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スーダンで「水・衛生」「基礎保健」事業を行っています

2009年05月01日  南スーダン感染症対策
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20年以上続いた内戦中に国内外に逃れていた人々が、帰還しつつあるスーダン。難民を助ける会は、スーダン南部で帰還民の定住を支援するため、2006年から「水・衛生」と「基礎保健」事業を行っています。2009年4月までに、63本の井戸と2基の給水塔を建設。また、3棟の簡易診療所を建設・運営しています。
事業の成果を、3月に現地を訪れた東京事務局次長の大西清人が報告します。

井戸と給水塔で人々に安全な水を

泥水で体を洗う子ども

泥水で体を洗う子ども。生命線である水が圧倒的に不足している現実の厳しさを感じます

難民を助ける会が活動している東エクアトリア州カポエタ周辺には、いまだに公共の電気も水道もありません。地域の住民一人が一日に使う水の平均量は、日本人の307リットルに対しわずか2.5リットル。それも、川や水たまりの汚れた水を生活用水として使っています。

一人でも多くの人々が安全な水を使うことができるよう、難民を助ける会は井戸と給水塔の建設に取り組んできました。

カポエタ市周辺にある、難民を助ける会が作った井戸を訪問すると、地元の子どもたちがジャンプしながら全身の力で、手押しポンプを押していました。井戸の周りでは、あふれた水を家畜が待ち構えています。昼間の気温が40度にも上がる中、人々はもちろん、動物たちも乾いているのです。この土地における水の希少さを、改めて痛感しました。

井戸に集まっていた人々は、「これまで毎日2、3時間かけて遠くの川に水汲みに行っていたけれど、家の近くで水が手に入るようになって本当に嬉しい」と笑顔で話してくれました。

約1500人に「安全な水」を供給

給水塔

カポエタ市内に建つ給水塔

カポエタ市内に完成した給水塔は、太陽光の力で地下水をポンプで汲み上げ、地上6メートルに設置した給水タンクに水を溜めます。そこから配水管で、蛇口のある3箇所の水栓所に水が届きます。配水管の総延長は500メートル、タンクの容量は1基あたり10,000リットル、約1,000人から1,500人の生活水が確保されます。広範囲に、そしてより大勢の人々に清潔で安全な水を届けることができるようになりました。

事業継続の主役は地域のボランティア

水を運ぶ女性

「家の近くできれいな水が手に入って嬉しいです!」

井戸や給水塔を建設する際は必ず、地域の青年や主婦のボランティアからなる管理委員会をつくり、住民に設備の使い方や基本的な修理方法を伝えています。井戸や水栓所の周りをきれいに保ち、ポンプが壊れるようなことがあっても、住民自身が修理しながら維持できるようにするためです。土台を掃除したり、鍵を管理したり、給水塔の水栓所で自発的に働いてくれているボランティアに頼もしさを感じました。

また、カポエタの西に位置する山岳地域・ラフォン/ロパ郡に建設した簡易診療所も、訓練を受けた住民が基本的な薬を処方したり、伝統的な助産婦が妊婦に助言するなど、ボランティアによって運営されています。

人々が安心して暮らせる環境を整えることは、内戦で国内外に逃れた人々の帰還、地域の復興に繋がります。どのような支援においても主役は現地の人々。難民を助ける会は彼らの力を引き出し、後押しすることで、これからもスーダンの復興に取り組んで参ります。引き続き皆さまのご支援をお願いいたします。

※これらの事業は、皆さまからのあたたかいご寄付のほか、ジャパン・プラットフォーム、外務省日本NGO連携無償資金協力と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のご支援により実施してきました。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局次長 大西 清人

2004年10月よりアフガニスタン・カブール事務所駐在。2006年より東京事務所に勤務し、2008年4月より現職。大学に在学中、トルコの日本国大使館に2年間派遣され、大きく人生が転換。インドの大学で哲学を専攻した後、現地の日系商社にて勤務。帰国後、難民を助ける会へ。(広島県出身)

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