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アフガニスタン:地雷・不発弾から子どもたちの命を守る 

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赤く塗られた石が車道の横に並んでおかれている。車道はコンクリートで舗装されていない。一台の白い車が停まっている

赤く塗られた石を超えた場所(左側)には、地雷が埋まっている。アフガニスタン・タカール州、2003年頃)

アフガニスタンでは、内戦で多くの地雷や※IED(即席爆発装置)などが使われ、その被害に遭う人は後を絶ちません。AAR Japan [難民を助ける会] は、2002年から、地雷や不発弾、IEDなどについての知識を広め、被害に遭わないための方法を伝える「地雷回避教育」を実施しています。また、2008年からは、地雷被害者を含む障がい者支援を開始しました。
2018年5月から2019年6月の1年の間では、67の村を周り、2,176回の講習会を開き、81,494人に地雷回避教育を届けました。AARカブール事務所で地雷回避教育事業を統括するサデック・アリアンファが、最近の活動を報告します。

地域の人たちの手で被害を防ぐ

AARカブール事務所では、カブール県とパルワン県で、地雷被害のリスクが高い67村の地域住民を対象に講習会を開き、地雷回避教育と、障がいのある人に対する理解を深めるための研修を実施しています。

この講習会を、地域住民が主体となる地域に根差した活動にしていくために、AARは宗教関係者や教育関係者やなど、地域から推薦され、かつ指導的な役割を果たしている方々を「地域指導員」として育成しています。まず、地域指導員には、爆発物の基礎知識や発見した際の対処法、地雷被害者を含む障がいのある人の権利に関する研修を行います。その後、各自が自身の村で講習会を定期的に開催し、学んだ内容を住民に伝えています。

5名の男性が現地指導員として、ポスターなどが入った手提げを持って立っている。

AARによる研修を受けた地域指導員たち。地雷のリスクや、被害に遭わないための方法について直接住民に伝えるため、地域を周ります。(2019年10月)

※IED(即席爆発装置):アフガニスタンにおいて近年被害が著しく増加している、即席で作られた爆発装置。形状は多岐に渡り、圧力鍋やポリタンク容器、自動車のバッテリー等の日用品を改造したものや、携帯電話型のものなど、一見して危険なものには見えないものが多い。また、IEDを製造・使用するのは「非政府武装集団」が多いため、IEDの危険性を大々的に啓発することは、これらの勢力への対抗措置とみなされ、非政府武装集団からの攻撃の対象となるリスクを伴う。そのため、啓発活動には十分な配慮が必要とされている。

外出の機会が少ない女性のための移動映画教室

アフガニスタンでは、成人女性が家族以外の成人男性と同じ場所に居合わせない文化習慣を考慮して、「移動映画教室」という形で地雷回避教育をしています。AARの女性スタッフたちが地域に出向いて住民の自宅の一室をお借りし、地雷の危険性や回避方法に関するAARオリジナルの短編映画を上映します。上映後はポスターなどの教材を使い、地雷や不発弾の形や見つけたときの対処法などを伝えています。

床に絨毯が引かれている一室で、20人近くの女性たちが頭にスカーフを巻き、座っている。前には地雷の写真が載っているポスターがあり、AARの女性スタッフがポスターを指さして内容を説明している

「移動映画教室」は女性だけでなく、被害に遭いやすい子どもも対象に行っています。ポスターや教材は、AARが作成しました(2019年9月撮影)

ここからは、地雷回避教育の現場で出会った人たちの声をお届けします。

「兄は誤って地雷に触れ、亡くなってしまいました」ベヘシュタさん(9歳)

小学生の女の子ベヘシュタさんに向き合い、ノートとペンを持って話を聞いているAARスタッフ。壁には地雷の写真が載ったポスターがかけられている

地雷事故でお兄さんを亡くしたベヘシュタさん(右)とAARスタッフのサデック・アリアンファ(左)(2019年10月)

「昨年、14歳だった兄は地雷に誤って触れ、亡くなってしまいました。今でも、病院で兄の姿を見たときのことを忘れられません。兄は泣きながら、"見慣れない物体に触れてしまった。でも、もう二度と触らないようにするから。"と母に訴えていました。そのとき、私は地雷が何なのか、見慣れない物とはどんなものだったのか全く分かりませんでした。地雷のことをきちんと理解したいと思い、講習会に参加しました。今は講習会で教わった内容を、友達や両親に積極的に伝えています。このような活動を支援してくださっていることに感謝しています。」

「危険な行動をとっていたと、初めて気づかされました」ザヒード君(14歳)

モスクの室内であぐらをかき、ザビードくんとAARスタッフが向かい合って話をしている

講習会に参加したザビード君(右)に話を聞くAARサデック・アリアンファ(左)(2019年10月)

