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ケニア:教育で人生を切り拓く

2016年05月13日  ケニア緊急支援
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2013年12月以降内戦状態に陥っている南スーダン。和平に向けた動きはあるものの、周辺国には約64万人が逃れ、隣国ケニアのカクマ難民キャンプにはそのうち5万人もの南スーダンからの難民が新たに流入しました。南スーダンの武力衝突が起きてから2年半。食糧や水、医療など命を支える支援だけではなく、母国に帰れる見通しの立たない難民への中長期的な将来をも見据えた支援が求められています。2014年からこのカクマ難民キャンプで、給水支援や小児病棟の建設などの支援を行ってきたAARは現在、中等教育の支援を行っています。

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AARが建設したヴィジョン中等学校(以下、写真はすべてケニア・カクマ難民キャンプ、2016年4月5日)

たった2.3%の就学率

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熱心に校長先生の話に耳を傾ける生徒たち

南スーダンからの難民のうち約7割は、18歳未満の子どもたちです。多くの国や団体からの支援により、6歳から13歳までの初等教育は65.3%の子どもたちが就学できている一方、14歳から17歳までの子どもたちのうち、中等教育を受けられているのはたった2.3%にすぎません。戦闘により親や兄弟を失ったりトラウマを抱えている子どもたちも多いなか、教育へのアクセスがない子どもたちは、暴力や飲酒、薬物使用といった道に入り込み、その結果、貧困から抜け出せなくなる可能性が高まります。一方で、中等教育が受けられれば、専門学校や大学への進学の機会を得たり、祖国に戻った際に職を手にするといった道が拓けます。母国での紛争が終わり、帰還できた暁には、国の立て直しを担うための人材にもなりえます。このためAARは、南スーダンからの難民が多く住むカクマ4キャンプでは初めてとなる、中等学校を建設しました。学校は16の教室や理科室などからなり、備え付ける椅子や机は別のNGOが運営する職業訓練校で訓練を受けている難民たち自身が製作。全教科の教科書も生徒全員に行き渡るように揃えました。

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給食を準備中。きょうの献立は豆のスープです

また育ち盛りの生徒たちにとって重要な、給食を準備するための台所も完備しました(左写真)。

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待ちに待った給食。何度もお代わりをもらいに行く生徒も

学校は「ヴィジョン中等学校」と名付けられ、2月19日に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に引き渡しました。現在は1,112人の生徒たちが学んでいます。

弁護士に、医師になりたい

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理科室で一人、自習に励んでいたポールさん

母国の混乱のなか、教育を受ける機会を奪われていた生徒たち。なかには20歳以上の生徒もいます。勉強の環境が整った今、それぞれに夢を膨らませています。1年生のポールさん(19歳、右写真)は将来、弁護士になりたいと考えています。「僕たちの国は今、困難な状態にあるけれど、そのうち状況がよくなって平和な国になると思うから」と話し、自習に励んでいました。

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女子生徒を増やすことも課題です。左端はAARの兼山優希

女子の就学率はとりわけ低く、女子生徒は全体の20%しかいません。早くに妊娠・結婚したり、家事をする役割を求められたりするためです。数少ない女子生徒の一人、ニェマイさん(18歳、左写真右端)は「将来は南スーダンに戻って医師になり、国のために働きたい」と夢を語ってくれました。

生き抜く知恵を

さらにAARはより多くの生徒の受け入れが可能になるように、カクマ1キャンプにある、既存の中等学校でも教室の増築工事を行っています。建物を作っただけでは支援は終わりません。現地の人たち自身で校舎を維持し、修理できるよう、生徒、保護者、先生からなる学校メンテナンスチームを作りました。また、紛争を体験したことによるトラウマをどう乗り越えるか、民族間の宗教・文化の違いや部族間の軋轢などから発生するトラブルにどう対処するか、といったスキルを子どもたちに教えられるよう、教員に対して研修を行っています。こうして、学校が子どもたちにとって生きるためのさまざまな知恵を身に着ける場所になるよう、ハード面だけではなく、ソフト面での支援も続けています。
今なお、カクマ難民キャンプで中等教育を受けられずにいる難民の子どもたちは2万人います。小さな一歩ではありますが、難民キャンプで育った子どもたちが自分の人生を切り拓き、いずれは母国の将来のために働くことができるよう、支援を続けていきます。

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ヴィジョン中等学校の生徒たち

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

ケニア事務所 兼山 優希

2014年11月から現職。大学卒業後、民間企業を経て青年海外協力隊員としてセネガルへ。帰国後、AARに入職。「子どもたちが人との関わり方を学び、また自分の得意分野を知って、将来の選択肢を広げられればと思っています」。長野県出身

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