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ウガンダ:6月20日は世界難民の日 Vol.1~子どもたちが生き抜く力をつけられるように~

2019年05月29日  ウガンダ緊急支援
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現在、世界の難民の数は2,540万人(2018年6月UNHCR発表) にのぼります。そのうちAAR Japan[難民を助ける会]が活動するウガンダには、南スーダン、コンゴ民主共和国、ブルンジなどの近隣諸国から125万人の難民が避難しており、トルコ、パキスタンに次ぎ世界で3番目に多くの難民を受け入れています。

難民に対する受け入れ国政府の反応はさまざまです。総じてネガティブなものが多いですが、ウガンダ政府は難民の受け入れに対し前向きな姿勢で取り組んでいます。こうした例は珍しいと言えますが、ウガンダ政府は難民を受け入れることで、国際社会からの支援を得て国民にもその恩恵が行き渡るよう、国の発展へとつなげる政策を取っています。フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、ウガンダ政府の政策を地域の発展、活性化となるモデルケースとして言及しています*1。
そうした政策のもと、AARはウガンダ北部のビディビディ難民居住地およびインヴェピ難民居住地において、南スーダン難民とウガンダの子どもたちへの教室建設などのハード面と、教員研修などのソフト面における教育支援を実施しています 。

理科室棟の新設で、進級できるように

教員がビーカーなどの実験器具を手にしている

新設した理科室での様子(2019年4月25日)

ハード面での教育支援では、主に学校施設の整備を行っています。これまでに学校校舎や教員宿舎、理科室を建設し、難民の子どもたちとウガンダの子どもたちの教育環境を整えてきました。急激に多くの難民が流入したため、教室の数が不足し、一教室あたり200名近くの子どもたちが一緒に学ぶといった過密状況で学習していました。いまだに教室数は十分とは言えませんが、AARが校舎を建てたことにより、160名弱にまで改善されました。
また、教員の多くが遠方から単身赴任しており、住環境の不備を原因とする退職なども目立ちます。そこでAARは教員宿舎を新設し、生活環境を改善しました。これによって教員のモチベーションが高まり、授業を受ける子どもたちの学習環境の向上につながっています。

さらに、中等校の理科室を新設しました。ウガンダでは、理科の実験を履修しないと進級に必要な単位が取得できず、進級がままなりません。しかし、ただでさえ教室数が不足するなか、実験用具などさまざまな機材が必要とされる理科室の建設は後回しにされがちです。理科室がないことが、留年や退学につながる一つの原因となっていました。そこでAARは、理科室棟を建設し、子どもたちの学習環境を整えました。

亀田大使がテープカットをするシーン 周囲の人々は皆笑顔

ビディビディ難民居住地のアリワ中等校での理科室棟の引き渡し式。日本大使館の亀田和明大使(左から3番目)が来賓として出席くださいました。左から4番目はアリワ中等校校長、同5番目はアリワ中等校の生徒、同6番目はAARウガンダ・ケニア地域統括の雨宮知子(2019年4月25日)

教員の指導力や学校のサポート体制を向上

ソフト面での教育支援では、教員に向けた研修を実施しています。教員はウガンダ人のため、言語や民族などの違いから、南スーダン難民の子どもたちへの教育方法に悩む人も多いです。そのため、専門家を招いた研修の機会を設け、教員の悩みを解決したり、指導力を向上させることにより、子どもたちが質の高い教育を受けられるよう支援しています。
教員の中心となるシニア教員のリーダーシップ力を向上させるための研修もその一つです。月経や性暴力に遭うリスクなどの女子生徒が抱える問題点、障がいがある子どもへの学習面での配慮や、生徒へのカウンセリング方法などを伝えています。研修後の実態調査では、教員たちに相談する生徒の数が増えたり、シニア教員が中心となって引っ張っていくことでほかの教員の意識が変わるなど、好ましい変化が表れてきています。

5人ほどのグループに分かれ、それぞれテーブルに筆記用具を広げ話し合ったり何かを書きだしている

教員研修でグループワークに取り組む教員たち(2019年2月15日)

女性の生徒、男性教員が椅子に腰かけ、真剣に話している様子

シニア教員研修のロールプレイの様子。女子生徒からの相談に対して、どのような受け答えが望ましいか練習する教員(右、2019年2月24日)

さらに、教員だけでなく学校を支える保護者会や学校運営委員会、難民福祉協議会といったコミュニティに向けた研修も実施しています。外部から専門家を招いてセクシャルハラスメントや衛生管理に関する研修を行ったり、研修成果の発表や今後の行動計画の策定なども実施しています。
日本では、教育行政や地域社会など、学校だけでは解決できない問題を解決するため、学校を支える存在がありますが、私たちが活動する難民居住地にはそのような体制がきちんと整っていません。組織があっても機能していなかったり、そうした組織自体ないことがあります。AARは、研修を通してこれらの組織を整備し、それぞれの役割や責任を明確にすることにより、学校へのサポート体制を少しずつ整えています 。

子どもたちが生き抜けるように

2019年4月末時点で、ウガンダ国内には81万人超の南スーダン難民がいます *2。いまだ情勢不安から南スーダンへの本格的な帰還がいつになるかわからない状況が続いています。将来的には、帰還せずそのままウガンダで生きていくことを決断する難民もいるかもしれません。南スーダン・ウガンダどちらでも子どもたちが生き抜く力を付けられるよう、AARは教育支援を通じて人材育成を続けてまいります。

*1.参照 UNHCR "Grandi praises Uganda's 'model' treatment of refugees, urges regional leaders to make peace"

*2.参照 Uganda Comprehensive Refugee Response Portal

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

ウガンダ事務所 今村 恭介

大学で教育学を専攻し、小中高の教員免許を取得。卒業後、青年海外協力隊員としてホンジュラスで数学教師を務める。帰国後、東日本大震災の支援に携わりたいと岩手県や福島県の学校に教師として赴任。その後フィリピンでの語学学校勤務、NGO職員としてミャンマーに駐在。緊急時の教育支援に携わりたいとAAR へ。2018年11月よりウガンダ事務所駐在。北海道出身

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