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ケニア:繰り返す干ばつ被害に苦しむ人々に、 安全な水を届けます

2013年08月01日  ケニア緊急支援
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水を汲むための穴の前の子ども

水汲みは女性と子どもたちの仕事。井戸のない村では干上がった季節河川の底を掘って、地中から染みだす水を汲んでいます(2013年4月12日ガリッサ県トゥレ村付近)

AARは、2011年、東アフリカ大干ばつによる被災者支援のため、ケニア共和国での支援事業を開始しました。2013年2月からは、ケニアの首都ナイロビから車で東に8時間ほどの距離にあるガリッサ県の村々で、給水設備の修繕と井戸の新設を行なっています。

支援の手が届かない地域で活動しています

ガリッサ県は、水を求め、家畜とともに移動生活を送る遊牧民が多く暮らしています。しかし、繰り返す干ばつにより、家畜を失った遊牧民の定住化が進んでいます。加えて、隣国ソマリアで続く紛争から逃れてくる人々が多く、地域の人口増加が進んでいます。もともと水が乏しく、1日の生活に最低限必要と言われている15リットルの水さえ利用できない人々がいるなか、さらなる水の不足が懸念されています。水の必要性は高まる一方ですが、首都ナイロビから遠く離れ、また内戦状態の続くソマリアの影響を受けて治安が安定せず、政府や国際社会からの支援が届きにくい状況にあります。

今ある給水設備をきちんと機能させる

AARは、ガリッサ県にある人口およそ2,100人のナディール村で、給水設備を修繕しています。これまで村人たちは、軽油や重油を燃料とするディーゼル発電機を用い、井戸から水を汲み上げていました。しかし、発電機が壊れても適切な修理をすることができないため、村人にいきわたるだけの十分な水を供給できませんでした。また修理代や燃料代などの維持管理費を補うため水の代金が高くなり、村人の約半数はこの井戸を利用することができない状況にありました。そこで、今年6月、村の住民も管理しやすく、維持管理費も安く抑えられるよう、太陽光発電により水を汲み上げる仕組みを新たに作りました。これにより、安定して十分な量の水を汲み上げられるようになり、より多くの村人が安全な水を利用できるようになりました。

日々の使い方を見直し、機能を維持

給水設備の使い方に関するパンフレットをのぞきこむ人々

パンフレットを使って、地域の子どもたちに給水設備の使い方を説明する水管理委員会のメンバーと駐在員の松本理恵(中央奥  7月5日)

給水設備の機能を維持するためには、地域住民の力が欠かせません。AARは、地域の住民からなる「水管理委員会」に研修を行い、給水設備は村人みなが利用できるものであること、設備の維持管理方法、水源の管理方法、水管理委員会の役割などを説明しました。参加者からは積極的に手が挙がり、日ごろの運営管理での悩みや解決方法などが話し合われました。研修が終了した後も、費用を管理するための帳簿のつけ方など、日常の運営管理についての助言を通して、 AARは継続的な支援を行っています。

「安心して水が手に入るようになりました!」
給水設備の前で話す現地の女性と高城

1日3回水汲みに来ているナディール村のニモさん(右)。「以前は、発電機が頻繁に壊れ、しかも水の値段も高かったので、3km離れた川や雨が降った後の水たまりなどで水を汲んでいました。今はいつでも水を汲むことができて、しかも水の値段も下がって、本当にうれしいです」と駐在員の髙城大吾に話してくれました(7月4日)

給水塔の下で、水のポリタンクを手に笑顔を見せる人々

「水が手に入るようになって良かった!」AARが修繕した給水設備の下で、村人と駐在員の髙城大吾(左・2013年7月5日)

新しくできた村に井戸を建設しています

近年の干ばつ被害で家畜を失い、定住生活をはじめた遊牧民によって新たに誕生した2村(トゥレ村とヒリバイ村)には、井戸さえありません。村人は数kmを歩いて川で水を汲むか、雨季には雨が染み込んだ土を掘って、そこから水を得ています。AARは現在、この2村にハンドポンプ式の井戸を建設しています。水管理委員会も新たに創設し、村人たちが安全な水を利用できるようになるまで、支援を継続してまいります。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

松本理恵

ケニア事務所駐在 松本 理恵

2004年4月より東京事務局でアフガニスタン、カンボジアなどの事業を担当、2010年からのパキスタン駐在を経て、2012年4月よりケニア駐在。これまでスマトラ島沖大地震(2009年)やハイチ大地震(2010年)などで緊急支援に従事した経験をもつ。2012年4月よりケニア駐在員。

髙城大吾

ケニア事務所駐在 髙城 大吾

民間企業を経て、イギリスの大学院で紛争からの復興支援を学ぶ。2011年5月よりAAR東京事務局にて勤務し、福島県での支援を中心に東日本大震災緊急・復興支援などに従事。2012年2月よりケニア駐在員。

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