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ラオス:安全な出産のため、さまざまな体制づくりに取り組んでいます

2017年12月26日  ラオス
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ラオスの北部に位置するポンサリー県は、岩手県ほどの大きさで、首都ビエンチャンから空路で45分、さらに陸路で12時間もかかる山岳地帯にあります。貧困層が多く、交通の便も非常に悪いこともあり、妊娠中に健診を受けている人の割合は9.1%、また医療施設で出産する産婦の割合も18.1%にとどまります。妊産婦の医療アクセスの状況は非常に悪く、生まれた赤ちゃんの8人に1人が1歳になる前に亡くなっています。そこで、AAR Japan[難民を助ける会]は2015年より同県で、女性たちが妊娠・出産や子どもの健康について正しく理解し、安全に出産できるよう知識を伝えたり、医療施設の体制を整えたりする活動を行っています。これまでの活動を報告します。

「私たちもあんな風にやりたい」 安全なお産を支えるため、医療機関の体制を強化

白衣を着た人たちが医療器具を囲み説明を聞いている

県病院の職員に提供したシリンジポンプ、輸液ポンプの使用方法を指導する医療機器会社の医師(左手前)(2017年5月24日)

もともと医療施設で出産するケースが少ないのですが、出産時に何らかのトラブルがあり医療施設に行ったとしても、そこの設備が整っていなかったり、職員に正しい知識がなければ、赤ちゃんやお母さんの命を守ることはできません。AARは、ポンサリーの県病院、郡病院、そして4つのヘルスセンターの職員を対象に、医療機器の提供とスタッフへの研修を行っています。まず、県病院と郡病院に、出産時のトラブルに対応できるよう、吸引分娩器、生体監視モニター、輸液ポンプやシリンジポンプなどを提供しました。その際、医療機器会社の職員を呼び、使い方や管理の仕方の説明会を開催し、病院職員が確実に利用・管理できる体制を整えました。

会議室のような部屋で、机に寝せられた赤ちゃんの人形を世話する研修参加者。それを7~8人が見ています

新生児ケア研修の様子。赤ちゃんの人形を使って、学んでもらいました(2017年9月4日)

また、各施設で新生児のケアが適切に行われるよう郡病院・県病院の看護師ら職員を対象に2日間の研修を行いました。この研修では、以前AARの支援でラオス北部の都市ルアンパバーンのラオ・フレンズ小児病院で講師養成研修(ToT)を受けた郡・県病院の職員も講師補佐を務めました。 参加者は同じラオス人が1,000gに満たない新生児をたくさん診て元気に退院させているという経験に裏付けされた講義に大いに刺激され、真剣に研修に取り組むとともに、分からない点をどんどんと質問していました。「私たちもあんな風にできるようになりたい」「看護師が一番患者を診ているのだから、先生の指示に従うだけでなく、チームで患者を診ていけるようになりたい」と熱意を見せてくれました。

地域に根差すヘルスセンターとともに

数十名の参加者が、4、5人のグループに分かれて話し合っています

コミュニケーション力強化研修で、それぞれの職場とコミュニティとの問題やその解決策を考える県病院、群病院の職員たち (2017年5月18日)

ラオスでは、医療機関へのアクセスが困難な地域の住民への保健サービスの提供のため、ヘルスセンターの職員が管轄地域を巡回して予防接種や栄養剤の配付などを行っています。その際、母子保健サービスも併せて提供することを推奨されており、母子保健に関する健康教育、産前産後の検診や家族計画なども含めた活動を行うことになっていますが、実際は行われていません。AARはこうしたヘルスセンターの巡回活動をより効果的にするため、2017年5月に4つのヘルスセンターから計29名を招き、能力強化研修を実施しました。村の人たちにさまざまな情報を提供する場面での効果的な話し方、子どもと大人の学習方法の違い、グループワークに必要なスキル、行動計画の立て方などを実践練習やゲームを通じて学んでもらいました。参加者は、「これまでは村の人々に一方的に知識を伝えているだけでしたが、研修を通して相手に伝わる話し方や雰囲気づくり、村人との協力方法について学びました。これからの業務の中で活かしていきたい」と話してくれました。

地域住民の健康を守るコミュニティヘルスワーカーの活躍を支える

また、ラオスの村では健康に関する知識を伝えたり簡単な内科的治療薬を処方したりするコミュニティヘルスワーカーが活動しています。彼らは地域住民から選ばれたボランティアです。AARはコミュニティヘルスワーカーを対象に知識や能力を強化するための研修も開催しました。2017年5月に開催した研修には39名が参加し、妊婦の健康管理や妊産婦健診の重要性、妊娠中の危険な徴候、医療機関での出産の利点、産後の健康管理、新生児の健康管理、母乳栄養や離乳食など、5歳未満児の健康管理について学びました。また、そこで得た知識を地域住民にうまく伝えられるよう、実際にシミュレーションしながら村人への健康教育の方法を学びました。 最初は自信がなさそうにしていた参加者も、最終日には堂々とほかの参加者の前で健康教育を行うことができるようになり、「村の人に今回学んだ知識を広めたい」と話してくれました。

イラストの描いてあるカードをもって発言する女性と、それを聞く参加者たち。右奥にはAARジャンパーを着た駐在員の安藤

図や絵を使って、村人に健康教育を行う方法を練習しています。右奥は駐在員の安藤典子(2017年3月24日)

AARのスタッフが村の人々に話を聞いています

AARスタッフがコミュニティヘルスワーカーの元を訪問し、活動について聞き取り。課題があれば一緒に解決に向けて考えます (2017年11月16日)

背中に赤ちゃんをおぶった若いお母さん

ヘルスセンターで子どもを産んだお母さん。 「ほかの人にもヘルスセンターに行くように勧めています」(2017年11月16日)

研修後には各村のコミュニティヘルスワーカーを訪問し、地域での活動のフォローアップをしています。AARスタッフが訪問して活動の後押しをすることで、妊婦健診に行く人やヘルスセンターで出産する人、予防接種を受ける子どもたちが増えてきました。しかし一方で、ヘルスワーカーが村の中で母子保健サービスを受ける大切さを伝えても、なかなか行動が変わらない人も大勢います。ヘルスワーカーからは「何度も言っているけれど、なぜか聞いてくれない」「村の集まりに来てくれない人がいる」といった相談が寄せられています。一方、地域住民からは「自分は習ったようにしたいのに、夫にやる気がない」「村の会議に出るのは男性ばかりなので、女性の私は参加できない」といった声が聞かれます。AARはそうした意見を踏まえた改善案をコミュニティヘルスワーカーに提案したりしています。コミュニティヘルスワーカーは地域の健康促進を担う重要な人たちです。彼らの活躍で母子保健サービスを受ける人がさらに増え、女性たちが安全に出産し、子どもたちが健康に育つよう今後も活動を続けていきます。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

ラオス・ポンサリー事務所 安藤 典子

2015年10月から現職。看護師の経験を活かし、2012年1月にAAR入職後、ラオス・シェンクワンでは不発弾被害者支援を担当。岐阜県出身

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