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東日本大震災:避難者の孤独に寄り添い続ける

2019年03月04日  緊急支援
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3/21(木・祝)トークイベント「震災から8年―逆境を乗り越えた復興の軌跡―」午後1時~ (東京・JICA地球ひろば セミナールーム600) 別ウィンドウで開きます

AAR Japan[難民を助ける会]では、2011年7月より東日本大震災で避難生活をおくる方々を対象に、健康維持と孤立防止のための交流促進を目的とした「地域みんなで元気になろう」プロジェクトを続けています。今年度は岩手県、福島県において無料マッサージとお茶会、手芸教室、ランチ会、子ども祭り、盆踊りなどを98回開催し、のべ2,871人が参加しました(1月31日時点)。

お茶を飲むAARの大原とイベントの参加者

マッサージの順番を待ちながら、お茶を飲んで和気あいあいと話します。中央がAAR東北事務所の大原真一郎(2019年1月13日、南相馬市小池原畑第二仮設)

最後は親戚の集まりのように

1月13日、福島県南相馬市の小池畑第二仮設でマッサージと傾聴活動を行いました。理学療法士や作業療法士、産業カウンセラーなどの資格を持つボランティアの皆さんが、週末ごとに全国から集まってくれています。それぞれの体調に合わせたマッサージを施術しつつ、お茶やお菓子を囲んで話をしました。この仮設住宅でAARは2013年6月から活動を始め、これまでに100回以上訪問しています。ピーク時には140世帯が暮らし、子どもたちとサッカーや鬼ごっこなどをしたことが思い出されますが、今年の4月以降の取り壊しが決まり、現在は住民の退去が進み閑散としています。

最後のマッサージイベントとなることを伝えると、80代の男性は、「これでマッサージも終わりか。長年本当に世話になった。でも、またどこかで集まりたいな。折角仲良くなったのになぁ」としみじみと話してくれました。9市町村からの避難者が入居していましたが、定期的なAARの活動もあってか、交流が盛んになり、最後は親戚の集まりのような雰囲気さえ感じられました。

AARのボランティアにマッサージを受ける女性

体調や日常生活を伺いながらマッサージ(2019年1月13日、南相馬市小池原畑第二仮設)

女性たちがたこ焼きを作っている様子

たこ焼きとお好み焼きのメニューは、「一人暮らしでは食べることがないので」と大好評(2018年10月15日、福島県伊達郡川俣町)

苦しみを少しずつ軽く

大原と参加者の女性

AARの大原(右)と参加者(2019年1月13日、南相馬市小池原畑第二仮設)

こうしたイベントの参加者は、「水産加工場勤務で時給は760円。生活が苦しい」「町の未来?そんなの考えている暇ないでしょう」と率直に思いを吐き出してくれます。また、「一人暮らしだから、月1回、友だちと話す貴重な機会」「話がとまんないわ(笑)。一人暮らしだから誰ともしゃべんないからよ~」と嬉しい気持ちを表してくださる方もいます。
活動を続ける中で被災された方々の苦しみが少しずつ軽くなっていったと思える場面も多数ありました。先日は、仮設住宅の近くの中古物件を購入し、引っ越された方がご自宅に招いてくれました。とても幸せそうで、支援をしてきてよかったと思えた瞬間でした。

それぞれの地域、状況の方々に必要とされる支援を

「地域みんなで元気になろう」プロジェクトは、当初、応急仮設住宅に暮らす方々への支援として開始しました。現在は仮設住宅からの退去が進み、避難者の生活も地域、状況によって大きく変わってきています。

現在、9割以上の方々が仮設住宅から退去し、自宅への帰還、公営住宅への転居や自宅再建を遂げています。マンションタイプの公営住宅に移った方々からは、「仮設のときより交流する機会が減っている」「隣に誰が住んでいるのかわからない」といった声が聞かれます。仮設住宅に残るある方は、「浪江の自宅は修理が終わり、帰れるけれど、主人が癌で入院している。浪江に戻ると通院に片道1時間以上かかるので戻れない。行政からいつ仮設を退去するのかという電話がくる。どうすればよいのだろう」と窮状を訴えていました。

福島県の原発事故による避難指示が解除された地域では、昨年3月時点での帰還率は地区ごとに異なりますが、3~80%、平均15%で、その大半が高齢者です。1年が経った現在も、帰還が大幅に進んだ実感はありません。若い世代は仕事や学校のある避難先や移住先からは戻れないことが多く、家族や近隣の住民が戻らないなかで、高齢世帯の孤立問題が深刻になっています。

また、原発事故の際、妊娠中の方々や幼い子どもを育てていた方々は、避難指示が出ないまま避難するかどうかの判断を迫られました。避難を決断した方々は通称「自主避難者」と呼ばれて、全国各地に移住しています。子どものいじめを恐れて福島出身ということを明かせない方や避難を巡って意見対立があり離婚した方なども多く、貧困や孤立といった問題を抱えています。さらに、避難指示区域外から避難されている方々への「民間賃貸住宅等家賃への支援制度」が今年度末で終了することになり、国家公務員住宅に入居している方々も、年度末での退去を迫られています。それにより、多くの方々がさらなる移動を強いられることが予想されます。

AARでは現在、仮設住宅を出たものの新しい生活の場で孤立しがちな方や帰還された方を対象にしたり、移住者と地元の住民との交流の場を設けたりしています。また、原発事故の影響を受けて故郷を離れ関東地域で生活している広域避難者の交流支援も行っています。
仮設住宅避難者が減り、原発事故による避難指示も解除され、「被災者」が「避難者」ではなくなる中で、苦境にある被災者の姿がどんどん見えなくなっています。AARは、長年の活動を通じてできた繋がりを活かし、被災者同士の繋がりを育む支援や移住者が地域に溶け込めるような支援を続けていきたいと思います。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東北事務所 大原真一郎

大学卒業後、製造メーカーでの勤務を経て、2011年8月にAARに入職。仙台を拠点に岩手、宮城、福島で復興支援を行う。また、2016年熊本地震、2018年西日本豪雨、2018年北海道地震の際もAAR緊急支援チームのメンバーとして出動し、被災された方々に寄り添った支援を行っている(宮城県仙台市出身)

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