困ったときの相談役として位置づけられていました。現地の方をプロジェクトの中心に置くことで、主体性や希望が芽生え、意欲が現地スタッフから溢れているように感じました。HIV陽性者専用の診療棟は、私にとってザンビアで初めての医療施設見学となりました。想像以上に建物構造や設備が充実し清潔だったため、ザンビアの医療施設はどこもこんなに整っているのかと感激しました。しかしその他の診療所は病院の一室を用いるような簡素な施設で、AARにより充実した施設が建てられたのだと後で知りました。施設で働く現地スタッフの皆さんもやる気に満ちていて、これほど治療の環境が整っていることは、HIV陽性者の励みになるように感じました。

服薬支援ボランティア(※)さんへのインタビューでは、地域のために役に立ちたいという熱い思いを感じ、今の日本で薄れている地域への愛や相互扶助の精神に気づかせてもらいました。特に印象的だったのは、どうしてボランティアを志したのかという質問に対して、「家族のうち5人がエイズで亡くなった」という返答をされたことでした。HIVについて事前に学習し統計データも見ていましたが、いざ実情を間のあたりにすると衝撃は大変大きく、悲しくなりました。

※成人の8人にひとりがHIV陽性者といわれるザンビア。以前は不治の病と思われていたエイズですが、今はエイズの発症を防ぐための薬(ARV薬)があり、多くの陽性者がこの薬を服用しています。ARV薬は、一度飲み始めると、毎日決まった時間に決まった分量を生涯飲み続けなければならない薬です。それを守らなければ、薬の効果がなくなり、エイズを発症する可能性が高くなってしまいます。しかし、毎日ARV薬を飲み続けるのは簡単なことではありません。AARが養成しているボランティアたちは、患者の家庭を訪問し、適切にARV薬を服用し、健康状態を維持できるように手助けをしています。

「ボランティアの姿に、私生活で手いっぱいの自分を省みた」

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ボランティアのベリータさん(左端)と、国際医学生連盟の皆さん。後列右から2人目が小田幸弘さん。前列右から2人目はザンビア駐在員の平間亮太(2014年8月14日)

徳島大学薬学部2年 小田 幸弘さん

今回見学したカフエ郡のヘルスセンターには、大きく新しいHIV陽性者専用の診療棟と、その離れに古くからある外来施設がありました。ザンビアでのHIV罹患率からしても、そのような特化した施設が一地域のヘルスセンターで活躍していることに驚きました。しかし立派な施設があっても、距離的、個人的な理由で通院が困難な人々も少なくありません。そのような人々のところへ、地域ボランティアのスタッフが定期的に訪問するというシステムがあり、患者に寄り添う体制が徹底して構築されていることに、ボランティアの方々の思いやりを感じました。

地域ボランティアのベリータさんは、週に1、2回の頻度で自宅近くの村を訪れており、通院の難しい人々にとって大きな心の支えとなっています。身の回りの家事や、妊婦へのケアなどのボランティアも行っているとのことでした。彼女自身にもまた生活はあり、当然そのやりくりも楽ではないはずです。その時間の一部を使ってまでして、彼女にボランティアをさせる動機は何なんだろう。日々のやりくりをすることさえ必死な私からは想像のつかない答えが返ってきました。
「このボランティアがあるから、私の生活がまわっていると思うんです」。

一見シャイでもの静かに見える彼女には、ボランティアに対する大きな熱意がありました。そして何より、彼女は終始幸せそうな笑顔でお話しされていました。そのような彼女と、多忙な私生活で手一杯の私を照らし合わせることで、将来の自分の仕事や生き方に対する考えを見つめ直すきっかけになりました。

「質の高いワークショップと積極的な患者さんの姿勢に学ぶ」

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免疫機能を高める栄養のある食事について、食材の写真を見ながら、参加者で考えます。学生の皆さんも「これは何?」「どうやって食べるの?」と興味津々後列右から3人目が田村聡至さん(2014年8月14日)

