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「ぼくが社会を変えるんだ」カンボジアの障害者リーダー・サミスさんにインタビュー

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カンボジア・障害者のための職業訓練校で電子機器の修理を教えていたメイ・サミスさんは、「ダスキンアジア太平洋障害者リーダーシップ研修」第8期生として2006年に来日し、約1年間、日本で様々な研修を受けました。2007年7月、夢をいっぱい抱えてカンボジアに帰国したサミスさんに、現在どのような活動をしているのか、そして日本で学んだことを活かすにあたって直面している問題を聞いてみました。

回答者:メイ・サミス

Q:日本で経験した一番印象的なことは何ですか?

電子機器の修理コースを指導するサミスさん

電子機器の修理コースの講師として、熱心に生徒指導を行うサミスさん(右)©高橋智史

A:日本の障害者がとても活発なことに驚きました。特に障害者運動に参加している方々は本当に積極的でした。日本の社会保障システムはすばらしく、障害を持っていても公共交通機関を利用することができたので、とても便利でした。(注:カンボジアでは障害者法が存在せず、また障害年金制度や介護保険等の社会保障制度はありません。)

Q:日本で1年間研修を受けた後、カンボジアに帰国して感じたことを教えてください。

A:カンボジアに帰国後、カンボジアがバリアフリーでないことを再度痛感し、日本に行く前よりも不便さが目につくようになりました。また、障害者の社会福祉やバリアフリーへの考え方について友人と話をするのですが、私の意見と友だちの意見が大きく異なることに気づきました。まるで、自分が新しい人間になったかのように思います。(注:メイ・サミスさんは車イスの利用者です)

Q:日本の障害者とカンボジア障害者の違いは何だと思いますか?

車イスを使う生徒たちに授業をするサミスさん

「カンボジアの障害者たちがもっと自信を持てるように励ましたい」とサミスさん©高橋智史

A:カンボジアの障害者は法律に保護されていません。差別にさらされています。自分に自信を持っておらず、身体に障害をもつために自分自身のことを差別してしまっています。社会問題に立ち向かおうと外に出て行くこともできません。

情報も提供されず、教育や医療サービスにはアクセスできません。交通も整備されておらずバリアフリーでないので公共施設に行きにくい。学校に行けたとしても、障害を持たない人に自分が持つ障害の名前で呼ばれたり、歩き方などを真似されたりします。

また、農作業や家事をすることが困難なだけでなく、トイレへ行ったり服を着替えたりするというような日常生活にも難しいことがたくさんあります。自立して生活する自信もありません。多々ある問題のひとつとして、カンボジアには良い相談者がいないのではないかなと思います。必要なアイデアを提供したり、障害者を励ましたり、障害者には自分のことを決める権利があると教えたりする人があまりいないのではないかと思います。

私が日本で出会った障害を持つ方々は、たとえ重度の障害を持っていてもデモに参加していました。権利運動に参加して、政府や一般市民に障害者のニーズや権利、そして責任について知らせていました。

Q:日本で学んだことをカンボジアで活かそうと帰国したサミスさんですが、カンボジアで障害者のエンパワメント(力を与える)を実践する際に困ったことはありませんでしたか?どのように困難を克服しましたか?

サミスさんの熱意にふれ、 訓練生たちも前向きに変化しています

サミスさんの熱意にふれ、訓練生たちも前向きに変化しています

A:私は、カンボジアの職業訓練校で、テレビやラジオなどの電子機器の修理を教えています。まずは私の担当する生徒たちに日本で学んだことを共有しようとしています。障害者の権利運動をして政府に対するアドボカシー(啓発)をはじめる必要性を伝えています。

しかし歴史的背景からか、政府のことを怖がってしまいアドボカシーイベントに参加しにくいという意見を聞きました。また、カンボジアではその日を暮らすのに精一杯という現状があります。生きていくためには商売をしてお金を稼いだり、働く場所を転々として少しでも良い職場を探さねばなりません。障害者権利運動をする余裕がなく、日々の生計を立てるのに精一杯なのです。

私にできることは、日本で学んだことを共有して障害者に自信を持ってもらうことだと思っています。何度も丁寧に説明した甲斐があってか、少しずつ生徒たちに、やり方を工夫することでいろいろなことが「できる」のだということを、わかってもらえてきていると思います。

私と一緒にカンボジア社会を変えていこうという気持ちをもつ友だちをたくさん作り、社会を変えられるようがんばろうと思っています。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局・カンボジアデスク担当 加藤 美千代

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