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南スーダン:小学校で衛生教育講習会を開催。トイレも新設しました

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難民を助ける会では、2011年7月に独立した南スーダン共和国の東エクアトリア州で、2006年より水・衛生事業を実施しています。2011年3月から2012年4月までに実施した衛生教育講習会とトイレの設置について報告します。

小学校6校で衛生教育講習会を開催

絵を使った衛生教育について学ぶ先生たち

「一番衛生的な排せつ方法はどの絵でしょうか?」学校の先生たちを対象としたカポエタ北郡での講習会(2011年6月28日)

南スーダンの東エクアトリア州では、下痢や腸チフス、コレラなど不衛生な水に起因する病気が、子どもの主な死因となっています。同州でトイレを使用している人は人口の6.4%しかおらず、子どもにいたっては2%ほどでした(2010年当会調査)。多くの人が、道端や草むらなどで排せつしており、そうした習慣が、水源の汚染、感染症の蔓延に繋がっています。そこで、難民を助ける会は、2011年3月から約1年間、同州の小学校6校で衛生教育講習会を実施しました。

学校の周りを調査する生徒たちと駐在員

学校の周辺を子どもたちと見て回り、不衛生な場所を確認しました(2012年3月5日、カポエタ北郡ロメヤン小学校)

講習会は先生や保護者が対象です。先生や親が正しい知識を身につけることで、繰り返し子どもたちへの指導が行われるようになります。「なぜトイレを使うのか」、「なぜ手洗いが必要なのか」を、絵や人形を使って “子どもたちにわかりやすく教える方法” を学んでもらいました。その後、各校で実際に先生が子どもたちに指導しています。2012年4月に6校で行った事後調査では、約8割の子どもが正しい衛生知識を習得していました。今後は、身につけた知識が実際の行動の変化に繋がっているかの確認も進めていきます。

教室で児童に衛生教育を行う先生

「屋外で排泄することは衛生的ですか?」講習会を受けた先生が、実際に子どもたちに指導。中央奥は駐在員の梅田直希(2012年3月5日、カポエタ北郡ロメヤン小学校)

子どもたちの衛生問題に対する理解度を確認するテスト

事後調査では、先生からの指導を受けた生徒一人ひとりに質問をして、衛生知識の習得度合いを確認しました。右は駐在員の池田武(2012年3月29日、カポエタミックス小学校)

トイレを設置し使い方や掃除のしかたを指導

トイレの使い方を説明する先生と話を聞く子どもたち

先生が便器にまたがって使い方を教えています。興味津々の子どもたち。トイレの壁は頑丈な樹脂製です(2012年3月30日)

衛生教育講習会を行った小学校6校のうち3校では、トイレがなかったり、壊れたまま放置されていたため、新しくトイレを設置しました。トイレを使ったことのない子どもも多くいましたが、使い方や掃除のしかたなどを指導した結果、子どもたちの多くがトイレを使うようになっています。

劣悪な衛生環境により感染症が蔓延すると、抵抗力の低い子どもたちの命が危険にさらされます。しかし、それは正しい知識と行動で防ぐことができます。長年の習慣をすぐに変えるのは難しいことですが、当会は今後も、正しい知識を得る機会の提供を通じて、南スーダンの人々を取り巻く厳しい環境の改善に取り組んでまいります。

※この活動は、皆さまからのご寄付に加え、ジャパン・プラットフォームの助成を受けて実施しています。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

南スーダン事務所 梅田 直希

2011年8月より南スーダン駐在。短大卒業後、イギリスの大学に留学し開発学とアフリカ学を専攻。民間企業勤務、ウガンダでのボランティア活動を経て難民を助ける会へ

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