徳島大学医学部医学科5年 田村 聡至さん

2日目はHIV陽性者のためのワークショップ(※)を見学しました。私はHIV陽性者の方とお話しするのは今回が初めてでした。当初はHIV陽性者と言うと不治の病、差別などネガティブなイメージが先行し、暗く落ち込んだ方々なのかなと思っていたのですが、まったくの誤解でした。彼らは自分の病気について知ろうと真剣で、熱心にワークショップに取り組んでいました。ワークショップの内容もボランティアの方々が考え、参加型で行ったり、随時気分転換を取り入れたりと、焦点を絞って要点を確実に伝える工夫を意識されているのが良く分かりました。あの質の高いワークショップなら参加者も集中して最後まで参加できると感じました。

ザンビアに渡航する前、ザンビアでは6人に1人の子どもがエイズで親を失うと聞いて衝撃を受けました。日本にいると、あまり身近に感じることのないエイズという病気がそこまで蔓延しているということが信じられませんでした。しかし、近年のザンビアではHIV罹患率が減少傾向にはあります。その背景にはボランティアの方々とそのボランティアをサポートするAARの熱心で地道な活動があることを知りました。

※AARが行っているHIV陽性者とその親近者向けのワークショップでは、知識テストや少人数のグループワーク、ゲームなどを盛り込みながら、HIVの基礎知識や、免疫機能を高める栄養のある食事、薬を正しく服用することの大切さなどについて教えています。ワークショップの講師を務めるのは服薬支援ボランティアです。講師は責任感をもって準備し堂々と発表し、HIV陽性者も、自分の病気についてよく理解しようと講師に積極的に質問を投げかけます。

「ザンビアでの経験、日本で活かしたい」

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HIV陽性者の方にインタビューする国際医学生連盟の学生の皆さん。後列右から3人目が高礒甫隆さん(2014年8月14日)

徳島大学医学部医学科2年 高礒 甫隆さん

私が一番驚いたのは、ザンビアの方々のHIVや健康に対する理解が自分たちの予想をはるかに上回っていたことです。
2日目に見学したHIV陽性者向けのワークショップでは、最初にHIVに対する知識を問う簡単な小テストが実施されていました。私は多くの方が間違った解答をすると思っていたのですが、実際は予想とは裏腹に、ほぼ全員の方が正しく解答していました。
またHIV陽性者の方々にインタビューするという大変貴重な機会をいただくこともできました。話を伺った方は皆、驚いたことに自分がHIV陽性であることに対して前向きでした。これはHIVがほとんど無縁なものと考えられている日本とは大きく異なることです。
このような発見を通じて感じたのは、ザンビアで今後必要とされていくことは、いかにHIVと上手く関わっていくかということです。その点において、AARのARV服薬指導の支援は画期的であると思いました。HIV陽性者の数を減らすことだけを考えていた私にとっては、大きな驚きでした。
しかし一方で、呪術師などの教えを忠実に守るがためにARVの服薬を拒んでいる子どももおり、克服しなければならない課題もまだまだ山積みであると感じました。
日本でのHIVに対する理解度はザンビアに比べてかなり低く、正しい知識がないために偏見も強いと思います。日本の医学生として、ザンビアで学んだHIVに対する姿勢を日本でも活かせるような活動ができないか、一度しっかり考えるきっかけを得ることができました。

平間より:学生の皆さんがHIV陽性者の方々に普段の生活について質問すると、皆が口をそろえて 「HIVに感染しているからって、自分が変わったわけではない。ただ薬を飲み続けなければいけないだけで、それ以外は普通に生活をしている」と答えていました。その一方で「免疫機能を保つためには、きちんとした食生活を送る必要があるけれど、お金がなくて食べ物を買えないこともあり困っている」と、ザン ビアの貧困状況を知るエピソードもありました。今回訪問してくださった学生の皆さんが、将来ザンビアをはじめとする国際協力の現場に戻ってきてくれることを心より願っています!

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