「講習会に参加するのは今年2回目です。初めて参加した時、地域指導員の方が地雷と不発弾について説明していて、とても興味深かったです。空き地から鉄くずを収集することは、非常に危険だと教えられました。地雷や不発弾の写真も見せてくれました。その時、僕はこれまでに何度も危険な行動をしていたと気づかされました。家族を経済的に支えたかったので、頻繁に空き地で鉄くずの破片を集めてお金に換えていました。ほかにも、"赤く塗られた石は、近くに地雷が埋まっていることの警告"であることを知らずに、その赤い石を踏み越えていました。地雷被害を防ぐ行動を学べたことを神様、そしてAARの支援に心から感謝しています。」

「誰にも私の家族が直面したような目にはあってほしくありません」女性地域指導員、アリファさん(44歳)

室内で椅子に座り、AARスタッフがアリファさんに話を聞いている

娘を地雷事故で亡くした後、地域指導員として活動を始めたアリファさん(右)アリファさんは高等学校の校長を務めている(2019年10月)

「AARで地雷回避教育の地域指導員として活動しています。地域指導員になった理由は、数年前に悲惨な事故に直面したからです。あまりにも悲しい出来事で、あの日のことは忘れることができません。8歳だった娘のニルファーが地雷で命を失う前に、地雷回教育を受けられていれば、と悔やまずにはいられません。娘は亡くなるにはあまりにも若すぎました。
私たちは数年前、かつて戦場であった土地に住んでいました。ある冬の日、薪を集めるために娘と山に出かけたとき、娘が"ママ!ちょうちょがいる!"と言い、その蝶のような物体に向かって走っていくのが見えました。"そっちに行ってはだめよ!"と叫びましたが、娘はそれを拾い上げたのです。その瞬間、爆発音が鳴り響きました

私と娘は大けがをしました。娘の状態は特にひどく、大量に出血していました。私は何もしてあげられませんでした。病院に運ばれ、夫が病室に入って来たとき、すぐに娘の様態を尋ねました。夫はただ、「ニルファーは大丈夫だよ。すぐに戻ってくる。」と言いましたが、何かを隠していることはすぐに分かりました。そして、やはり娘はもう戻ってきませんでした。
今後、誰にも私の家族が直面したような目にはあってほしくありません。そのために、私は地雷の被害に遭わないための情報を、子どもたちに届けていきたいと思っています。」

「活動を始めてから、この村での地雷、不発弾、IEDの事故は減少しています」地域指導員、シリン・アガさん

モスクの中で、アガさんに話を聞くAARスタッフ。スタッフはメモをしている。

地域指導員として活動を続けているアガさん(右)(2019年10月)

「2017年から地域指導員として活動しています。この村では、地域指導員が活動を始める数年前までは、地雷や不発弾、IEDによる被害は多くありました。ですが、2018年度は被害が1件まで減りました。講習会によって、村の子どもたちが空き地で鉄くずを集めるのを避けるようになったことが理由だと思います。子どもたちが安全に暮らせるように支援できるこの活動を、誇りに思っています。」

それでもまだ、地雷により多くの市民、特に子どもが命を失い続けています

「これまで、子どもや女性を含め多くの人に地雷の事故に遭わないための方法を教えてきました。そして学んだ方々は、親戚や、友人たち、子どもたちになど身近な人に、地雷回避の方法を伝えています。
また、アクセスが困難な遠隔地や治安が安定していない地域など、AARが直接入れない場所に住む人たちに対しても、現地の事情に詳しい地雷専門団体を通じて、地雷回避教育を届けることができました。2019年6月に実施した聞き取り調査では、講習会の参加者はほぼ100%が地雷に関する正しい知識を習得したことが分かりました
私たちは、このほかにラジオやテレビ番組を通して、事業対象地以外の多くの方々に対しても、地雷被害に遭わないための行動を広く呼びかけています。

しかし、ここで安心することはできません。
アフガニスタンでは、地雷やIEDによる事故は減少していると感じている人々もいるかもしれませんが、現在も政府軍とその反対勢力など様々なグループ間の戦闘は続いており、被害者数は増加しています。
過去数十年にわたり、多くの市民、特に子どもが地雷による事故で命を失い続けており、地雷等の被害に遭うリスクと隣り合わせで暮らす人々にとって、AARの活動は非常に重要です
日本の皆さんに、これまでの支援を感謝すると同時に、アフガニスタンの罪のない人々がこれ以上地雷により犠牲にならないよう、そして、全ての地雷が取り除かれて安心して暮らせるように、支援を継続してくださることを心より祈ります。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

アフガニスタン・カブール事務所 サデック・アリアンファ

高校卒業後、デンマーク資本の建設会社で翻訳・通訳スタッフとして勤務。その後、援助機関で現場監督として経験を積みAARへ。勤務の傍ら、大学で土木工学を学び、2016年に修了。AAR地雷回避事業を統括。

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